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2話 試験2

二ヶ月遅れの投稿ですすいません…。本当にすいません。なのにこのクオリティ…。えと、呼んでくれるとありがたいです。はい。

「テスト終了!前にもってきてくれ。」



 先生のかけ声によって周りの生徒は皆用紙を前に持って行った。その中でリトは真っ白に燃え尽きていた。もはや白いシルエットしか見えないほどに。口からは魂が抜けかけている。



「…。大丈夫か?」

「あぁ、はい。大丈夫です~。」



 フラフラとした足どりで教室を出たリト。午後からは実技の試験が待っているのだ。昼食を食べようとしたリトは気が付いた。


 お金も弁当も持ってきてないことに。



「うへぇ。午後腹減ったまま実技かよ。あぁ、ついてないわ。家に帰ったらうんと旨い料理を作るか。」



 お腹を激しく唸らせながら俯くリト。これまで数々の魔物と対峙してきたが、空腹にだけは勝てないのだ。



「リト君お疲れ~。」

「シルリア先生。朝はありがとうございました。」

「ううん。私も迷惑かけちゃったし。テストどうだったの?」



 それを聞かれ『うっ』と呻くリト。その言葉を聞いてシルリアは察した。



「ドンマイ!まだ実技があるよ!」

「でも俺基礎魔法しか使えませんよ?」

「実技は実戦だから!魔法だけじゃないから!」

「なら良かったです。」



 とここでリトのお腹の中から音がした。それを聞きシルリアは笑い、リトは顔をよそに向ける。恥ずかしいのだろう。リトの頬は少し紅くなっていた。



「お昼ご飯まだだったんだね!」

「いえ、弁当もお金も忘れてたので昼抜きにする予定なだけです。」

「…今、昼抜きにすると言いましたか?」

「え?はい。」



 お昼を抜きにする。そう口にした途端シルリアの様子が変わった。その変わりようにリトは戸惑う。ニコニコと朗らかな笑みは冷たい微笑へと変わり、目はスッと細められ、睨まれている感覚すら覚えた。


 まるで蛇に睨まれたカエルの気分に陥ったリトは呼吸すら忘れていた。シルリアは急に目をクワッと見開き、大声を上げる。

 


「一体何を考えているんですか!!」

「え?」

「お昼抜き!?夜ご飯抜きなら運動しないためまだしもお昼を抜くなんて!それに!お昼は胃袋が活発に活動していろんなものも食べられるんですよ!パフェとかケーキとか、ステーキも美味しいですし!それなのにお昼を抜くとは!」

「あの、シルリア先生。落ち着いて下さい。周りがドン引きしています。」

「へ?あ!すいません!」



 余りの熱弁にリトも引いていたことは秘密である。しかし、リトは悩んだ。お昼を抜くのは良くないとしてもどうやって昼飯を食べろと言うのか。お金も弁当もないのに。


 するとシルリアはおずおずと提案してきた。



「奢りましょうか?」

「え?いや、悪いですよ。」

「良いんです!本気を出せなくて試験に落ちるよりマシでしょう!」

「そうですけど!お返しとかどうすれば。」

「あ、それは入学して先生のお手伝いを一ヶ月してくれたらいいです。」

「それもう落ちることは許さないって言ってますよね?」

「はい!」



 言い笑顔で返事をするシルリア。何を言っても奢ることをやめないであろうことは予想できた。こういった人物は皆頑固であることをリトは知っているため、諦めて奢られることにした。もちろん必ず入学すると覚悟を決めて。












「食べ過ぎじゃないですか?」

「ふぇ?ふぉう?」

「いや、のみ込んでから言ってくださいよ。」



 場所は学院内の食堂。そこでリトとシルリアは昼食をとっていた。リトは半分食べ終え所だが、シルリアは既にデザートに入っていた。山盛りのパフェを精一杯口に頬張る姿はリスと同じであった。



「んぐっ。ふぅ。そう言えば何で敬語?」

「え?いやだって先生でしょ?」

「止めてよぉ。タメ口で良いよ?むしろ推奨。」

「…何で初対面の人にそこまで躍起になるんですか?」

「だってヴェノちゃんの臭いがすもん。」

「はい?」



 突然の言葉にリトは聞き返す。



「だからヴェノちゃん!君、ヴェノちゃんと契約してるんでしょ?」

「……ヴェノちゃんって、誰ですか?」

「ヴェノムちゃんだよヴェノムちゃん!ほら、黒い獣の姿をした神獣の!」



 ここまで言われてリトはようやくヴェノちゃんがリオンのことであると理解した。



(ヴェノちゃんって呼ばれてんのかよ。今度家でヴェノちゃん呼びしてみよう。)


「リオン…あの独りカッコイイ見たいな雰囲気の奴ですか。確かに契約してますが?」

「そう!臆病者のヴェノちゃんが人と契約なんて普通しないからね。よほど純粋な子か優しい子でないと。だから、タメ口でも良いよ!」

「国語習いました?だからと後の言葉が繋がってないんですが?」

「言いじゃん別に!仲よくしたいの!」

「子供かよ。」



 ぼそりと呟いたリトの一言はしっかりとシルリアの耳に届いていた。



「ふっふっふ、誰が子供か!」

「え?聞こえた?」

「聞こえてるわ!犬狼族の鼻と耳と目の良さを舐めるな!」

「あれ?犬狼族って山奥に隠居した種族じゃ?」

「例外もあるの!やだよ山みたいな陰気なところ。」


(山を陰気とか言うなよ。俺、山ん中の村出身なんだけど。)



 流れるように失礼な言葉を言うシルリアに呆れるリト。しかし、不思議と不快感は湧かなかった。シルリアの人柄故か、リトの故郷に対する感情故かは本人のみぞ知る。



「それで、テストの方はどうだったの?」

「ボロ負けもボロ負けですよ。一問しか解けませんでしたもん。いや、自身の考えを書きなさいって話だから解けてもいないですけど。」

「何々?」

「基礎魔法の実用性の問題です。」



 リトの言葉にはてなを浮かべるシルリア。



「基礎魔法の?そんなの実用性ありすぎるよ?」

「ですよね?火属性の基礎魔法は料理にも使えますし。」

「そうそう。魔力の消費も小さいからね。助かるよ。」

「何で皆上位の魔法ばかりに目が行くのか。」

「だよね~。まぁ、ユニーク魔法持ってる私が言うのもおかしな話だけどね。」



 意外なところで息の合う二人である。実際基礎魔法は実用性がないものとして酷くぞんざいに扱われ、重宝もされていない。そのため基礎魔法しか使えないとなるとこの学院での生活は致命的になるのだ。



「ごちそうさまでした。美味しかったです。」

「いいよ。それより!敬語!!」

「あ…。分かったよ。これからよろしく。シルリア先生。」

「うんうん。じゃあ、午後の実戦テストも頑張って!」

「分かってるよ。」



 そういって二人は別れた。リトはもうすぐ実戦テストが始まるため、外の闘技場施設に向かう。会場は4カ所あり、『第1闘技場』『第2闘技場』『第3闘技場』『第4闘技場』と名前がある。リトは急いで第2闘技場に向かった。



「始めっ!!」

「でやあああ!!!」



 会場に入れば既に試験自体は始まっていた。今は最初から4番目の生徒が試験を受けている。それを確認したリトはまだしばらく時間があるためベンチに座り、瞑想を始めた。



「お?災いの呼子じゃね?あれ。」

「キャーッホント!天変地異でも起きるんじゃないの?」

「あん?」



 突然後から話し声が聞こえ、振り返るとカップルがリトを指さして笑っていた。リトはそれを確認した後、興味なさそうに再び瞑想に入る。



「やっぱり剣聖が教師になって指導してくれるなんて良いよな?」

「そう?私は賢者の方が好きなんだけど?」

「おいおい、俺はどうでも良いのか?」

「あなたが一番に決まってるじゃない!」



 公の場でわざとらしくイチャイチャする二人組に少しイラつきながら瞑想を続ける。周囲の生徒も二人を睨んでいるが、何も言えないようだ。何故なら二人が主席候補であるからだ。


 男性の方は『剣閃のガル』、女性の方が『幻惑のミナ』。既に二つ名を与えられた実力者なのだ。



「次!ガル・フォートレス!」

「はい!」

「がんばってぇ~。」



 語尾にハートがつきそうな勢いで応援するミナ。それに応えるように力強く踏み出すガル。その二人の様子を試験官とリトは冷めた目で見ていた。



((遊ぶなら家に帰れよ。))



 見知らぬ二人の意見が合ったようである。



「よろしく頼むよ。」

「全力できてくださいね。ルイさん。勝ちますので。」

「おや?強気だね?これなら僕も楽しめそうかな。」


(ルイと呼ばれた剣聖の目。冷たいな。ありゃあ本気で殺す勢いの連擊がくるぞ?耐えられるか?)



 冷ややかな目の中に少しの怒りを宿す剣聖をみたリトはガルの行く末を心配した。いくら木刀とはいえ相手は剣聖。一瞬で命を刈り取られる可能性すらあるのだ。



「それでは両者並んで。始め!!」

「早速、『千閃龍嵐』!」


(二つ名に相当する実力はあるな。でも、威力も速さも剣聖に少し届かず…か。)



 ガルの持つユニーク技に少し感嘆の意を漏らすリト。しかし、剣聖も伊達に伝説の職業ではない。技も使わずに無数の剣先をさばく。右に左に、上に下に。全力で何千もの往復を繰り返すガルと最小限の動きで余裕にさばききる剣聖。優勢なのはどちらか。一目瞭然だった。



「はぁ…はぁ…。」

「中々良い剣筋だね。この年でこれだけできれば優秀な戦士になれるよ。」



 お互いに距離をとる剣聖とガル。しかし、ガルは疲労しきっている。その反面、剣聖は余裕な表情で余裕な構え。しかし、次の瞬間には相手を殺す目をしていたのにリトは気付いた。



「さて。これを防げれば君はさらに強いと証明できる。受けて立つかい?それとも、降参するかい?」

「はぁ。受けて立つに決まってんだろ?何寝ぼけたこと言ってるんだ。」


(寝ぼけたこと言ってるのはガル。アンタだよ。自分の残り体力も気付かないようではまだまだだ。それに次の一撃の構え方は本気だ。一撃必殺。目でも追えない光の剣擊。『居合』だぞ。)



 深く腰を落とし、左手に木刀をもち、右手を添えるその姿。リトが過去に剣の師匠として敬った東国の戦士。サムライと呼ばれた彼の使用する居合そのものだった。


 その一撃を受けたリトだから分かる。あの構えはまだ途中段階だが、一般の戦士が見きれる物ではないと。さらに剣のスペシャリスト。剣聖が扱うのだ。速度はともかく、威力は一目瞭然。下手をすれば…胴体分断…。



「この石が落ちれば動く。いいな。」

「こい!」



 剣聖の投げた石がゆっくりと降下し始める。その間にリトは自信の瞳に『身体強化』と『効果増強』の魔法を二重にかけた。石の動きがさらに遅くなり、ゆっくりと地面に触れる。瞬間剣聖は左足で大地を踏み抜き、僅か一歩で懐に迫った。


 右足をガルの前に置き、鞘から剣を抜くと同時に腰を捻り、威力増強を図る。ガルと剣聖の間合いは木刀が届くかどうかギリギリ。しかし、そのおかげで木刀の威力は増し、その速度は目で追える代物ではなくなる。リトの目に映る剣聖は既に残像となっていた。



ズガァッ!!!!



「カハッ!」

「勝負あり!」



 待っていたのは静寂。嵐の前の静けさと言うが、嵐が過ぎ去ったあともまた静寂なのだ。木刀を木刀にぶつけたとは到底思えない鈍い音。弾かれたガルの木刀は音速を超え、壁に突き刺さっている。『結界』『硬化』『効果増強』のかかった壁に突き刺さった木刀は抜けないだろう。それこそ壁を溶かさない限り。


 みていた生徒は皆恐怖に固まった。しばらくすれば次は自分。そのことが脳に焼き付いて離れない。しかし、その中でもリトだけは違った。無邪気に口角をあげ、楽しそうな表情をしている。



「次!リト・ストライド!」

「はい。」



 名前を呼ばれ、リトが立つ。周りは黒髪黒目のリトに向かい陰口を話す。しかし、リトは剣聖との闘いで頭が一杯だった。


 剣聖と顔を合わせるときにはリトは既に無表情になっていた。先程の剣聖の動き、自分の実力がどれくらいのものか知ることの出来るチャンスだとリトは考えていた。



「黒髪黒目とは珍しいね。どこから来たんだい?」

「北の大陸の山の中です。リト・ストライドです。よろしくお願いします。」

「礼儀正しいのも評価しておくよ。じゃあ、実戦形式だけど、頑張って。」

「はい。」



 簡単に会話をしてから両者構える。ルイは先程と同じ構えを、リトは脱力して立っている。



(…コイツはなにをしている?今から実戦形式の試験なんだぞ?)



 リトの行動に困惑するルイ。それもそのはず、リトは今隙だらけなのだ。それこそスライムに不意打ちをとられるほどに。



「両者とも、準備は良いですね。」

「ええ。」

「はい。」

「では…始め!」



 先に動いたのは剣聖ルイである。始めから脚に力を集中させていたその踏み込みは20メートルの距離を一瞬、それもたった一歩で詰めた。しかし、そこで慌てるリトではない。


 横薙ぎの木刀を半歩下がり、紙一重で避け最短距離で突きに入った。脱力したから突然繰り出される木刀をルイは顔をずらし躱す。


 刹那に起こった二人の攻撃。それを目で追えた者は誰もいなかった。





 まだ試合は始まったばかりである。

本っ当に申し訳ありませんっ!!モチベがうんたらとか学業がなんて言い訳しません!ただ二ヶ月間書く気がなかっただけです!


小説アプリを開いて久しぶりに九割方書かれたこの話を見て再び投稿することにしました!


殆ど修正していないので誤字脱字はあると思います!あれば報告お願いします!

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