表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

1話 入学試験1

二話目の投稿!

※テスト期間なのに投稿をしている作者はバカである。

さて、いよいよ本編に入り始めます。二時間程度で書いた物なのでクオリティはお察しの通り。何とかギャグっぽい物も入れたいなと思いつつ書いてみたんですが…。まぁ…うん。


何とか形になり始めた気がするのでよしとしましょう。学者さんは少し進みまして1500文字ほど書けております。…目指せ5000字なのでまだまだですけど。


とりあえずどうぞ。

 世界最大の魔法都市『グルム水上都市』。水の上に魔法によって浮かぶその都市は世界各地から魔法の腕を鍛えるために人が集まる。その中でも有数の魔法学院『オルタム学院』の正門前にリトは立っていた。正門の近くには『入学試験会場』と書かれてある。それを見てリトは一言。



「どうしてこうなった。」



 自分の運命を嘆くかのように呟いた。









 ことの始まりは二週間前。リトと七年前に契約を結んだリオンからの一言だった。



「リト、お前魔法学院に入れ。」

「は?」



 突拍子もない一言にリトは素で聞き返した。リトは契約してから七年。幾度となくリオンにより戦闘を強要され、実力を身につけさせられた。あらゆる武器を扱えるようしごかれ、初期魔法は全て使えるよう無理矢理覚えさせられた。


 そんな自分に今更魔法学院に行く理由はあるのか。そうリトは思ったのだ。



「俺はもう全属性の魔法は覚えている。今更魔法学院なんて。」

「アホかお前は。ったく、指導者の顔が見てみたい。」

「…。はい。」

「違うそうじゃない。」



 指導者の顔が見てみたいと聞いたリトはすぐさま鏡を用意する。それにリオンはツッコミを入れる。いつもの会話になりつつあった。


 しかし腐ってもリオンは神獣。話をそらされていると気が付き元の会話に戻ろうとした。



「あ、あそこにエビルバードが。」

「どこだ!?」



 神獣とは何なのか。そのこと疑問に思ったリトだった。余りにも騙されやすいリオンにリトは呆れる。話をそらすことに成功したが、魔法学院に入る理由を知りたい。リトは自分からわざわざ話を蒸し返した。 


 何もリオンが哀れに思えたからではない。決して。リトの眼から零れる水は哀れみの涙ではなくただの汗なのだ。



「それで、何で俺が魔法学院に?って聞けよ。」

「ハッ!?そうだったそうだった。お前、魔法を覚えたって言っても初級だけだろ?ありゃ子供だましにしか使えない。」

「え?何ソレ。じゃあアンタは俺に使えない魔法を教えてたの?」

「そう言うことだ。」



 余りにもあっさりとした返答にリトは怒りすらも覚えなかった。その目に映るのは侮蔑の色。自信満々に初級魔法を教えたリオンにありったけの蔑む視線を浴びせる。


 リオンはできるだけその視線から逃れようと体を縮こまらせる。



「初期魔法だけでは勝てない敵ももちろん居る。ならば魔法を鍛えれば勝てるというわけだ。」

「そんな簡単にいかないだろ。」



 何とも単純な思考回路を持つ神獣を見るリトの眼はだんだん細められる。なりもしない口笛必死で吹き、誤魔化すリオン。何だかんだ仲が良い二人である。


 その二人の元に一人の女性がやってきた。左側の額から小さな角を生やした女性だ。彼女は呆れた眼で二人を見ながら会話に入った。



「一体何の話をしているんですか?」

「聞いてくれユナ!リトが魔法学院に入らないって駄々をこねるんだ!」

「いや、駄々はこねてねえよ。今更行く必要がないと言っただけだろ?」



 必死でユナを仲間に引き込もうとする二人。ユナは小さくため息を吐く。



(これが最強と噂の放浪人だなんて…。世界はどこか間違ってるわ。)



 などと思いはするが口にしない辺り優しいユナ。例え口にしてもリトはいつものように自分を卑下するだけであろうが。


 とりあえず今は二人の言い争いを止めるべき。そう判断したユナは口を開けた。



「確かに今更魔法というのも少し考え物です。」

「だろ!」

「何だと!?」



 ユナの答えに勝ちが確定したとドヤ顔でリオンを見るリト。対照的にあり得ないと不満げな顔で憎たらしそうにリトを見るリオン。


 しかし、ユナの話は終わっていない。



「でも、リトさんは知識不足ですし、その点では学院に行くのも手かと。」

「え?」

「ほら見ろほら見ろ!!」



 先程と打って変わって逆の意見を出され狼狽えるリトと勝ちを確信したリオン。


 しかし、意地でも学院に入りたくないリトは意地でも学院に入れたいリオンと口げんかを始める。


 ユナは知的で非常に穏やか、かつ冷たい空気を纏う彼女ですら長々と言い争いを続けられれば頭にくるという物。ユナはとうとう最終兵器を取り出した。



「今日は私が腕によりをかけて料理を作り」

「俺は学院に入学するぜ!リオン!サポート頼んだ!」

「おう!お前のためだ!全力で手伝うぜ!」



 言い争いも無事に終わり、めでたしな筈だが、ユナは納得のいかない表情で二人を見ていた。








 最後は関係なかったかと思うリト。しかしそれよりも大切なことが一つだけあった。



(テストと実技があるとか聞いてない。)



 そう。入学試験だ。特にこの学院は世界でもトップクラス。生半可な学力では入学など何年経とうとも不可能だ。しかし、落ちてしまえばユナの料理が待っている。


 落ちたら地獄、受かったら学院という監獄。どちらにせよ昔のように楽しい毎日は望めないと遠い目をするリト。しかし、来てしまったからには仕方がないと腹をくくり、その門を一歩踏み出した。



「すいませんどいて下さい!!」

「え?」



 爆音。リトの顔面に巨大な火球がぶつかり、爆発が起きた。現場は騒然。何が起きたか未だに把握できていないリト。しかし、一つだけ言えることがあった。



(魔障壁張っといて良かったぁ。死んだかと思ったぁ。)



 心の中で自分を褒めるリト。幸いリトに怪我はなく、周りの人も巻き込まれた様子はない。というか皆黒髪黒目のリトから距離を取っていた為爆発から逃れることができた。


 つまり、リトしか攻撃を受けた者はいない。と言うことである。幸先が不安なリト。その元に一人の少女が近づいてきた。



「すいません!怪我はありませんでしたか?」

「あ、あぁ。魔障壁を張っていたからな。特に怪我はない。にしても、今の魔法はアンタが?」

「はい。私の一族に伝わる魔法で、対象を爆散させることができるので、また人を殺してしまったのかと!」



(えぇ…。この人前にも人殺したのかよ。いや、今回は死人いないけど。こんな危険なところなの学院って。)



 余りの衝撃発言に白目をむくリト。リトの中で少女は警戒人物にランクアップされた。



「あっちで魔法の練習してたら間違えて長距離の球を飛ばしてしまいまして。」

「そうか。まぁ、怪我がなかったから別に気にしてない。」



 リト、この年になって初めて嘘をついた。冷静を装っているが、内心ビビっている。というか逃げ出したいとすら考えている。


 ふとリトは気になった。あっちと少女が指さした方向はここから正反対の位置。この学院は広く、一周するのに徒歩三時間かかる。彼女の発言から学院内で放った魔法ではないため、かなり離れた距離を魔法はとんできたのだ。


 誰一人と衝突せず。



「と、とりあえず名前は?」

「あ、シルリア・ファン・ルシュトフルダム・コルネリアです。」

「…。はい?もう一回言ってくれるか?」



 名前が長く、聞き取れなかったリトは聞き返した。それに嫌な顔せず少女は答える。



「シルリア・ファン・ルシュトフルダム・コルネリアです。」

「…三回早口で。」

「シルリア・ファン・ルシュトフルダム・コルネリア。シルリア・ファン・ルシュトフルダム・コルネリア。シルリアファン・ルシュトブッ!?」



 三回目にシルリアは舌を思いっきり噛んだ。少し血が滲んで涙目になっている。それを見たリトは内心ほくそ笑んでいた。



(俺に危険な魔法を当てた罰だザマーミロ。)



 性格の悪い男である。



「長いからシルリアでいいか?」

「はい!あ、ここの先生をしてます。試験に来たんですよね?案内しましょうか?」

「え?」



 さらに驚きの事実。この少女、先生である。そこでリトは思い出した。リオンが言っていたではないか。『学院にいるシルリアと言う少女は先生で俺とタメだから、困ったらそいつに頼れ。』と。



「じゃぁ行きまヘブ!?」

「……………。」



 余りの情報過多に追いつけず、リトは思考が完全に停止してしまった。


 それもそうだ。目の前の少女にしか見えないシルリアが神獣と同い年であり、名前がこれでもかと言うほど長く、さらに魔法が途轍もなく強い。しかも一族で伝わる唯一の魔法ときた。挙げ句の果てにはドジっ子?属性も持ち合わせている。これほど情報の多い人は見ないだろう。


 ようやく思考停止から復活したリトは慌ててシルリアを追いかけた。







「はい!ここが会場になります!」

「……すげえ。」



 リトは言葉を漏らした。筆記試験の会場には既に数百人の受験者が座っていた。机に張られている番号を探して座るようだ。


 リトの番号は2030。机に向かって右から二番目の列の丁度真ん中あたりだ。リトはその場所に行き、大人しく座る。しかし、どこか挙動不審である。



(人が多い、人が多い、人が多い、人が多い、人が多い!)



 普段は少人数で活動することが多かったリトにとってこの密室に数百人の受験者というのは辛かった。さらに黒目黒髪であることから周りからの視線が痛いのだ。


 リトは必死で心を落ち着かせる。失敗すればユナの手料理が待っている。なんとしても成功させねば。そう強く願って。





──リト宅──


「ん?何か失礼な気を感じましたが気のせいでしょうか。………。今日の晩ご飯は私が作りましょう。」

「ヒエッ…」



 結局ユナの手料理となることが決定した瞬間である。



───────





 今帰っても、受験を終えたとしても結局ユナの手料理になるということなど知らないリトは心を落ち着かせることができていた。



「あと五分か…。」



 リトはヒマなため周りを見渡す。周りはほとんどが準備し終えている。しかし、数人チラホラと未だに勉強している生徒もいた。


 リトはといえば参考書などもっていないので勉強せず、瞑想していた。半ばテストを諦めていたのもあった。



「見ろ、黒髪黒目だぜ?」

「何でこんな所にいるのかしら?」

「帰れよ。」

「不気味~。」



 ヒソヒソと生徒の話す声を聞いてリトは耐えきれなくなり、逃げ出した。と言うことはなく、むしろ堂々としていた。リトは分かっているのだ。ここで帰ればさらに笑いものになることを。


 八割方ユナの料理を食べたくないというのが本音だが。


 堂々としているリトに周りの生徒は飽きたのか。それとも時間が近いため話すのを止めたのか。とにかく陰口は聞こえなくなった。


 と同時に試験官が入ってくる。高身長で細身、黒い服に身を包んだ男性だ。



「それじゃあ用紙を配る。」



 前から順番に用紙が渡されて行く。ようやくリトの番。とその時リトの頭上から手が伸びてきて用紙の受け渡しが行われた。


 リトに用紙を配らないためだった。それも、先生が説明のためによそを向いた瞬間を狙ってだ。リトの両手に用紙はない。詰んだも同然だった。



「やばいな。」



 周りからかすかにクスクスと笑い声が聞こえる。リトの額には脂汗が滲み出していた。



「用紙が配られてない者はいないな!!」



 このタイミングだ。そう判断したリトは手を上げて用紙をもらえなかったことを伝えようとしたが、今度は隣の生徒が先に手を上げた。



「先生!この人がテスト用紙を破って捨てました!」

「…。」



 先生は顔をしかめ、小さくため息をついてからリトの方に歩いてくる。隣と前後の生徒がニヤニヤとしているのを何となくだが感じ取っていた。


 リトはといえば半分諦めに近い表情で先生の目を見続ける。



「本当に破ったのか?」

「いいえ。破っていません。私に紙が渡されませんでした。」

「嘘を言え!破ってただろうが!」



 そうだそうだと教室の生徒は叫び、はやし立てる。先生はリトの顔をジッと見いる。リトも負けじと先生の目を見続ける。ふとリトは先生の蒼い目が淡い緑色に発光したのに気が付いた。途端、脳内に何かが巡る感覚がする。


 気持ちが悪くなりながら先生の目を見続けると淡い光が消えた。そして、表情を変え、怒鳴った。



「貴様ら!この生徒を嵌めるとはどういうことだ!!」

「「はぁ!?」」



 周りの生徒は急に自分達が怒られて驚愕した。さっき黒髪黒目の男が紙を破ったと言ったのに。そう教室の誰もが思った。



「真実の眼…。」

「ふむ、貴様この魔眼のことを知っているのか?」

「あ、はい。知識としてだけですが。」

「そうか。」



 先生はそれだけ言うと教卓に戻った。そして一言。



「黒髪黒目の生徒以外脱落だ!!」

「何でだよ!」

「テストも受けてないじゃない!!」

「黙れ!」



 リトは叫び声がうるさすぎて耳を手で塞いでいた。先生の口元に集中して読み取る読唇術を使った。



「貴様らまさか真実の眼を欺けるとか考えてないだろうな?先に言っておく。真実の眼を欺くことなど不可能だ。この学院は全ての生徒が魔法について学習する所だ。人を陥れるなど言語道断。即脱落だ。そうパンフレットにも書いたはずだが?」



 先生の言葉によって全員黙る。しかし、一人だけ手を上げる生徒がいた。リトである。



「先生。別に気にしてないんでテスト受けたいんですが良いですか?」

「貴様…まだ話が終わっていないだろ?」

「今話されてテスト受けられなくなったら俺が困るんですよ。周りの部屋でもテストあるんでしょ?時間も決められてますし、早くした方が良いですよ。それに。」



 リトは基本的に冷静である。物を盗まれても対処して終わり。襲われても適当にあしらって即逃げる。それがリトだ。しかし、今回はユナの料理という自身の命がかかっている試験なのだ。よって、今回のリトは少し焦ると同時に怒っていた。


 リトは目を少し細め、口角を上げる。途端、教室の中には冷たい気が漂い始める。周囲の生徒は動けなくなる。先生も同様だ。



「次は無いんで。」



 これがこの状況でなければリトの純粋な笑顔に皆頬を緩めていただろう。しかし、殺気を放つリトの笑顔は純粋な恐怖しか感じ取れなかった。


 先生も何も言えず、全員着席させ、テストを開始するしかなかった。



「テスト、始め。」



 前代未聞の凍り付いた空気の中での試験。全ての生徒や先生。リト以外の人物は胃に穴が開くような感覚を覚えながら問題を解き始めた。



(ヤバい、分からない。ユナの料理食べることになる。死んでしまう!)



 リトは別の意味で胃に穴が開くような感覚を覚えていた。

今回も読んでいただきありがとうございます。今は調子が良く(この物語のみ)そこそこのペースですが、次からは多分全然進まなくなるかもです。はい。基本私が作品するとこんな感じなので。毎日投稿できる人は凄いですね。


アドバイスや評価、感想、誤字報告などどしどし送ってください。決してポイント稼ぎや感想稼ぎではありません、決して!


あ、でも物語と大して関係ない適当な悪口は書かないでくださいね?豆腐の心が潰れるので。それではまた次回!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ