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悪役令嬢の困惑と混乱



「な、な、な、なにを言っているのテランスったら」


「ベアトリス様は主の花嫁候補、爵位だって伯爵(うち)より高い、諦める理由なんてそれだけで十分でした。だけど貴女がグランツ様を好いておられないのなら……私が、ベアトリス様に選ばれてみせると申し上げているのです」



 ど う し て こ う な  っ た ?


 そもそもグランツルートの場合、テランスはいわゆる「噛ませ」に該当するスチルがある。これは親愛度がそんなに高くなくても発生するものだ。グランツとテランスがセットで出てくる回数が多いため自然とグランツルートのテランス、テランスルートのグランツというものが存在した。少なくともゲームをしていた時はそうだった。


 それがどうして、この男は私の目を見て選ばれるだなんて口にしているの?


 テランスは好きだ。なんならイチ押しだ。だけどそれはあくまでゲームの話、攻略対象だと分かっている彼をそんな目線で見てきたことはない。実際「今まで」はその噛ませイベントが発生していたのをベアトリスは知っていた。


 なぜ、どうして、何が起きてるの?

 ぐるぐると目を回していると、テランスは手を取って傅いた。



「困らせたいわけではないのです、ただベアトリス様にとっての男が自分であればと願っているだけで。……お送りいたします、さあ、参りましょう」



 本気でわけがわからなかった。



「ベアトリス、なにか悩んでいるのかしら?」


「いいいいいいえお姉様!! ななななななんでもありませんのよおほほほほほほ」


「明らかに動揺していますと言わんばかりだけれど……まあいいわ、困ったら相談なさいな」


「ええぜひそうさせていただきますわ」



 n回をこなすうちに彼女は気が付いた。私が「嫌がらせ」をしなければ「悪役令嬢」はお役御免になるに違いない!と。

 彼女の考えの半分は合っていた。たしかに「悪役令嬢」としてはお役御免になる。だがしかし役持ちのベアトリスがそうそうモブになんてなれるわけないのだ。



「((ベアトリス)ルートになっちゃった、ってこと~~~~!?)」



 しかもテランスのルート。グランツは順当にいけば今回はヤヨイとかいうヒロインとくっつくのだろうが、いかんせんイレギュラーになった場合どう動くかが全く予想できない。なんなら「やっぱりベアトリスが一番だと気が付いた」とか言い出しかねない。勘弁してほしかった。



「私はグランツとテランス以外には二コラとノエルくらいしか接点ないんだし……大丈夫だよね……善人令嬢貫いたら何とかなるよね、なってくれ、そうじゃないと困る」


「ベアトリス様?ご気分が優れませんか?」


「なんでもありませんのよサシェ!大きなひとりごとですわ!」



 とにもかくにも、ヤヨイを家に招いて空いている部屋を貸してあげよう。そうしたらまたなにか変わるかもしれない、とにかくグランツに断罪される未来は一旦消えたので良しとして明日学校に行ってからまた彼女に声をかけてみよう。父親はアレで娘にメロメロだ、勝手に連れてきても文句は言わないだろうしもうやめやめ深く考えるの終わり。


 大きなため息をついてベアトリスはベッドにもぐりこんだ。

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