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どうして私がベアトリスに?




 「もしかして…あなたが噂のご令嬢、かしら?」


 「まあっ、出自も心も貧しくていらっしゃるのね」


 「その程度でグランツ様と釣り合うとお思いになられたの?」


 「わたくしをごらんなさい、あなたなんてね、同じ舞台に立つことすらありませんのよ」




 はーーーーーーーーーーーーーーー。いやいやいやいやいやいや、まったくもうなんなんですかってそんなのこっちの台詞ですよ意味が分かりませんよ。ため息つきたいのはわたくしのほうですわ!おっとキャラがブレる。やってらんねえなあ、ったくよお!


 内心そんなことを考えながら、顔の半分を羽根のついた扇で隠し目だけは相変わらずの冷たさを保つ。もっとも口元にまでそんなに気を使う体力はないので扇って小物は本当に便利だなあと彼女は一人、心の中だけでごちた。


 アンスフィアの聖女(おとめ)

 それが生前、彼女が友人から押し付けられた乙女ゲームの題名(タイトル)だった。


 全く興味がなかった、とはいえ「ここの会社はシナリオもいいし美麗スチルだし、とにかくエンディングが豊富でノーマル、ハッピー、バッドはもちろんトゥルーにメリバ、殺害、自殺、ヤンデレ、ハーレム、三角関係ってなんでもありなの。だからこそスチルの全回収はめちゃくちゃ難しいんだけど、私の推しはこのパッケージの真ん中にいるグランツ様で彼はメインの国の王子様なんだけどうんぬんかんぬん」

 

 まあ、とにかくそんな流れで押し付けられた。もともと男性アイドルの追っかけをしてた彼女がどういう経緯でとは思ったがなるほど、そのグランツとかいうのがアイドルに似ていた。まあビジュアルだけで恋愛して王子キャラなら彼女はどんな経緯であれ喜んでプレイしたんだろう。そうかそうか、いつもの「布教」だったか仕方ないな。


 

 メインシナリオとしては、家なき少女がベースとなっているものでフランスに見立てたとある国の嫡男であった父親と、インドの資産家の長女であった両親と旅回りの写真家をしていたが天涯孤独となってそのフランスの父の実家を目指すわけだが、そのあとの国についてからがいわゆる乙女ゲームシナリオで分岐が存在した。


 王子であるグランツ。その付き人のテランス。ヒロインのいとこにあたるアベル。工場長のミシェル。祖父の甥にあたる二コラとノエル。本来なら友人の女の子ポジションのパトリック。それから隠しキャラのジルベール。計八人いる。とりあえずグランツだけでもと思いながらも一応全員分やった。ゲームとしてのボリュームは満足だった。



 さて、そのグランツとテランスのルートではグランツを狙う資産家の娘であるベアトリスといういわゆる「悪役令嬢」が存在する。ほかのルートにもなにかしらいるけどそれは一旦置いといて。

 自分はいまその「悪役令嬢」になっていた。意味がわからない?大丈夫、本人だってよくわかっていない。転生、といってもベアトリスとしての幼い記憶はあまりにも他人事で彼女自身どうして自分がベアトリスになったのかよくわかっていなかった。


 なんであれ。



 「はあ、悪役令嬢(わたし)その他大勢(モブ)になりたいのに」

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