第1話 人間卒業Ⅰ
俺は安部礼司。運動音痴と人間関係に無関心な性格(コミュ障じゃないんだからね…)を除けばほとんどの能力が平均だ。19歳で、もちろん 彼女いない歴 = 年齢 の大学1回生である。
中学の時に入った部活は吹奏楽部。歌よりも器楽曲の方が好きだったので入部したはいいが男子は1人…
顧問に呼び出され、「男はお前だけだったな。チューバを任せた。」というなんともあるあるな方法で楽器が決まった。
一応高校でも続けたが、これだけ女子率の高い部活にいて、彼女いない歴 = 年齢 である。しかし楽器を吹くというのは普通に楽しかった。
まあ、色々あった…という訳もなく平凡に過ごし、一応大学には進学できて3ヵ月というところである。
今日も大学の講義のため、早起きしていつものバスに乗る。
ブロロロ…
(なんかいつもと乗り心地が違うような…気のせいかな?)
(寝ていればつくか。)
ギギギギーーー!!
フワッ…
(なんだ今の音…)
(…ん? ふわ…? もしかして落ちてる?)
目を開けると客がバスの中を舞っている。
パニック状態どころではない。
外を見ると、地面と青空が移り変わっている様子が見える。
側転しながら落ちているようだ。
回転しながら落ちるジェットコースターは、某テーマパークのウーエスジェーにもあったが、側転するジェットコースターは見たことがない。
転生でもできたら遊園地で考案してみるか。
ジェットコースター乗れないけど…
あと、落ちるまでって結構時間かかるもんだな…
死に際に時間が長く感じるってやつか。
今のうちに両親にLIONで一言送っておこう。
(今までありがとう、本当に楽しい19年でした。)
送信…
ズドン
血が流れていく。意識も遠のいていく。
(ああ…悪くない人生だったな。)