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幸薄メイドと籠りブタ  作者: 風犬 ごん
7/9

王都

 一日の終わりはシャワーを浴びてスッキリするのが私の日課だ。

 いやぁ、やっぱりお風呂って気持ちがいいわよね。さすがにネルと一緒に入るわけにはいかないから、私が終わった後にネルも綺麗に洗って、一息つくとやっと私たちはベッドへと潜り込める。

 慣れてきたとはいえ、侍女ってのは大変なお仕事だなぁ。なんていつも思う。

 あ、そう言えば。ベッドに入ると言っても、ネルと一緒にベッドに入ってるわけじゃない。

 いくら今はかわいい子ブタとは言え、元は人間の男なんだから、一緒に寝るわけがない。当たり前だ。

 ネルにはきちんと専用のベッドを作ってあげたので文句は言わさん。って、別にネルが文句を言うわけもないんだけど。

 小さい篭にやわらかいクッションを敷き、ネルの体にふわふわのショールをかけて、彼の寝床は完璧に近い出来だ。


「だけど魔法具があるらしい部屋がすぐにわかってよかったわね」


 私は窓の棚に置いたネルの寝床に体を向けて、小さな声で言った。


「まあ、それはよかったんだが、もう少し気分的なものを味わいたかった」


 仔ブタはそう言うと、篭から鼻先を少しだけ出して鼻息ひとつ。


「本気で推理小説ばりに探偵ごっこさせられたらたまんないわよ。面倒くさい」


 まったく暢気なブタさんだ。


「場所は一先ずわかったが、問題はどうやって取りに行くかだな」


「別にそれってたいした問題じゃないでしょ。何食わぬ顔で部屋に入っちゃえばいいじゃん。てか、それよりも私はいろいろ確認したいこととか、やらなきゃいけないことがあるから、実際、道具を取りに行くのは早くても十日後くらいがいいんだよね」


 私の言葉が暗い室内に消えると、ネルはもぞりと動いて篭から頭だけを出し、つぶらな青い瞳を私へと向けてくる。


「いつ行くかのタイミングはアンバーに任せるが、まず部屋に鍵がかかっている可能性だってあるだろ? 下調べしたほうがいいのではないか?」


 言われてみればその通りだ。

 ミスロイがユージーに唯一残した形見ってことなんだし、さすがに不用心に開けっ放しにはなってないか。


「うーん。そうねぇ。鍵がかかってるとしたら、持ってるのはユージーだろうし。目的の部屋にだれがいつ出入りしてるかも調べたほうがいいか」


 というわけで、明日からの行動は決まった。





 それにしても、いいかげんに休みが欲しい。

 翌日、いつものように妹の世話をして屋敷の掃除を始める。表向き普段通りだが、今回は普段と違ってやることが一つ増えている。

 廊下の掃除をしながら少しだけ早足でユージーの部屋の前を通り過ぎ、角を曲がったあたりでいったん足を止めた。


「そういうわけで、あそこがユージーの部屋。だから、ハモンドさんの言ってた部屋はその隣ってことになるね」


 あたりに誰もいないのを確認しつつ、廊下の角からちらりとだけ目的のドアのほうをのぞき込めば、私の足元でネルも同じようにちょこんと頭を出して場所を確認していた。


「つまり、私があのドアを見張ればいいのだなっ」


 気持ちソワソワしている風な仔ブタの返事は、その声までなぜか楽しそうに聞こえる。ったく。こいつは、本当に困っているんだろうか? と、私はつい呆れた視線をネルに向けてしまう。危機感のないブタね。

 まあそれはいいとして。


「そう。私たちの仕事のローテンションが七日間で一週だから、そのくらい見張ってれば人の出入りとかわかるでしょ。まあ夜はわからないけど。そもそも夜は私のほうが行動しない。眠いから」


 頼まれたって夜に動き回るのはごめんだ。


「それでかまわない。さすがに昼間仕事をしているアンバーにそこまで無理を強いるつもりはないさ」


 仔ブタはそう言うと、私を仰ぎ見て鼻を引くつかせて見せる。人の表情で言うなら苦笑いと言うところだろうか。


「ま、そういうわけで見張りは頼んだ。まあ、後で買い物には行くと思うから、またあとで迎えに来るね」


「買い物?」


「仕立て屋にね」


 本当に面倒くさいが、これもほぼ日課になりつつあるから慣れたものだ。

 セイラのあの浪費癖は本当に何とかしなきゃいけないんだけど、誰よりも注意を促さなきゃいけないユージーが誰より激甘なんだから、これじゃあセイラのわがままが修正されることはないかもしれない。

 とにかく、あとはネルに任せて私は時間まで自分の仕事をこなしてしまおうと、いったんネルと別行動をとり、私は自分の仕事をかたずけるために廊下の掃除を続けた。





 バリネウス家は王都を出てすぐのところにある森の手前に居を構えている。

 バリネウス家に限らず、他の伯爵家も同様に王都の外に居を構えているのはわりと少なくない。王都に屋敷を持てる貴族は割と限られているらしい。と、言うのはネル情報だ。

 王都には王族とそれに近しい貴族が暮らしていて、それ以外はみんな外と言うのが貴族間での常識だとか。どっちでもいいじゃん。なんて、庶民の私は思うけどね。

 蛇足だが、王族に近いと言うのは、たとえば宰相様だったり、騎士様だったり、親戚などだったり、そう言う人たちのことを言うらしい。そう言う人たちは基本的に伯爵以上の爵位を持っているってことだ。

 そうは言っても、侯爵とかの位は伯爵位を持つよりも断然少ないんだけど。

 話を戻そう。

 午前中の仕事が終わると、私は早速ネルを回収して小さな荷馬車に乗り込んで王都へと向かった。

 バリネウス家から王都までは、荷馬車で約二時間と言ったところだ。往復で四時間もかかってしまうから、買い物に出る日は午後が丸っと潰れてしまう。

 個人的には面倒くさい妹の我がままを聞かなくて済むので、どんどん外への買い物を言いつけてもらってもかまわないとは思っている。

 だけど、こういう風に外に出る機会でもないと、私は自身の買い物すらまともにできないので本当に困りものだ。

 今のところ休みが全くないから、普段着の必要性が全くないんだけどね。

 たまにはちょっとおしゃれな服を着て、王都をぶらぶら歩きたいなぁ。なんて。

 出来れば、素敵な男性とデートとかできたら、もうそれだけでひと月は妹のわがままを喜んでこなしてもいい。

 今のところまったく、デートどころか出会いさえもないけどねっ!


「はぁ~~~」


「どうした?」


 小さな荷馬車に揺られること一時間と少し。まだ王都の入口は見えないが、そろそろ森の景色が林と草原に変わり始めたあたりだ。遠目に畑と農家がちらほらと見える。

 景色を楽しげに見ていたネルは、私の大きなため息に振り返り、首を横に倒して見せた。

 どうって言うかねぇ。


「あんたは楽しそうでいいわね」


 別に嫌味ではないが、バリネウス家で働き出してこっち、まるで楽しいことを見つけられないでいる私にとって、ネルの楽しそうな姿がちょっとだけ羨ましい。


「ああ、初めて外の景色を見たからな」


 ネルはそう言うと、また遠くの景色に顔ごと視線を送り、ゆっくりと流れる風景を満足そうに眺めはじめる。


「本当に、どこの箱入り息子よあんたは」


 とは言うものの、一年以上も地下室に籠ってたんだし、外の景色を見るのはやはり楽しいのだろうとは想像できる。が、ネルは今『初めて』っていったよね? その言葉には違和感だ。普通なら『久しぶり』って言うんじゃないのか?

 ネルの様子から見ても、ウソを言ってるようには思えないし。もしかして、本当に箱入りだったのだろうか? それとも、どこかに幽閉でもされて育ったとか?


「てか、本当に外に出たことないの?」


 そう聞き返せば、ネルは景色を眺めながら。


「王都の外には出たことがなかったな」


 と言って、どこか懐かしそうに両目を細めて見せる。


(なんだか、な)


 幽閉まではいかなくとも、あまり外に出られない環境だったのかな。とは思う。

 本人曰く魔力持ちなわけだし。やっぱりそう言うのも影響して、あまり外に出して貰えなかったのかもしれない。ちょっと過剰と言うか、過保護が過ぎる扱いなきもするけど。

 本当、ネルって不思議。


「じゃあ、ネルって王都の生まれ? 都には詳しいの?」


「生まれはそうだが、王都の中心部あたりならわかる程度で詳しくはないな」


「微妙」


「自分でもそう思う」


 ネルはそう言うと自嘲気味に笑った。ように見えた。


(もう。本当になんだかな)


 どこか寂しそうな瞳を見せるネルに、私は思わず自分の頭をガシガシとかきかたくなった。別に生まれ故郷だからって、詳しくないといけない理由はないじゃない。

 私が話を振ったせいではあるんだけど。でも、そんな寂しそうにするなって言うのよっ。

 私はかわいい小動物をいじめる趣味なんてないんだからねっ!


「あーもうっ。じゃあ案内してあげるわよっ。王都ってだけあって、とにかく見るものはいっぱいあるんだからっ」


 思わずそう言ってしまう私に、自分でお人好しかよ。と、突っ込みたくなったけど。


「いいのか?」


 なんて、期待と驚きを混ぜ込んだ青い瞳がじっと私に向けられてしまえば、わりと嫌な気分はしなかった。


「行くついでじゃん」


「だが、アンバーの仕事の邪魔はしたくない」


 ネルはそう言ってどことなく申し訳なさそうに項垂れる感じで私を見上げてくる。

 本当にどうしてくれようかこの小動物。


「あんたは気にしすぎっ。こっちは休みなしで働いてるんだから、こういう時くらい羽を伸ばしても怒られたりしないわよっ。案内してほしいでしょ? してほしいわよね? むしろついて来いよっ」


 私がそう言ってネルの頭を少しだけ乱暴に撫でまわせば、ぐらぐらとネルの体は揺れる。そしてひとしきり撫でまわし、ネルに視線を向ければ。


「行く」


 そう言って嬉しそうに両目を輝かせ、ネルは頬をほんのりと赤く染めていた。





 王都の出入り口には大きな門がある。門の横には兵士の詰所があって、門を守るように兵士が二人以上で、常に王都に往来する人々を見守っている。

 さすが王都だけあって、ここまで来ると人の出入りは割と多い。これが建国記念だの年明けだの収穫だのと、いろいろ廻ってくればお祭り騒ぎで、もっと人の出入りは増えるのだ。

 機会があれば、ネルを祭の真っただ中に連れて来てやりたいな。とも思う。

 で、さっそっく王都に着いたら、私はいったん兵士の詰所に寄る。理由は乗ってきた荷馬車を預けるためだ。一声かければ荷台と馬を預かってくれる。と言うのも、もともと許可のある人間以外、外から荷馬車を町中に入れることは禁止されているからだ。

 違法な人身売買やら魔道具を町の中に入れないための工夫の一つらしい。

 王都の中で大きな買い物をしたときは、王都内の運搬用馬車を使って出入り口まで運んでもらい、自分の持ってきた荷馬車に積み直すのがこの辺りの常識である。

 往来の邪魔にならないところで馬から荷台を外し、荷台は兵士さんから手渡される魔道具『連結の鎖』を適当なところに結ぶ。

 ちなみに、鎖の長さは三十センチ程度で、別にどこかにつながっているというわけではない。が、一度結べば目に見えない魔力の鎖が、鎖を統括する本体へと勝手につながるらしい。

 連結の鎖は兵士さんたちの詰所内にある『連結の杭』とセットになっているもので、一度鎖をつけると、兵士さん以外が取り外すことのできない様になっている。盗難防止にとても便利な魔道具だ。借りた鎖には色と番号が付いていて、預けるときに色と番号のわかる『証明の証』と言う魔道具――細い銀色の金属で出来ているブレスレッドだ――を渡される。

 手首にはめると手首にぴったり合い、力任せには決して抜けない。ナイフなどでも切れないので、これも兵士の詰所ではずしてもらうしかないのだが、忘れ物防止にも一役買っているのは言うまでもないだろう。

 けどそれ以前に、荷馬車と馬を自分で持ってきておいて、帰りに忘れる人がいるってのもびっくりだけどねっ!

 それはまあいいとして、馬も同様に連結の鎖を足にでも結び付けて用意された囲いに入れてしまえば、あとは安心して王都を遊び回れる――じゃなくて、お仕事ができる。

 私も慣れた作業で荷台と馬を詰所に預けると、さっさと門をくぐり仕立て屋へと足早に向かう。急ぐ理由? そんなのは用事をさっさと済ませて遊ぶ気満々だからだよっ。

 ネルをしっかり両手で胸に抱え抱き、たくさんの人で賑わう王都のメイン通りを歩く。

 道を挟むようにたくさんの店が並び、人々が思い思いに足を止めての店の軒先をのぞき込んでいた。叩き売りの声が響き、鼻腔をくすぐる美味しそうな匂いがかわるがわる私の胃を刺激してくる。

 人の波に押し流されないように、それでも逆らうことなく人を縫って歩くもの随分と様になってきたのではないだろうか。なんて、自画自賛してみたり。


「人通りが多いんだな」


 そんな独り言に近いネルの声に、私は視線を周囲に走らせてから小さく笑った。こんな雑踏の中では、ネルが声を出したところで誰も気が付きはしないだろう。


「とくに四方の繁華街はね」


 王都は東西南北にそれぞの大きな門があり、その門をぬけるとすぐに繁華街が続いている。それは四方のどの門から入っても同じではあるが、それぞれに名物のものが異なっている。ぜひ一度は全部の繁華街を回って、名物料理を食べてみるのが私のおススメだ。


「ほら、ここからでも見えるあの大きいお城が、この町の中心だよ」


 私が指す方向に顔を向けるネルは、あまり興味無さげに「ああ」と返事をする。

 なんだよ。城には興味なしか。あそこも観光案内には外せないポイントなんだけどなぁ。


「あの城は見飽きてる」


 なんて、どこかつまらなさそうにため息交じりで言うネルだが、そう言えば、ネルは王都の生まれだって言ってたっけな。と、言うことを思い出した。

 だが、おのぼりさんなら、ぜひ一度は行くべきであるのは間違いない。

 純白の巨大な王城、グランニードル・レント・サンダーランド国王陛下がいらっしゃる歴史ある場所だ。

 大理石と魔導石と呼ばれる特殊な魔力を含む石をがふんだんに使われているお城で、ドラゴンが攻めてきたって潰れない。と言うほどに、強固な守りを自負するらしい。

 実際にドラゴンが攻めてきたことなど一度もないけども。

 それでも、観光地としては一階部分と、二階の中央ホールは一般見学ができてしまうので、一度は見ておいて損はないだろうと思うよ。

 それこそ廊下ひとつとっても、ドラゴンが通れるほどに広く、埃ひとつ落ちていない白い天井や床は、汚すことこそ罪深い気分にさせられるほどに美しい。

 金の縁を彩る大きな窓の並びや、見事な飾り彫りの扉、繊細なデザインの手すりにゆったりした階段。二階の中央ホールなんて、巨大な絵画でも飾ってるかのように自然な風景が見渡せるのだ。

 季節ごとに変わる景色はまさに溜め息が漏れること間違いなし。

 もちろん中央ホールの室内だってそれは素晴らしいデザインであるのは間違いない。天井にはクリスタルで出来た巨大なシャンデリアが吊るされ、季節ごとに色が分かるのだ。あれも魔法の力なのだと言うからすごい。

 天井には神々の絵が描かれ、床には円を使った魔方陣とも花とも表現できそうな美しい幾何学模様が細かく描かれているのだ。

 私も何度か王城の見学はしているけど、あの美しいホールは何度見てもいいものだと思う。


「ネルは地元だもんね」


 だが、城を見ていたらふと思い出してしまった。


「ねえ、ネルは知ってる?」


 ちらりとネルに視線を向ければ、彼は私の言葉に顔をこちらぬ向けて首をかしげて見せる。

 私も人伝に聞いたことだからあくまで噂しか知らないが。


「王子様の話」


 私がそう聞くと、ネルは一拍考えるようなそぶりを見せた後、首を横に振って見せた。まあ、一年以上引き籠ってれば知らなくても当たり前か。


「王子がなんだ?」


「うん。なんでもね。ここしばらく王子が臥せっているってウワサがあってね」


「それは、初耳だ」


「私もウワサ程度しか知らないんだけどさぁ。性質の悪い熱病らしいとか、肺病かもしれないとか言われてるらしいけど、王子様が公務に現れなくなってから一年以上も経ってるし、王子様のご病気が悪化しているんじゃないかって、もっぱらの噂なのよ」


 実際の話、一年以上もの間、公の祭事に王子様が姿を見せたことはない。あくまでウワサではあるけど、この国に暮らす国民にとっては、王子様がご不調と聞くと心配にはなるのだ。何しろ次期国王陛下になる方なんだし。


「――意外と元気だがな」


「なにが?」


「いや、ウワサはあくまでウワサだからな。王子本人が公務に出ないのにはわけがあるのだろう。ウワサを鵜呑みにして、ありもしない不安に揺れるのはあまりよくないのではないのかと、な。そう思っただけだ」


「ブタさんが正論を……」


「おい」


「でもネルの言うとおり、分からないことで不安になるのはバカらしいわ。すぐに王子様の元気なお姿が見れるようになるわよね」


「ああ……そう、だな」


「でも、王子様がまたお姿を見せるようになったら女の子たちが沸くわね」


 そう言って、私がにやりと口の端を持ち上げれば、ネルはあからさまにビクリと体を震わせて、不安そうな瞳で私の顔を見つめる。

 何をそんなに怯えているのかな? かわいい子ブタさん。


「な、何か悪い顔になってるぞ、アンバー」


 ふふ、察しがいいなブタさん。


「見目麗しい王子様は世の女性たちを虜にしてしまうものなのよ」


「そ、そうか?」


「そう言うものなのよっ! そして何よりも、セイラがライオネル王子様の大ファンなのよ! 王子様のお姿が見れるとなれば、私の仕事も確実に減るはずっ! 王子様にはぜひ早く公務に戻ってもらいたいっ!」


「清々しいほど手前勝手な理由だなっ!」


「あら、私だって麗しい王子様に憧れたりするわよ? 観賞用としてね」


「観賞用言うな……」


 なんて、ネルが程よく落ち込んだところで、私は目的の仕立て屋さんの前へたどり着いた。

 でも見目の綺麗な男性と言う以外で、王子のことを何一つ知らない私が、王子の何を好きになったり、気に入ったりすればいいと言うのか。

 ただし――。


「観賞用と言ったところで、私は王子様の顔すら知らないけどね~。あはははっ!」


 お祭りなどでよくある『王族の挨拶』とか、私は一度として見に行ったことがない。どうせ私には関係のない人たちなのだ。だったら、聞きたくもない挨拶を聞いて無駄に過ごすより、思う存分お祭りを楽しみたい派。


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