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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三ステージ 裏切りのPK
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オーク大量発生イベント2

 そっとドアに力を入れていく。

 少し前に押し出されると、後は自動的に開いていった。

 ギギギと錆付いたような機械音が響き渡り、照明に照らされた広間が現れた。


 今回の部屋はタイル式の白い床だった。光沢のあるソレはまるで大理石の床や鏡のように俺達の姿を映している。

 自分の下半身が映る事に気付いた暦がスカートを押さえていたが、そちらに視線を送ったのは一瞬。

 後はもう、目の前の奴から視線が離せなくなっていた。


「バッタ……」


 バッタは部屋の中央に俯いて立っていた。

 手にはナイフ、いや、短めの双剣を持ち、俺たちを見た瞬間、ゆっくりと顔を上げる。


「バッタさん……どうして……」


 敵として目の前に現れたバッタに、信じられない事実を見せ付けられた暦は掠れた絶望の声を上げる。


「あのキグルミは知り合いなのかい?」


「ああ……俺の、彼女だ」


 戸惑いなく答える。俺はバッタが好きだ。

 きっと告白されたからってだけでなく、彼女の性格も仕草も、雰囲気も、全てを気に入ってる。

 学校に居たような口やかましいだけの女どもでもなくて、強くて頼りになる。

 それだけでなく、弱い面も持っていて、啓介や暦を助けようと努力していた。


 だから、好きだ。

 たとえ敵だとしても……あの真剣な告白が……偽物だったなんて思いたくない。

 アレまでが演技だとい言われたら……俺は立ち直れないと思う。だから、今は都合のいい奴かもしれないけど、バッタを信じる。信じ抜く!


「彼女……って本気で言っているのかい? 目の前にいる相手はこちらを敵と認識しているようだけど?」


「わかってるそんなことは……」


 バッタは両手の双剣を構え、今にもこちらに飛び掛らんとしている。

 俺はバッタの動きに注意を払いながら二人に指示を出す。


「二人とも、バッタの攻撃手段を奪う。最悪半殺し覚悟で倒すから……援護を頼む」


「え……あ、うん」


「殺さず捕縛ですか……果たしてアレ相手にできますかね」


「やるしかないさ、俺はまだバッタを信じたいんでね」


 ショートソードを引き抜き構える。

 暦も槍を、亨は自分の剣を引き抜いた。

 こちらが攻撃態勢に入ったと見るや、バッタは一気に跳躍して距離を詰める。狙いは暦。

 おそらく一番幼く弱そうな奴から順に倒すというセオリーに則ったのだろう。

 慌てた様子の暦を庇うように彼女の前に躍り出てバッタの剣撃を受け止める。


 両の刃を交差させたところに剣を打ち込みバッタの両手を封じる。

 なんだ? この重い一撃……

 本当に女の子の攻撃かこれ?

 弾かれたら終わりだと力を入れて押し返そうとするが、ビクともしない。

 むしろこちらが少しでも力を緩めれば斬り殺されてもおかしくない。


「や、やぁっ!」


 壮絶な拮抗を破ったのは、真横から槍を突き入れた暦だった。

 気付いたバッタは俺に向かって一度力を込めると、俺が押し返した反動を使って後方に飛び退る。

 バッタという支えがなくなった俺は思わず前につんのめる。

 眼前に突き出された槍の穂先に、思わず冷や汗が出た。


「わっ、ご……ごめんなさい」


「き、気にすんな。それより相手を見ろ! また来るぞ!」


 俺が体制を立て直す間に、バッタはすでにこちらへと飛び込んでいた。


「チィッ」


 剣を掲げると同時に重い衝撃が腕に来る。

 目の前に迫った血染めのバッタの顔に肉薄しながら俺はありったけの力で剣を押し返す。

 が、バッタは力を抜いて身体を戻すと、転がるようにして真横に居た暦の前へと下がって立ち上がり際に剣を振るう。


「ひゃぅっ」


 思わず槍を盾にするが、柄ごと切り裂かれ、彼女の手には木の棒だけが残される。

 あの槍を一撃か!?

 さらに追撃にでたバッタに、怯えながらも暦がなんとか折れた棒を突き出すが、簡単に弾かれ手元から消えてしまった。


「バッタァッ!」


 出来た少しの時間で体制を立て直せた俺は迷わず剣を突き出す。

 バッタは慌てることなく片手の剣で受け止めると、躊躇うことなく余った短剣を暦の胸へと突き入れた。


「ぁ……」


 暦が何かを口にする。何かを口にしようとして、でも口から漏れたのはたった一言だけで……

 バッタが飛びのいた瞬間、いやにあっさりと倒れた。


「こよ……み……?」


 目の前で起こったバッタによる殺人。

 信じたくなかった。見たくなかった。

 でも……でも、暦はバッタに刺されて……


 冗談ではないと示すように暦から大量の鮮血が流れていく。

 愕然とした俺の腕が下がる。好機を見たバッタは即座に地を蹴り俺に飛び掛る。

 ハッと我に返ったときには……


 ガキィッ


 瞳孔が見開き驚きと戦慄に支配された俺の目の前で、剣と剣がぶつかり耳障りな音が響く。

 俺とバッタの間に割って入った亨がバッタの攻撃を受け止めていた。


「佐川ッ!」


 すまない助かった。協力してバッタを……

 そう言おうとして、次の瞬間、鈍い痛みが俺を襲う。

 自分の腹に突き立つ亨の拳に、何が起こったのかすら分からないまま、俺は意識を失った。

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