パンデミックだよ全員集合!!
「うむ、素晴らしい。素晴らしいぞ!!」
ベランダに広げた折りたたみ式の椅子に腰掛けシマは言う。
まだ水道、ガス、電気が使えるらしく
何かしらのエロゲの電波曲を大音量で流し
テーブルには4段のBLTサンドに2Lダイエットコーラ、山盛りのアイスクリーム。
穏やかな朝食だがあちこちで悲鳴や車が事故る音が耐えない。
なのに遠くから明らかおかしな叫び声微かに聞こえる。
・・・SUS、・・・SUS。
聞き覚えがある声だ。そして明らかに聞こえるタコ5。
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 第4楽章
そうあのサイコ野郎のテーマ曲である。
ドンドンと人を引く音が近づいてくる。
血みどろでボッコボコの真っ赤なダイハツのコペンが疾走しているのが見える。
ゾンビを引き殺しながら大音量で流してる電波曲を潰す勢いで流れるタコ5に合わせて近づいてくる。
「イカレた奴がうろつく中で、サイコの笑いがこだまする!! 食われた奴の、哀しみ背負ってゾンビの始末。 ひき逃げ疾走コペン!!お呼びとあらば即参上!!!車どこ止めればいい?」
「人が飯食ってんだろうが!!うるせぇんだよ!!車?その辺止めとけよ!!」
「了解した。もうセンセイ来てんの?」
「いやまだ来てねぇよ。とりあえずあがれ。」
シマがベランダに新しい椅子を出してくれた。
デブの朝食を横目で見つつタバコに火を付け道路を眺めた。
本当に最高だ!!まるでゲームや映画の中に入ったみたいだ。
ゾンビへの恐怖など全くない、もはやワクワクで心が踊った。
「センセイこねぇな。何してんのかな?死んじまったのかな?」
とオジサンが言うとシマは笑いながら言った。
「武器でも寄せ集めてんだろうよ。そのうち来るだろ」
まさにその通りだった。
迷彩のブーニーハットをかぶり
デカイバックパックを3つ背負い
キャンプで使うとか言って買った明らか趣味丸出しのマチェット片手に持ち
つや消しの深緑一色のスーパーカブに乗って通り過ぎるゾンビの首をはねるはねる。
「逃げないゾンビは、ただのゾンビだ!!って逃げるゾンビは、いないか!!フッハハハハハ!!
ほんとこの世は、地獄だぜ!!」
ブゥウウウウン、ガチャガチャ。
ブゥウウウウウン、ガチャガチャ。
「ほら聞こえるだろカブのギアチェンの音」
カブが血しぶきの中から現れた。
「ほんとだ。聞こえるわ。めっちゃ死闘してんな。センセイ」
ブゥウウウウウウウウウウウウウウウン、キキッ、キーキー。
「待たせたな!!ひよっこ共!!!!!いろいろ集めてたら遅れちまったぜ。」
「さすがセンセイ!!」
「さすがセンセイ!!」
こうして一つ屋根の下に集まったサイコ野郎どものイカレた日常生活が始まった。