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百折不撓のアルゴリズム  作者: 一ノ瀬隆
3章 快刀乱麻のブレイブハート

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54話 思わぬ共闘

「レイ。奴らがここまで来るのも、時間の問題だぜ」



俺はアクシアを避難させた後、スミス、ユキと合流し、最前線へと舞い戻っていた。 スミスの言う通り、視界の先──市街地の目抜き通りを埋め尽くすように、円卓の軍勢が迫ってきている。



俺の体は、まだスミスによる改造手術の途中だ。 武器はない。右腕も制御できていない。



「......無理して、いいか? ユキ」



俺は隣に立つ相棒に、短く問いかけた。 もうなりふり構っていられない。今の状況で、武器なしにこの大軍を倒し切れるのは、俺の命を削る大規模魔法だけだ。 それを使えば、俺の半身は完全に魔鉱化し、二度と戻らないかもしれない。



ユキは顔を歪め、凄く渋い表情をした。 止めたいはずだ。でも、ここで俺たちが引けば、サテンヘルドは終わる。 数秒の葛藤の末、ユキは悲痛な覚悟と共に頷いた。



「......わかった。僕が、全力でサポートする」



「ありがとう」



俺は前に出た。 右腕の激痛を無視し、ありったけの魔力を練り上げる。 血管が軋む。視界が明滅する。それでも構わない。



敵の先頭集団に向かって、魔法を放とうとした、その時だった。



「──うぁぁぁぁあああああッ!!!!!!!!!!」



頭上から、聞いたことのない絶叫が降ってきた。



ズドォォォォオオオン!!!!



轟音と共に、俺たちの目の前──敵軍のど真ん中に、巨大な隕石が墜落したかのような衝撃が走った。 アスファルトが砕け、爆風が先頭にいた兵士たちを吹き飛ばす。



「な、なんだ!?」



俺は腕をかざして砂埃を防ぐ。 煙の向こう、クレーターの中心に、影が一つ立っていた。



「いつつ....まだ出力の調整がうまくできてないな」



右手に、正常に動作をしている「螺旋の剣」を携えて。 ハーフアップにまとめた金髪が、風に揺れる。



「あ、アクシア......!?」



そこにいたのは、避難したはずの、あの少年だった。



「レイくん! スミス! 二人は工房に戻って、その腕をどうにかして!!!!」



こちらに振り向かず、アクシアは敵を見据えたままそう叫ぶ。



「ここは、ボクが止めるッ!!!!」



「ああ! 任せたぞ!!」



その意志に、俺は突き動かされるようにその場を立ち去った。



──────────────────────────────



さて、どうしようか。



ボクはスミスの工房を出て、このクァエスタ・ヘリットを起動させた。 そのあと、出力最大でぶっ飛んできたってワケだ。 着地の衝撃で足が痺れているが、アドレナリンのおかげか不思議と痛みはない。



「ありがとう。アクシアくん」



後ろから、レイくんの相棒であろう人が話しかけてきた。 透き通るような銀髪の少年。



「あなたが、勇者......ですか?」



「うん。僕はユキ。よろしくね」



この人がレイくんの相棒だって、一瞬でわかった。 纏っている雰囲気が一緒なんだ。優しくて、でも芯に絶対に折れない強さがある。



「僕が援護するから、アクシアくんは思いっきり暴れてきて!!!」



ユキさんは可愛らしくウィンクすると、杖ではなく、虚空へと手を伸ばした。



「サモン・オブ・リュミエール」



刹那、ユキさんの手元に眩い光の粒子が収束する。 空間が揺らぎ、そこから現れたのは、黄金に輝く一振りの剣。 間違いない。あれこそが、世界を救う「聖剣」だ。



勇者が剣を抜いた。なら、ここから先はボクの仕事だ。



「どうやら、ボクの出番みたいだね」



ボクは巨大な螺旋剣を構え、眼前に迫る機械兵の群れを見据えた。 脳内で、シミュレーションが走る。沢山の行動パターンが頭に浮かぶ。それに合わせて動くか。



「行こうか。クァエスタ・ヘリット」



ギュイイイイイイイイイイイイッ!!!!



ボクの魔力を吸い上げ、ドリルが高速回転を始める。 甲高い駆動音が、敵の足音を掻き消した。



「行ける。ボクなら!!!」



ボクは地面を蹴った。 先頭にいた重装甲の魔導兵器が、盾を構えて突っ込んでくる。 普通なら弾かれる。だが──。



「計算通りだッ!」



ドガガガガガガガッ!!!!



激しい火花と共に、クァエスタ・ヘリットの切っ先が敵の盾に食い込む。 拮抗したのはコンマ数秒。 回転する螺旋の刃は、分厚い鉄板をまるで紙切れのように引き裂き、そのまま本体へと貫通した。



「ハッ、軽い!!!」



貫いた敵を回転の遠心力で振り回し、後続の部隊へと投げつける。 将棋倒しになる敵軍。



「すごい......!」



後ろで聖剣を構えたユキさんが、目を丸くしているのが気配でわかる。 ボクは止まらない。 髪を振り乱し、戦場を駆ける。 引きこもっていた数年分の鬱憤を、全てこの回転に込めて。



──────さあ、暴れよう。クァエスタ・ヘリット。

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