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百折不撓のアルゴリズム  作者: 一ノ瀬隆
3章 快刀乱麻のブレイブハート

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48話 次の旅路

スミスはその後、「準備するから、明日の朝ここで待ち合わせだ!」と言い残し、風のように去っていった。



......嵐のような人だった。 しかし、その目に映る情熱。そこには一点の曇りも無かった。あの男なら、信頼していいだろう。



そうして、俺は未だ寝ぼけているユキとイーシアを起こしに、自室へと戻った。



「流石に起きろ、二人とも」



次の目的地が決まったこともあり、若干浮足立っていた気持ちを軽く押さえ、なるべく優しげな声を意識して声をかける。



「ううぅ......。おはよう、レイ......」



ユキは目を擦りながら、のそりと身を起こした。 一方で、ベッドの向こう側にいるイーシアは微動だにしない。相変わらずの大の字で、幸せそうな寝息を立てている。まあ、彼女は放っておこう。



「ああ。おはよう」



ユキが完全に覚醒したことを確認し、俺は切り出した。 次の目的。俺のこの暴走する右腕を何とかするための、旅の話を。



「早速だが、次の目的地が決まった。俺の右腕をどうにかするため、サテンヘルドという街に行く」



「サテンヘルド......」



「ああ。そこに俺の腕を任せられる鍛冶師がいる」



正直、これに関しては俺自身の問題だ。無理にみんなを連れていく必要はないだろう。 だが、ユキはついてくる。そんな気がして、俺は自然と口にしていた。



「ついてきてくれるか? ユキ」



俺の問いに、ユキはきょとんとした後、花が咲くように笑った。



「当たり前だよ! 早くレイには万全になってもらいたいしね。それに、レイが行くなら、僕はどこへだって行くよ」



迷いのない即答。 それが嬉しくて、俺は隠していた右手の革手袋を、ギュッと握りしめた。



「ありがとう。......よし、そうと決まれば準備だ」



そして俺たちは、寝こけているイーシアを余所に、サテンヘルドへの旅の支度を開始した。



◇◇◇◇◇



翌日、早朝。エデニアムのエントランス前。



結局、今回の旅は俺、ユキ、スミスの三人で行くこととなった。 イーシアは「私も行きたい!」と駄々をこねたが、勇者不在のロンベルを警護する責務があるため、ソフィアに首根っこを掴まれて連行されていった。泣く泣く残留だ。



俺たちは準備を終え、朝日の中でスミスの到着を待っていた。


「サテンヘルドか......。どんなところなんだろうな」



「鉱山都市なんでしょ? じゃあ、やっぱり掘削ドリルがいっぱいあるのかな?」



「ドリルか......男の浪漫だな」



生きるために逃げ回る旅ではなく、未来を掴むための探求の旅。 こんな穏やかな気持ちで外の世界へ出るのは、初めてかもしれない。だからだろうか、どうしても俺たちはワクワクせざるを得ない。 俺とユキは、まるで遠足前の子供のように、まだ見ぬ都市への予想を語り合った。



そうして時間を潰していると、大通りの向こうから、巨大な「山」が動いてくるのが見えた。 ......いや、違う。あれは、人間だ。


自分の背丈の倍はありそうな巨大なバックパックを背負った男が、俺たちを見つけるや否や、猛ダッシュで突っ込んでくる。



「お待たせしたぜェェェェッ!!!!」



地響きと共に急停止するスミス。よくあの荷物で走れるな。体力お化けか。



「うわぁ、荷物すごいね! あなたがスミスさん? よろしくね」



ユキがスミスの勢いをモノともせず、笑顔で挨拶をする。 適応能力が高いな、ユキは。



「おう! アンタが勇者のユキだな! よろしくな!」



スミスは白い歯を見せて笑い、ユキとガッチリ握手を交わした。 既にマブダチのような空気感だ。



「......なんだか、俺の居場所がなくなりそうだな」



蚊帳の外になりそうな一抹の不安を抱えつつ、俺は苦笑する。 だが、悪い予感はしない。 騒がしくも新しい旅が、今ここから始まったのだ。

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