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百折不撓のアルゴリズム  作者: 一ノ瀬隆
2章 艱難辛苦のフォアードロード

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23話 魔法の応用

旅の始まりに伴い、俺たちは最初に食べる物を探した。

幸い、この森は恵みに溢れている。果実や動物の痕跡がちらほら確認できた。

 


そこで、俺は狩猟を開始した。

 


「……そこだ」

 


湖で水を飲んでいる鹿に、気配を殺して近づく。

呼吸を整え、指先に魔力を集中させる。狙うは眉間の一点のみ。

 


「ストーン=バレット」

 


放たれた岩の弾丸は、音もなく鹿の頭を貫いた。鹿は苦しむ間もなく、その場に崩れ落ちる。

 


「コイツを解体するから、ユキは果実を取ってきてくれ」

 


俺はナイフを取り出しながら、ユキにそう指示する。

 


「わかったよ。じゃあ鹿さんの解体、よろしくね」

 


ユキは少し顔をしかめて、森の奥へと向かった。

彼はあまり血や内臓を見るのに耐性がない。こういう仕事は、俺がやるべきだ。



テキパキと血抜きをし、可食部を切り分ける。そしてその肉を、今夜食べる用と保存用に分けた。



「じゃあ保存食にしてみるか」



少しの思いつきから、保存用の肉を調理する。肉の中にある水分に注目。その水を霧散させるイメージを強くもつ。



「……ふんっ!」

 


慎重に魔力を送り込むと、肉からジュワッという音と共に、白い蒸気が猛烈な勢いで噴き出した。

視界が真っ白になるほどの湯気。



次の瞬間には、完璧に水分が抜けきった干し肉が出来上がっていた。

表面は硬く、しかし旨味は凝縮されている。完璧な保存食だ。



「よしっ。これで数ヶ月は持つな」



少し心の中で喜んでいたら、果実を採り終わったユキが帰ってきた。



「レイー!取ってきたよー!って、ええ!?鹿さんがもう干し肉になってる!?これも魔法ってやつなの?」



「まあ、そんなところだ」



驚愕するユキを横目に、干し肉を保存しやすいようにまとめ、カバンへと詰めていく。それに集中していたら、



「なんか僕が知ってるレイじゃないみたい」



ぽつりと零れたその言葉は、風の音にかき消され、俺の耳には届かなかった。



その夜、果実と鹿肉を合わせた簡素な料理を作った。水は魔法で生成し、一応煮沸消毒をしておいた。



「いただきます」


「いただきます!」



そうして、久しぶりにユキと2人でご飯を食べた。

....やっぱりユキと一緒に食べると美味しいな。



2日立つと、鬱蒼とした森を抜けた。視界が一気に開け、整備された街道が見えてくる。

 


「あ、レイ! 見て、街が見えるよ!」

 


「ああ。あれが中継地点の街、サークだ」

 


俺たちは久しぶりの人里に、少し足を早めた。

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