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百折不撓のアルゴリズム  作者: 一ノ瀬隆
1章 観測始点の交差

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21/56

21話 決着

2つの極星が、交差し、ぶつかる。

木々は揺れ、周りの生物は死を感じ取る。まさに究極の衝突がそこにあった。


──────────────────────────────


「はあああああああああああああああああ!!!」



ルターの全力が腕に伝わる。余りの衝撃に感覚が無くなっては、その傷を修復するのが繰り返される。



押し、切れええぇッッ!!!!!



キィィィン!!



俺の腕から、耳をつんざくような音を立てて魔剣が弾き飛ばされた。剣は錐揉み回転しながら吹き飛び、遥か後方に突き刺さった。



対するルターは、腕が原形を留めないほどに潰れていた。 内部の骨が完全に砕かれたのだろう。まるで中身の入っていない布袋のように、関節ではない部分から奇妙に折れ曲がっている。 ずたずたに裂けた傷口からは、どす黒い血が止めどなく滴り落ちていた。



────仕留めきれなかった....!?



しかし、魔力は切れ、体に力が入らない。手は痺れ、自分の物だと思えないほどうまく動かせない。



「ここまで、追い詰められたのは、初めてだ」



満身創痍のルターが、負傷して動かせなくなった右腕を抱えながら口を開く。

どうやら、ルターもこれ以上戦うことができないようだ。



「......貴様の決意が、我が理想に差し迫った、か」



ルターは自嘲気味に笑い、動かない右腕を愛おしそうに撫でる。



「いいだろう。今回はこれで引く。これ以上は無粋というものだ」



ルターは、少し悔しそうに俺にそう告げると、静かにその場を去ろうとした。



「お前の顔は見たくないが、受けてたとう」



俺は、ルターの背中にそう言い放った。

ルターは振り返ることなく、その姿を消した。



終わったというその達成感に包まれながら、俺の視線は、遥か後方に突き刺さった魔剣へと向く。 剣身はボロボロで、光を失っていた。



────よく頑張ってくれたな。



こうして、俺の長きに渡る戦いは、一度幕を閉じた。



◇◇◇◇◇




瞬く間に消えたルターを横目に、俺はユキの近くへと歩み寄った。



死闘を潜り抜け、張り詰めていた気が一気に緩んだ。

俺の心の中から、様々な感情があふれ出す。後悔、悲しみ、そして、ユキを助けられたという喜び。



いっぱいの気持ちに押され、涙が溢れそうになる。

涙を必死に我慢し、ずっと言いたかった言葉が頭に浮かぶ。それは────



「ただいま、ユキ」



そして、ずっと見たかったその顔をタイムシフトで戻ってきてから、初めてきちんと見ることができた。



ユキは、そんな俺の姿を見て、困惑しながらも、嬉しそうにはにかんでいた。

その表情を見た瞬間、俺の緊張の糸は、完全に切れた。



視界の四方が暗く染まっていく。疲れがどっと押し寄せる。でもこの疲れに詰まっているのは、あの時の徒労感じゃなく、達成感だった。

薄れてゆく意識の中、かすかにユキの声が聞こえた。



「僕には何が起こっているのかわからないけど、おかえり。レイ」



その言葉を聞いて俺は、久しぶりに深い眠りへと落ちていった。意識の最後に、一粒の涙が流れるのを感じた。



そして俺は、ようやっと元のタイムラインへとシフトする。

この瞬間、俺はユキと共に、この世界で生きるという新たな一歩を踏み出したのだった。

第1章『観測起点の交差』を読んでいただきありがとうございました!


ここからレイとユキの旅が本当の意味でスタートします。

面白いと思ったらブックマーク・評価をしていただけると励みになります!質問とかもドシドシ回答していきます!


第二章は明後日からまた毎日投稿していきます。乞うご期待!!!

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