20話 『プロローグ』
僕の言葉に呼応するように、身体を煌々と輝く、黄金の光が覆った。
頭の中に、知らない記憶が、言葉が、とめどなく流れ込んでくる。
それは、誰かが語る、遠い昔の物語。使命、そして勇者としての力。
僕は、自分が何者なのか、まだわからない。
でも、レイを助けたいという気持ちだけは、はっきりと理解できた。
僕は、この力を、僕の英雄に託す。
今の僕にできる精一杯のことを、それだけを考えて、がむしゃらに。
「ごめん、レイ。僕の力、まだ僕じゃ使いこなせないんだ」
だから、僕の英雄に、この力を預ける。
「僕の英雄【ディア・マイ・ヒーロー】!!!!!!!!」
僕の心からの叫びと共に、黄金の光が、レイへと向かう。
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「FINAL=GEAR!」
あの男の機転によって、不完全になってしまった現状を後悔する。
同時に、同格の強者としてあの男に今の全力をぶつけたい衝動に駆られる。
俺は柄にもなく声を荒げて、自らの決意を、意志をあの男に告げる。
「貴様は、誰かを救うためだけに、ここまで戦う。俺は、貴様のその意志を打ち破り、この世界に俺たちの正義を示す!」
この世界に、我々の理想を、歴史を刻むために。
お父様が目指した、あの災厄を乗り越える為の目的を達成するために──────。
「燃え滾れ。我が心臓!FINAL=GEARのその先へ!!!!!」
俺は、命を燃やす。
これを使うのは、いつぶりだったか。文字通り、命を燃料にして、最高速を超えた一撃を放つ。
それは、俺たちの理想を、この世界に刻み込むため。
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──────いきなり俺の身体が光り始めた。
何が起こったのか、俺には理解できなかった。
でも、この優しい光。ユキの可憐な顔が脳裏に浮かぶ。これはユキのぬくもりだ。
この優しい光。 凍えるような夜、焚き火のそばで感じた、あの温かさだ。
そして、今までにない力が湧いてくる。無謀じゃない、勇気という力が。
乱れている魔力が安定する。疲労していた体は、みるみる元気になる。
それはまるで、絶望を『拒絶』するように世界が祝福を授けたようだった。
俺は、魔剣にこの暖かい力を注ぎこみ、祈る。
俺と、ユキが、この戦いの勝利を掴めるように。
魔剣の剣身には、「拒絶―リジェクト―」という概念そのものが刻み込まれていく。
剣身は俺の青白い光と、黄金の光が混ざったような、神秘的な輝きを放つ。
「諦めてたまるかよ。やってやる!ここでケリを着ける!!!」
その時、俺の頭の中に、誰かの声が響いた。
その声は、あのルターを超えるための、必殺技を俺の中に轟かせる。
そして俺は、魔剣を天に掲げ、その声に導かれるように、魔剣を振るう。
青と金の光が渦を巻き、世界に”新しいページ”をめくる風が吹く。 過去の因縁も、確定した敗北も、全てを白紙に戻して書き換える、始まりの一撃。
ユキの想いと、俺の魔剣を一つにして。
この戦いは、終わらない。
それは、僕とユキの、英雄譚の始まりなのだから。
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─────そして、二つの正義は今、ぶつかる。
「第一節《【序章】プロローグ》!!!!!」
「OVER=REV!!!!!!!!!」
両者の切り札が切られ、お互いに全力をもって突撃する。
「はあああああああああああああああああ!!!」
託された者は、その想いを信じて──────。
「うがあああああああああああああああああ!!!」
追い求める者は、その理想を信じて──────。




