第48話 仲間って素敵じゃない
協力することって素敵じゃないですか?
「嘘だよね?」
僕が振り下ろした剣は、ライザァスに届かなかった。
でも、確かに剣身は魔物の体に触れる。
それこそ、ライザァスじゃない。ラインとザイアが飛び出すと、僕の攻撃をその身で受け止めていた。
「「ウガッ!?」」
ラインとザイアは膝を突いた。
全身が既にプラシアの魔法を喰らってボロボロで、立ち上がることさえ難しかった。
体力も魔力も回復していない状態。
そんな状態で体を動かせばどうなるか。僕の攻撃を受け止める以前に、息を切らして苦しんでいる。
「ラインにザイア、何故だ!?」
「ライザァスサマ、オレタチハライザァスサマノブカデス」
「ハイ。ワタシタチハライザァスサマニヒロワレタノデ、コノミハスデニササゲテオリマス」
仲間意識の強さが光っていた。
ライザァスを信頼し、その身にその魂、全てを捧げている。
身を挺してライザァスのことを守ると、ライザァスは胸を打った。
「ライザァスサマ。オレタチノチカラハ、モトモトライザァスサマニアタエラレテイマス」
「ソウネ。ダカラワタシタチノチカラヲオカエシシマス」
ラインとザイアは頭を垂れた。
ライザァスに魔力を注ぐと、貸し与えていた魔力が本人に変える。
「お前達……」
「「ライザァスサマ、マケナイデクダサイ」」
「ああ。俺は必ずこの決闘を制す。だから、そこで待っていろ」
とてもとても熱い掛け合いを見せられている。
何だかこっちが悪者みたいで、少し気が引ける。
でもそれが魔王らしくて、僕は困り顔を浮かべていた。
「横槍を入れて悪かったな。ここからは、俺達の力で戦わせて貰うぞ」
ライザァスの雰囲気が変わった。
ズキン! と鋭い殺気が、剣のように尖った。
僕のことを貫き殺そうとすると、胸のざわめきが止まらなかった。
「行くぞ」
ライザァスは剣を構えた。かと思った瞬間、剣身に魔力が注がれた。
地面には三つの印が現れると、電気の線が連なる。
雷攻撃が来る。そう思わされると、ライザァスの剣が目の前にあった。
「うっそでしょ!?」
「遅い」
僕は剣を突き出して防御しようとした。
でも全然間に合わなくて、仕方が無いから諦める。
マントをパッと払うと攻撃を受け流して、「ひぃひぃ」息を切らして後ろに飛んだ。
「危なかった。危く心臓を抉り出される所だったよ」
「こ、怖いこと言わないでください、ユイガさん!」
「でも本当のことだよ。さっきよりも格段に強い」
これが本当のライザァスの実力。
ラインとザイアに力を分け与えていたせいで、本領を発揮出来なかっただけ。
解き放たれた今、制限も無く、地面に大量の印が浮かぶ。
「落ちろ!」
印の魔法で目印を付け、雷の魔法が走る。
まるで一筋の線のように一瞬で走ると、僕とライザァスを取り囲む。
逃げられない特設ステージが出来上がると、騎士道精神で礼をし向かって来た。
「切らせて貰うぞ!」
「い、嫌だけど?」
もちろん嫌だから僕は剣を使って受け止める。
受け流すなんて無理も無理で、腕がジンジン痛みを覚える。
このままだと、骨が砕けて腕が終わる。そんなの嫌なので、僕は距離を取った。
「おっとっと……」
「逃げるか。それも悪くない選択だ」
「逃げる? ちょっとだけ違うね」
ライザァスの言う通り、僕は残念ながら逃げ腰だった。
でもただ逃げ腰って訳じゃない。これも考えがある。そう見えているみたい。
真後ろにはプラシアが居て、僕のことを心配そうに見つめ、杖をギュッと握った。
「プラシア、実は少し頼みがあるんだけどいいかな?」
「ユイガさん、あの魔物はとても強いです。ユイガさんも目を見張るものがありますけど、ライザァスさんにはとても……」
「そうだね。そんなの分かってるよ。だからね、プラシア」
プラシアの目から見ても明らかだった。
ライザァスはドンドン調子を上げていて、このままだと本当にお終い、
手遅れになるのも見えていて、僕のことを心底心配する。
でも負ける訳にはいかない。ここまで頑張ったのに、一矢報いれないのは違う。
命は大事。だから惜しいんだけど、逃げても逃がしてくれるかな?
嫌な予感の方が大変強まると、プラシアも頼ることにした。
「プラシア、力を貸してくれないかな?」
「えっ!?」
プラシアに力を借りることにした。
全然恥じることじゃないし、寧ろそのつもりでいた。
でもプラシアは蚊帳の外にされていたみたいで、僕の誘いに凄く驚く。
心外だな。プラシアには任せてって言ったけど、全部なんて一言も言ってないよ?
「残念な話、僕一人だと勝てそうにないんだ。もうすぐメダルの能力も切れるから」
メダル越しに借りている能力も、あくまで一部でしかない。
しかもこのメダルを使う祝福は、僕の体力と精神力をとても食う。
そのせいか、長時間の仕様は出来ない。限界ギリギリで、攻撃特化にしないと、ライザァスに届かないと分かっていた。
「だからね。プラシアの力を貸して欲しいんだ」
プラシアの力が必要だ。僕にはそれしかない。
結局何処まで行っても僕一人だと高が知れている。
それなら恥を忍ぶなんてしなくていい。プラシアを巻き込んだって構わない。
そう思っちゃうくらいには開き直っていて、こうなったら何でもありだ。だって先に横やりを入れたのはライザァス達で、卑怯でも何でもないんだからさ。
「ダメかな?」
僕はプラシアのことをチラッと見た。
きっとドン引きされているんだろうな~、って思いながら。
こんなダサい魔王役、流石に嫌だろうと思ったけど、プラシアは満を持して立ち上がる。
「私でよければ、力を貸させていただきますね」
いきなりOKを貰っちゃった。
えっ、嘘でしょ!? と内心ではドギマギしている。
顔にも出ていたのかな? 目がチカチカ燦々すると、プラシアは前に出た。
「私はユイガさんに教えて貰いたいことがあります。これも、私が成長するために必要なことですよね」
「ん? まぁそうだね」
プラシアは僕から何かを学ぼうとしていた。
確かにその責任はある? 気は全くしないけど、プラシアがここに居るのは僕のせいだ。
援護の要請にすんなり受け取ってくれると、杖をサッと構えた。
「それで、私はなにをしたらいいですか?」
「本当に手伝ってくれるの?」
「もちろんです。私は元々冒険者ですよ?」
何だか凄く凄―く頼りになる言葉だ。
そうだよ、プラシアは並の冒険者なんかじゃない。
回復魔法の遣える、とても凄い冒険者で、自分の意思で僕を信頼して隣に立っている。
その気持ちを無駄にはしたくないから、僕も諦めないんだ。
「それじゃあさ、ライザァスを倒すの、一緒にやろう」
「はい、任せてください」
「本当ありがとう。これで百人力だよ……それじゃあ、行くよ!」
ライザァスを倒すのに協力して貰う。
きっと大丈夫。二人なら百人力。
やっぱり仲間っていい。僕は笑みを浮かべた。
「はい、あのちなみに具体的には?」
「うーん、うん。それじゃあさ、援護をお願い」
具体的って言われても難しいよね。
うーん、プラシアって何が出来るのかな?
特殊な祝詞系の魔法を使えるけど……もしかして出来る?
僕は期待を込めつつ視線を送ると、プラシアには最高の援護をして貰う。
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