第40話 直通経路を使おう
スーパーオーバーテクノロジー。
僕とプラシアは装備を整えて早速出発。
とりあえず弱い僕は、ある程度戦えるように、潤沢なアイテムを持ち込む。
全てを魔法の鞄の中に詰め込むと、早速タブレットを操作した。
「確か、魔王城近郊の地図は入っていた筈で……ああ、あったあった」
僕はタブレットを操作した。
一応の中には、魔王城を中心として、ディアレイを含む近郊の地図が入っている。
おかげで、紙製の地図をわざわざ見なくても、場所を特定した。
「ジョイさんが襲われたのは確か、森でしたよね?」
「うん。冒険者が滅多に出入りしない、近郊の森。僕の耳に、騎士型の魔物情報が届いていないってことは、魔王城からは遠目かな? ってことは、ここかもね」
地図の中に、ポツンと点を置いた。
赤い点はマーカーで、それは確かにディアレイの近郊。しかしかなり離れて入り。
情報の伝達に遅れが生じたのも伺える距離感で、名前はシメーット森。
「シメーット森、ですか?」
「うん。年間雨量が比較的多い森だよ。おかげで魔物はあまり生息していなくて、その分植物が豊富かな。貴重な薬草類も生えているんだけど、その分魔素も濃いからね。魔物的には、適応できれば最高の環境だよ。僕は魔物じゃないから嫌だけどね」
ジメーット森はその名の通り、みずみずしい。
年間雨量が比較的多い影響か、植物の成長が著しい。
それだけ栄養が豊富な雨が降るからだけど、生物系の魔物は苦手としている。
環境が環境で、明朝以外は正直近付きたくなかった。
「魔素濃度が高いんですね」
「うん。プラシアは行ったことない?」
「は、はい。シメーット森は遠いので」
プラシアの言う通り、シメーット森は遠い。
それこそ、ディアレイ近郊からギリギリの位置だ。
タブレットに入れてある地図を見ても、本当端っこだった。
「ここで襲われたってことは、やっぱり魔王城やディアレイとはまた別の場所から来たみたいだね」
「なにか重要ですか?」
「重要だよ。なんの目的でこの地域にやって来たのか分からないけれど、仮に放浪しているなら、その欲求を満たしてあげれば、戦わなくても済むよね?」
「確かにそうですね。考えてもみませんでした」
プラシアみたいな人間は、冒険者脳をしている。
まだ魔物の気持ちも分かるみたいだけど、実は魔物って単純だ。
知性はあるんだけど、何かしら目的意識を持っている個体が多い。それを満たすために生きているから、上手く満たせれば下手に争わなくても済む。
「ねっ、面白いでしょ?」
「は、はい。あの、ユイガさん。この森に行くんですよね? どうするんですか?」
「そうだね。まだ近いから、歩いて行ってもいいけど、冒険者が警戒していると面倒だから、ちょっとズルをしようか」
「ズル、ですか?」
とりあえず、シメーット森に行ってみる。
だけどジョイが襲われたせいで、冒険者の警戒心も高まっているかもしれない。
姿がバレると余計なことに巻き込まれそうなので、少しズルをする。そう、直通経路を使うんだ。
「うん。直通経路を使おうって思ってね」
魔王城には色んな場所に瞬時に移動出来るように、直通経路が敷いてある。
これは転移装置とはまた違うから、テレポートは使っていない。
もっと高度な技術で、魔王城とディアレイを最短距離で繋いだ時みたいなノリだ。
「それは、私が使った道と同じですか?」
「うん、同じだよ。これを使って、シメーット森に行ってみようか」
「敷いてあるんですか、道が!?」
「もちろん、繋げてあるよ」
“敷いてある”っていうか、“繋げてある”方が正しい。
これこそ時空魔法って奴で、本当僕には分からない。
だからありがたく、本当に様々で使わせて貰っている。
「それじゃあ行こうか」
「は、はい。待ってください、ユイガさん!」
僕は壁を触ると、扉が開いた。
奥は暗闇で何も見えないけど、この先の道を繋げておく。
とりあえずシメーット森に設定。いや、初めて行くかも?
「シメーット森に行きたいんだけど、いいかな?」
僕が声を掛けると、暗闇の中に虹色の線が走る。
ピカピカと光り輝くと、プラシアは不思議な光景を目の当たりにする。
これは一体なに? あはは、これこそ本当にまだ秘密。
「ユイガさん、これは一体」
「それじゃあ行こっか。多分十分くらいで着くよ」
「じゅ、十分ですか!?」
シメーット森までは大体十キロ以上はある。
その距離を十分で辿り着けるようにしてくれる。
もはやテレポートと同じで、転移装置みたいなものだった。
「ユイガさん、凄いですね。先程まで真っ暗だったのに」
「ねぇ、凄いよね」
僕も漠然としたことしか言えない。だって知らないから。
魔王役なのに何も知らないなんてね、笑っちゃうよね。
まぁ、笑いものにしてくれて構わないよ。だって本当のことで、開き直っていればみんな興味無くすからね。
「ユイガさんもよく分かっていないんですね?」
「うん、誰か教えて欲しいよ」
「あはは……はぁ?」
プラシアもちょっと笑っていた。もう何を訊いても無駄な人だ。
これぞ究極の無敵の人で、何を言っても知る訳がない。
だから説明のせの字も無くなると、虹色の通路を渡り、直通経路を進んだ。
「そろそろかな?」
「もうですか!?」
「うん。ほら、見えて来るよ!」
マジで十分って体感早い。プラシアは驚いていた。
視線を前に飛ばすと、若干の光が見える。
如何やら直通経路も機能しているみたい。本当最高、ありがとう。
「ひ、光が見えて……」
「はい、ここからちょっと上がるよ。坂道気を付けてね」
地面が少し斜めになっていた。坂道になっているんだ。
プラシアも杖を使って気を付けて進む。
光を目指すと、フッと顔を覗かせたのは、眩しい太陽だった。
「ううっ、眩しい!」
「そ、外ですね……ここは噂のジメーット森ですか!?」
「そうだよ。無事に辿り着けたね」
地面から僕達は姿を現した。まるでモグラだ。
気が付くと、目の前には森が広がっている。
朝露とは程遠いけど、確かに湿っていた。ここが目的地、ジメーット森だ。
「本当に辿り着くんですね」
「当たり前だよ。もしかして、信じてなかった?」
「い、いえ、その……」
「あはは、正直だね。でもここはまだ出発点だよ。本題はここから、さてと、どうしようかな?」
僕達はまだ、出発点に辿り着いただけだ。
本題はここからで、なんとかして魔物を見つける必要がある。
如何しようかな。太陽に照らされながら、僕は頭を掻いた。
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