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第39話 勧誘に行こう

そんなに強いなら、スカウトしないと勿体無い!

 僕は受話器を戻した。

 通話を終えると、耳がツーンとしていたい。

 一回耳抜きをして気を取り直すと、フッと力を抜く。


「ふぅ。さてと、面倒なことになったね」


 まず第一に飛び出た感想は、「面倒」だった。

 何せギルドマスターからの電話は、通話であっても面白くない。

 自分達の責任をなすり付けるような真似をするなんて、冒険者の風上にも置けない。


 今まで魔王城のおかげで、どれだけディアレイが潤って来たのか、分かっていないのかな?

 もしかして、大人しい魔物だからって舐められているとか? それは心外だよ。

 いざとなればディアレイなんて簡単に潰せるのにね、しないけど。


 とは言え、魔王城のおかげで、冒険者の年間死亡者数は確実に減っている。

 それだけ強い冒険者が育って来ている証拠だ。

 だからこそ、ディアレイには冒険者が集まって、活気付いているのに、どれだけ貢献して来たのか、気付いていないなら腹立たしいよ。


「でも、嬉しい誤算だね」


 僕としてはそれはともかくとして、嬉しくもあった。

 何せ強い魔物が現れてくれたんだ。これは魔王役として冥利に尽きる。

 本当、待ちに待っていた戦力補充の機会を得て、心が高鳴っていた。


騎士型(ナイトタイプ)となると、相当な武力と知性を有している筈だよ。うん、勧誘できたら最高だね」


 騎士型の魔物はかなり珍しかった。

 人型の魔物となれば、最低限の知性を有している。

 おかげで統率も取りやすいから、僕としてもありがたい以上の何物でもない。

 寧ろこのまま魔王役を変わって欲しいよ。ちょっと知性のある魔物は、魔王に憧れつつも、面倒に思ってやってくれないからね。


「さてと、それじゃあ早速準備しないと。なにを持って行こうかな?」


 そうとなれば、出来るだけ早く行動に移した方がいい。

 仮に周辺の町や村に被害が出ると、魔王軍の評判にも関わる。

 そんな魔物を雇えないので、手早く準備を整えることにした。


「あの、ユイガさん?」

「なに、プラシア? 悪いけど、野暮用が入っちゃって」

「ジョイさんが魔物に襲われたというのは本当なんですか?」

「本当だよ? どうしたの? もし、前パーティーのよしみで気になるなら、病院にお見舞いに行ってあげた方がいいよ。僕は用事ができたから行けないけど……ん?」


 ジョイのことが気になるなら、病院にお見舞いに行ってあげて欲しい。

 それがせめてもの優しさで、僕がプラシアに出来ることだ。

 プラシア程の回復魔法の使い手なら、きっとジョイも助かる筈。

 僕は残念だけど行っても意味無いから、全然お見舞いに行く気無いけどね。


「用事ってなんですか? もしかして、ジョイさんを襲った魔物を……」

「勧誘しに行くんだよ!」

「か、勧誘ですか?」


 僕は瞳をキラキラ輝かせ、星空を描いていた。

 ジョイを襲い、見事に倒してみせた魔物。ここまで聞くと、強そうじゃない。

 でも、騎士型に惹かれてしまった。一刻も早く勧誘することが最優先事項になる。


「えっ、討伐に……」

「行かない行かない。勧誘だよ、か・ん・ゆ・う」


 何を如何転んだら、僕みたいな弱者が討伐しに行くのかな?

 そんなことをしても自殺行為だって分かってるよ。

 

 こう見えて僕は弱い。魔王役も単なる飾りで、張りぼてなんだ。

 あくまでも人間に通用するだけの実力しか備わっていない。

 根本から魔物の方が強いので、ドーピング無しだと、勝てる見込みは万に一つも無い。


「勧誘、無駄ですよ。ジョイさんを襲った魔物ですよ」

「だからだよ。きっと頭いいよ?」

「頭がいい……それが理由ですか?」

「理由の一つだよ? だって知性が備わっている方が、勧誘もできるでしょ?」


 魔物中には、知性を有するものと無いものが居る。

 正直、知性が無い方が、簡単な作業は捗る。

 でもそれはつまんないから、基本的に知性を有している方が、僕としては勧誘しやすいんだよね。その後の面倒事も頼みやすいし、なにより僕のためになる。


「上手く行くかは分からないけどね」

「危険です。冒険者に任せるべきです」

「討伐されたら意味無いでしょ? 今魔王軍は手薄なんだから、少しでも補強要員に必要なんだよ」


 最大の理由は魔王軍が手薄なことだ。

 少しでも補強要員が欲しくて欲しくて仕方がない。

 罠だけだと物足りなくて、僕は危険を承知で向かう。


「私では、足りませんか?」

「うーん、足りないかな?」

「そう、ですか……ユイガさん、私も連れて行ってくれませんか?」


 プラシアは責任感が強い。だから僕のことを心配する。

 それは凄く心強いし、一緒に来てくれたら助かる。

 冒険者ギルドもゴタゴタしていて、しばらく魔王城は大丈夫そうだ。


「来てくれるの、プラシアが? 凄く助かるよ!」

「はうぁっ!?」

「む、虫?」


 プラシアの手をギュッと握った。

 何だか温かくて落ち着くなって思うと、頬が赤くなっている。

 もしかして緊張してる? あはは、面白いな。


「えっと、お役に立ってみせますね」

「お役に立ってみせなくても、プラシアは最高の回復役だよ」

「ユイガさん!?」


 僕はプラシアの実力を知っている。基礎の部分もそうだけど、努力をしてきた跡がある。

 天性の才もあるとは思うけど、それ以上に優しさが肝だ。

 僕みたいな弱者の言葉にも耳を傾けてくれて、本当に頼りになる。最高の相棒だよ。


「回復は任せてくださいね!」

「うん、本当に任せるよ。って一体けど、ちなみに戦える?」


 回復役としてプラシアは最高だ。

 けれど僕の攻撃力は、残念なことに魔物には通用しない。

 肝心のプラシアは如何なのかと期待すると、視線がソッと滑った。


「一応、戦えなくはないですよ? ですが、騎士型の魔物と戦ったことは無いので」

「普通無いよ。そうだよね。難しいよね」

「すみません」


 プラシアは回復が基本専門の冒険者。だから優秀な回復役だ。

 一応自衛のための戦闘能力はあるみたいで、魔物には勝らない。

 普通にそうなんだよ。だって魔物の方が強いから。


「大丈夫だよ。僕だって、伊達に魔王役じゃないんだから」

「ユイガさん、無理しないでくださいね」

「してないよ。っていうか、常にしているからしてないよ?」


 プラシアは僕を心配してくれる。でも安心して、無理はしていないよ。

 常日頃から無理や無茶を続けているから、今更してもしなくても変わらない。

 この程度で倒れたら、流石に魔物達に笑われちゃう。僕は魔王……いや、魔王軍最弱であることを重々承知していた。


「しているじゃないですか、無理」

「大丈夫大丈夫。それじゃあ、なにを持って行こうかな」


 だから僕はズルいことをする。普通に戦闘になったらお終いだ。

 そのために自分を守る剣であり盾であり鎧を用意する。

 テーブルの上に置いてあった本を手にすると、ニヤニヤした表情を浮かべ、不気味な魔力っぽい何かを放っていた……ら、面白いよね。

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