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第22話 掃除が終わったぁ……

掃除好きですか?

私は綺麗になると思ったら好きです。

「ふぅ。ようやく廊下の拭き掃除が終わり」

「壁も終わりました。ピカピカに輝いていますね」


 僕とプラシア、それからミニゴーレム達は、掃除を全力でした。

 スライム達の代わりにやってみたけど、結構疲れる。

 全身にいつもとは違う疲労感を感じると、体が「疲れた」と訴える。


 だけどこれでお終いだ。

 掃除も無事に終わった。達成感がある。

 本当、ジョイのしてくれたことにはちょっとだけイラっとしたけど、それもお終い。

 時間を費やした甲斐があったと感じ、窓の外は暗がりだった。


「はぁ。もうこんな時間だよ。結構掛かっちゃったね」

「ですがユイガさん、無事に終わりましたよ」

「そうだね。とりあえず、なにはともあれお疲れ様」

「はい。私の初仕事? でいいんですよね。無事に終わってなによりです」


 プラシアに手を差し出した。

 僕の手をギュッと掴んで、軽くハイタッチをする。

 初日の仕事が掃除に終わっちゃったけど、怪我とかしなくて何よりだよね。


「掃除が終わったから、後は片付けて」

「「「ゴォー」」」


 後は使った掃除用具を片付けるだけだ。

 手入れをしてから倉庫に仕舞う。

 そのつもりだったけど、ミニゴーレム達が裾を引っ張った。


「どうしたの?」

「「「ゴー!」」」

「もしかして、片付けてくれるの?」

「「「ゴ!」」」


 如何やら掃除用具を片付けてくれるらしい。

 なに、それ。凄く助かる。僕はミニゴーレム達の言葉は分からないけど、行動から何となく察して、優しさを噛み締めた。


「ありがとう。それじゃあお願いできるかな?」

「「「ゴォー!」」」


 僕はミニゴーレム達に頼むことにした。

 一同揃って腕を振り上げると、置いてあった掃除用具を手に取る。

 真面目で頑張り屋さんだ。体を壊さないか、心配になっちゃう。


「転ばないように気を付けてね」


 掃除用具を運ぶミニゴーレム達。

 凄く可愛い。背中越しだけど、頼もしさ満点だった。

 だけど小さい体で大きな荷物だ。転ばないから心配になる。

 でもきっと大丈夫。そう信じることにする。


「さてと、それじゃあプラシア。仕事も終わったから、今日の所は……プラシア?」


 僕はプラシアに声を掛ける。

 とりあえず今日の所はこれでお終いだからだ。

 速めに帰ってもいい。そう思って声を掛けたけど、何故かプラシアの態度がモジモジしている。


「ユイガさん」

「なに、プラシア?」


 プラシアが改まった態度を見せた。

 何か言いたいことでもあるのかな?

 モゾモゾしていて可愛い。頬を赤らめると、唇を噛みながら答える。


「どうでしたか?」

「どうって?」

「私の働きぶりです。どう見えましたか?」


 うわぁ、初日にして評価を気にする性格(タイプ)だ。

 そんなの今聞かれても答えなんて出せないよ。

 だって初日だよ、初日。掃除だよ、掃除。そんなの判断できないっての。


 僕は本気で困ってしまった。

 だけどプラシアの目が痛い、痛過ぎる。

 気になって仕方がないみたいで、ここは何か言わないとダメそうだ。


「う、うん。いいんじゃないかな?」

「そ、そうですか?」

「うん、いいと思うよ」


 漠然とした評価しか出来ない。

 これは果たして評価なのだろうか? それすらあやふや。

 困りが尾を浮かべる僕に勘付いて欲しいけど、ホッと胸を撫で下ろしているプラシア。

 自分の活躍をどう見られているのか、本気で気にしている証拠だった。


「プラシア、そう言うのやめた方がいいよ」

「ユイガさん?」


 プラシアは悩んでいるんだ。

 言い出したはいいものの、本当でこれが正しいのかどうか。

 正当な評価を下されることで、自分の存在価値を見いだそうとしている。


「プラシアはプラシアだよ。頑張ったんだ。それで充分でしょ?」

「ユイガさん、私は本当に、お役に立てましたか?」

「立ったよ。少なくとも掃除にはね」


 今日の所は掃除しかしていない。

 プラシアの回復魔法が全く光っていない。

 いや、一応役には立ったのかも。床と壁、ちょっとだけキラッとしているのは、上からコーティングを施したおかげだ、

 これをしてくれたのはプラシアで、変な所で魔法が活きている。


「だからさ、プラシアは充分仕事をしたんだよ。お疲れさま、それとありがとう」

「ユイガさん……はい。コレからも頑張りますね!」

「うん。無理はしなくていいからね」


 プラシアの表情がパッと明るくなる。

 よかった。変に泣かせたら大変なことになってたよ。

 とりあえず最低ラインは保てたかも? 事なきを得たので本当によかった。


「それじゃあユイガさん、私は」

「そうだね。それじゃあまた明日。出口はあっち……」

「いえ、帰りませんよ」


 僕は指を指した。壁の中の小部屋はまだ機能している。

 転移装置が動いている証拠で、いつでも帰れる。

 僕は誘導したものの、何故か拒否したプラシアに、僕はキョトンとする。


「えっと、プラシア。活躍してくれたし、役に立ったよ」

「はい。これからも頑張りますね」

「今はまだ、頑張らなくてもいいけどね。でもさ、一旦帰ろうか。街に」

「えっ、帰りませんよ?」


 如何して否定するのかな?

 ここは魔物達がウジャウジャ居るんだよ?

 人間のプラシアが居たらダメだと思うから、一度帰って貰うことにした。


 出入り口は限定的に繋げておいてもいい。

 そうすれば、いつでも魔王城まで直通で足を運べる。

 うちは基本的には残業無し。だから朝九時から夕方十七時までのシフトで組もうと思っているんだけど、如何して滞在しようとするのかな?


「……帰ろっか」

「帰りませんよ」


 僕は念押しして帰って貰う。

 だけど高速で拒否されてしまって、正直困った。

 マジで一旦帰って欲しいんだけど。そんな要望は通らない。

 なんで、僕さ、一応魔王役なんだけど。


「帰って……」

「もっと近くでユイガさんの活躍を見させてください。お願いします」


 一体全体、何処で好感度を稼いだのか謎だよ。

 本気で帰って欲しいのの、自宅から出勤して欲しいのに。

 完全に魔王城で寝泊まりしようとしているよ。適当にソレっぽい理由を付けてさ。



「はぁ……適当に余っている部屋使っていいよ」

「本当ですか! ありがとうございます」


 もう折れるしかないと思った。

 だってプラシアの目が死んでいないし、折れる気配もない。

 こっちが折れるしかないなんて。トホホな気分で溜息を付くと、後で報告書を書くのが面倒になった。


 幸いなことに、余っている部屋はたくさんある。

 面倒な掃除が増えたけど、その辺は自分でやって貰う。

 ベッドメイキングまで、僕の仕事にはしたくない。


「なんだろう。凄くラッキーなことなんだよね? 僕には全くラッキーじゃないんだけど」


 多分だけど、世間一般的には凄くラッキーだと思う。

 年頃の少女と一つ屋根の下なんて、夢のような心地だ。

 だけど残念。僕にそんな醜悪な欲望はない。だから全然ラッキーでもない。


「ユイガさん」

「なに、プラシア?」


 肩を落としている僕に、プラシアが声を掛けた。

 申し訳ないと思っているのかな? もういいよ、仕方がない。

 割り切っている素振りを見せるものの、全く違った。


「これからよろしくお願いしますね」

「……うん、よろしく」


 ああ、全然違った。伝わってなかった。

 僕の期待とは真逆すぎて、明後日の方向に進行している。

 

 一瞬だけ言葉に詰まった。返す言葉が見つからなかった。

 でも、プラシアの嬉々とした笑顔が素敵なのは間違いない。

 僕は改めて諦めと許容を抱くと、これから暇で暇で仕方のない、実り無い日々を送ることを痛感させるのだった。

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