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魔王が死んだので魔王城をテーマパーク化したら、家族の中では最弱な僕が“魔王役”になった……人間相手には負けないけどね。  作者: 水定ゆう
1章

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第19話 魔王城の掃除

掃除って好きですか? 嫌いですか?

掃除機がコードレスならいいんですけどね。

「まだかなー」


 かれこれ十分近く待っていた。

 ミニゴーレム達に、掃除用具を頼んだんだ。

 けれど中々戻って来ない。何処かで戸惑っているのかな?


 僕は背中を廊下の壁に預けていた。

 この辺りも、掃除はちゃんとしているんだけどね。

 やっぱり何もしていなくても埃が落ちていて、定期的な掃除が必要だ。


 そう思わされると、頑張ってくれているスライム達には頭が上がらない。

 今度、ギアッド義兄と顔を合わせることが合ったら、何かいい方法は無いかな?

 軽く相談してみよう。そう決めたものの、ギアッド義兄は日々忙しい。


「はぁ」

「溜息ですか、ユイガさん?」


 つい溜息を付いてしまった。

 忘れていた訳でも、気が付いていなかった訳でもない。

 ただプラシアに聞こえていたなんて、墓穴を掘ったな。


 すぐに顔を上げて首をブンブン横に振る。

 別にプラシアのせいじゃない。寧ろこれは僕のミスだ。

 色々考えすぎると、頭がおかしくなりそう。

 完全にキャパを超えそうで、正直限界も近い。


「違うよ、プラシアのせいじゃないから安心して」

「は、はい。あの、私なにかしてしまいましたか?」

「いやいや、全然全然。プラシアはなにも悪くないよ」


 プラシアは全く悪くない。如何して自分を指さしてるの?

 そう言うの、よくないよ。本当よくない。

 自分のせいみたいに思い込むのは、精神的にも堪えかねないから、今後は控えた方がいいと忠告する。


「ユイガさんは優しいですね」

「優しいとかじゃなくて、自分の責任みたいに思うのは辞めた方がいいよ。それだと、周りも気にしちゃうからね」

「はい。できるだけ控えられるように、努力します」

「うーん、努力することじゃないんだけどね」


 難しい。本当に難しい。

 如何接するのが正しいのか、罅魔物達とばかり交流し、人間とは最小限でしか接して来なかった弊害。

 店の方も超高速回転で乗り越えて来たせいか、まともなコミュニケーションになっていない。

 自発的に反省すると、廊下を振動が伝う。


「「「ゴーゴーゴーゴー」」」

「戻って来たね」


 この足音、この声、間違いなくミニゴーレム達だ。

 遠くに視線を飛ばすと、薄っすらミニゴーレム達の影が映る。

 その手にはなにか持っているみたいで、多分バケツとかモップだ。

 用事用具を取って来てくれたみたいで、ミニゴーレム達に感謝する。


「「「ゴー!!!!」」」

「みんなありがとう。掃除用具、持って来てくれたんだね」


 必要最低限の掃除用具を持って来てくれた。

 廊下に並べると、バケツの中には水も張ってある。

 ちょっとしたことにも抜け目がない。流石はミニゴーレム達だ。


 僕は目線を合わせて頭を下げた。

 魔王がミニゴーレム達に頭を下げるなんて普通じゃない。

 それが当たり前なのかもしれないけれど、僕はちゃんと目線を合わせて、感謝する時は感謝する。だってこれが普通だと思うから。


「ありがとうございます、ミニゴーレムさん達。おかげで掃除ができます。私も役に立ってみせますね」

「いや、プラシアは役に立っているでしょ?」

「ユイガさん、私はまだなんのお役にも立てていません。少し意外でしたが、精一杯お掃除を頑張らせていただきますね」


 ミニゴーレム達に感謝したプラシア。決意表明が硬い。

 そんなに張り切って頑張らなくてもいいのに。

 幾ら綺麗にしてもまた汚れちゃうんだから、と当たり前のことを思った。


 けれどプラシアはやる気満々だ。

 ミニゴーレム達は熱いプラシアをジッと見ていた。

 何を感心したのか、それとも感化されたのか、ミニゴーレム達は腕を上げて闘志を燃やす。


「「「ゴー!!!!」」」

「ミニゴーレム達まで!? そんなに掃除が好きなのかな?」


 完全に乗り遅れているのは僕だけだった。

 ミニゴーレム達もやる気になると、早速持ち場に戻ってしまう。

 その間にプラシアもモップを手にすると、僕に言った。


「ユイガさん、頑張りましょう。お役に立ちますね!」

「うん、だからもう役に立ってるよ。手伝ってくれるだけで助かるから」

「ふふっ、やはりユイガさんは心優しいですね」


 プラシアは余計にやる気を出しちゃった。

 もしかして、僕も熱意を持って頑張るべきなのかな?

 それだと疲れちゃうよ。


 それに加えてプラシアは僕を過信し過ぎだ。

 優しいのは普通のことだと思うから、全然褒められている感じがしない。

 困ってしまった僕は義理兄弟姉妹にも同じようなことを言われていた。

 思い出すだけで首を捻ってしまうけれど、如何いいのか全然分からなかった。


「まぁ、いっか。僕も掃除をしよう」


 ミニゴーレム達が持って来てくれた中には、他にも色んな掃除用具があった。

 その内の一つに手を伸ばすと、早速装備する。

 プラシアに負けないように、とりあえず壁の掃除を始めると、一生懸命汚れを落とす。


「とは言ってもね」


 分かっていた。いや、ずっと分かっているんだよ。

 壁の汚れは別にカビとか苔とかじゃない。

 寧ろその辺は簡単に落とす薬品を隊長の一人に作って貰った。


 簡単に落とすことは可能だ。だけど全然落ちない。

 だってこの壁の汚れは、カビでも苔でもない。

 返り血や壁自体に入った傷なんだ。


「ユイガさん、なかなか綺麗になりませんね」

「だよね。だからプラシア、なんとなくでいいよ」

「なんとなくですか!?」


 如何してそんなに驚くのかな?

 プラシアが何を意外に思ったのか、中途半端でも構わなかった。

 どのみちすぐに壊れるんだ。魔王城は結局塗装し直したり、補強しただけで、構造上はなにも変わっていないのに。


「いいんですね。中途半端になりますよ?」

「構わないよ。どのみち、またすぐに壊れるから」

「壊れる? そう言えば、どうしてこれほどボロボロなんでしょうか?」


 実は魔王城の中はボロボロだった。ボロボロと言っても、壊れ過ぎている訳じゃない。

 あくまでも一部の廊下や壁が破損している。

 もちろん罠も動いていない状態で、明らかに何かあった後だ。


 そのせいか、掃除が一向に進まない。

 ギアッド義兄は忙しいから今は居ないし、スライムも正常に動かない。

 おかげでミニゴーレム達を酷使している罪悪感があった。

 でも、僕一人じゃ当然直せる訳ないんだよね。


「ああ、そんなこと。それはね、冒険者が壊すんだよ」

「はい?」

「冒険者が壊すの。特に今回の惨状は、勇者パーティーのせいかな」


 ボソッと口にしてしまった。

 別に悪気はなくて、本当のことだった。

 だけど聞いてしまったプラシアは、直近のことを重ね合わせる。


「勇者パーティーですか? それは……」

「あはは、気にしなくてもいいよ」

「す、すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 プラシアは思いっきり頭を下げた。

 首が取れちゃうんじゃないかって心配しちゃった。


 それにしてもこんなに綺麗に直角なお辞儀を見せられるなんて。

 プラシアは気に病み過ぎだよね。まぁ、勇者パーティーのせいで壊れたのは事実なんだけど。


 言わなくてもいいことを口にしてしまった僕。

 そのおかげでプラシアの盛大な謝辞を見ることが出来た。

 でも本当のことなんだよね。魔王の下まで辿り着いても、それまでをこうも荒されちゃったら、誰だって怒ると眉間に皺を寄せていた。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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