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魔王が死んだので魔王城をテーマパーク化したら、家族の中では最弱な僕が“魔王役”になった……人間相手には負けないけどね。  作者: 水定ゆう
1章

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14/21

第14話 勇者パーティー(※設定)解散の件

勇者パーティーは偽物。

そう、テーマパークに来てもらうための設定なのだ!

「そう言えばプラシア、勇者パーティーはどうなったの?」


 唐突でもない疑問を口にする。

 僕が一応勇者パーティーを倒した後? 勇者パーティーが一体どうなったのか気になる。


「勇者パーティーですか?」

「うん。僕に負けた後どうなったのかなって。プラシアが一人でいたから、ちょっと気になって」


 プラシアが一人でいた。つまり、勇者パーティーとしては行動していない。

 それじゃあ何が起きたのかな? 聞くのも野暮だけど、一応訊ねる。


「ユイガさんに負けてから、勇者パーティーはすぐに解散しましたよ」

「ああ、妥当だね」


 まぁ、そんな所だとは思ってた。

 実際アレはテーマパーク魔王城のアトラクションの一つ。

 冒険者が勇者パーティー(※設定)を演じて、魔王役と本気で戦って楽しむためのものだった。


 でもさ、一応向こうも本気だから僕達も本気で戦う。

 この間プラシアに説明した時は、殺しはNGって説明した。

 だけどそれは理想論で、罠だと普通に死ぬし、こっちも……命懸け(※ズル)だから、玉にやり過ぎて本当に殺しちゃう(※事故なんだけどね)こともあった。


「あのまま二回目・三回目・って続けてたら、本当に死んでたかもしれないよ」

「はい……冒険者ギルドで聞きましたが、過去には本当に亡くなられて人もいたそうですね」

「不可抗力だけどね。でも規約には書いてあるから。極力は殺さずに生きて帰って貰うけど、下手な事になったら死ぬんだよ。それはテーマパークでも、ダンジョンとしての決まりかな」


 テーマパーク魔王城は、一応はダンジョンだ。

 例えソレが見せかけであったとしても、決まりは一応ある。

 分かった上で冒険者達は名誉や栄光を求め、そして強くなるための修行地として訪れてくれていた。


「でも、それがダンジョンだからね」

「はい、理解はしているつもりです」


 いやいや、プラシアは理解しているよ。

 だって落ち込んで目を伏せた時の表情。凄く決まっていた。

 きっと言葉として理解している証拠。それから現実にも受け止められる強い意思を持っている。


「それじゃあ今はフリーってこと?」

「ほえっ!?」

「なんで顔赤くするの? 今は一人で活動しているんだよね?」

「は、はいぃ……」


 急に如何したのかな? 大量でも悪くした、このタイミングで?

 何故かプラシアの頬が急に赤らんだ。

 もしかして言葉のニュアンスの問題かな? それとも突然だったからな? うーん、難しい。


「そうなんだ。他の三人は?」

「三人ですかぁ?」

「今度は不機嫌になっちゃった!?」


 僕は珍しく他の冒険者の動向が気になった。

 別に如何ってことはないんだけど、少しだけ気掛かり。

 知っていそうなプラシアに訊ねるのは間違ってない筈なのに、この空気の悪さはなに? ヤバい、数分前に戻りたい。


「はっ……ファメラさんとウルームさんは、二人で活動していますよ」

「そうなんだ」

「もうこの街にはいませんが、きっと何処かで元気に頑張っている筈です」


 ファメラとウルーム。二人の実力は本物だ。

 二人でコンビを組むのは全然悪くないし、寧ろ正しい。

 あの二人なら、きっと上手くやってみせる筈だと確信した……一方で。


「ジョイは?」

「ジョイさんは……その、他の冒険者の人達とパーティーを組んだそうですよ」

「“よ”が気になるけど、なんとなく想像できちゃうな」


 こんなことを言ったら失礼なのは分かってる。

 だけど如何しても言わせて欲しいんだ。

 「絶対すぐに解散するよ!」と心の声が叫んだ。


「ジョイさんは、少し難しい性格をしていますから」

「プラシアにそこまで言われたらお終いだよ……って、プラシアはパーティーに入ってあげなかったの?」

「もちろんです!」

「そこは即答なんだ。ジョイ、なんて可哀そうなんだ」


 きっと今頃くしゃみでもしている筈だ。

 プラシアにここまで言わせてしまうなんて、勇者の器には絶対に収まれない。

 寧ろ勇者の器の方が拒絶するよと、ジョイのことを憐れんだ。だって可哀そうだもん。


「私は、ジョイさんとパーティーを組みたいと思っていませんから」

「うわぁ、プラシアに言われちゃうんだ」


 本当に可愛そうだと思った。

 プラシアみたいないい子に拒絶されると、もう立ち直れないでしょ?


「も、もちろん嫌いって訳じゃないですよ!」

「……」

「本当ですよ!」

「……そっか。分かったよ」

「ユイガさん!」


 いやいやいやいや、プラシアさん。その顔はマジですよ。

 嫌いって訳じゃないとは思う。それは確かにそう。

 だけど顔色がテンパりまくってる。九割「もういいです」が伝わった。


「わ、私は、その……ユイガさんのような人と」

「僕? 僕は冒険者にはならないよ」

「そうじゃないです。それだけじゃないです。その、自分の道を見つけたいって思ってるんです」

「ん? そうなんだ」

「ユイガさん……」

「えっ、怖いんだけど」


 僕、何かマズいこと言ったかな?

 確か、プラシアにソレっぽいことを言った気がする。

 もしかして、まだ引き摺ってるのかな? プラシアさん、思い込み激し過ぎますよ。


「ユイガさんが言ってくれたんじゃないですか!」

「それはまぁ、言ったけど」

「自分の言葉に責任を持ってください!」

「持ってるよ? 一応魔王役なんだから」


 僕にだって責任はあるよ。

 だって、魔王役なんだから。

 経営とか凄く大変なんだから、プラシアに言われなくても分かってるからね。


「そういうことじゃないです」

「えーっと、ああ、はい」


 なんとなく分かった気がする。

 だけどそれを言葉にはしないし、勘定にも乗せない。

 分からないままの方が面白いと思った。


「プラシア、本当にお疲れ様」

「えっ?」

「ちょっとだけ変わったパーティーでずっと自分を殺して頑張ってたんだよね。偉いよ」


 僕はプラシアのことを全力で褒めた。

 今までずっと頑張って来たんだ。

 その気持ちが最大限伝わると、プラシアの頭を撫でる。

 あっ、これヤバいかも。セクハラかもしれない。でも、手を出しちゃったんだ。ごめんなさいって後で必死に謝るだけだ。


「ユイガさん……」

「僕はそんなプラシアを尊敬してる。本当カッコいいし、素敵だよ」


 とりあえずニコッと笑みを浮かべた。

 本意から讃えると、プラシアは顔を真っ赤にする。

 目を見開いて今にも泣きそうな顔になると、本当に辛かったんだなって憐れんじゃった。

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