第14話 勇者パーティー(※設定)解散の件
勇者パーティーは偽物。
そう、テーマパークに来てもらうための設定なのだ!
「そう言えばプラシア、勇者パーティーはどうなったの?」
唐突でもない疑問を口にする。
僕が一応勇者パーティーを倒した後? 勇者パーティーが一体どうなったのか気になる。
「勇者パーティーですか?」
「うん。僕に負けた後どうなったのかなって。プラシアが一人でいたから、ちょっと気になって」
プラシアが一人でいた。つまり、勇者パーティーとしては行動していない。
それじゃあ何が起きたのかな? 聞くのも野暮だけど、一応訊ねる。
「ユイガさんに負けてから、勇者パーティーはすぐに解散しましたよ」
「ああ、妥当だね」
まぁ、そんな所だとは思ってた。
実際アレはテーマパーク魔王城のアトラクションの一つ。
冒険者が勇者パーティー(※設定)を演じて、魔王役と本気で戦って楽しむためのものだった。
でもさ、一応向こうも本気だから僕達も本気で戦う。
この間プラシアに説明した時は、殺しはNGって説明した。
だけどそれは理想論で、罠だと普通に死ぬし、こっちも……命懸け(※ズル)だから、玉にやり過ぎて本当に殺しちゃう(※事故なんだけどね)こともあった。
「あのまま二回目・三回目・って続けてたら、本当に死んでたかもしれないよ」
「はい……冒険者ギルドで聞きましたが、過去には本当に亡くなられて人もいたそうですね」
「不可抗力だけどね。でも規約には書いてあるから。極力は殺さずに生きて帰って貰うけど、下手な事になったら死ぬんだよ。それはテーマパークでも、ダンジョンとしての決まりかな」
テーマパーク魔王城は、一応はダンジョンだ。
例えソレが見せかけであったとしても、決まりは一応ある。
分かった上で冒険者達は名誉や栄光を求め、そして強くなるための修行地として訪れてくれていた。
「でも、それがダンジョンだからね」
「はい、理解はしているつもりです」
いやいや、プラシアは理解しているよ。
だって落ち込んで目を伏せた時の表情。凄く決まっていた。
きっと言葉として理解している証拠。それから現実にも受け止められる強い意思を持っている。
「それじゃあ今はフリーってこと?」
「ほえっ!?」
「なんで顔赤くするの? 今は一人で活動しているんだよね?」
「は、はいぃ……」
急に如何したのかな? 大量でも悪くした、このタイミングで?
何故かプラシアの頬が急に赤らんだ。
もしかして言葉のニュアンスの問題かな? それとも突然だったからな? うーん、難しい。
「そうなんだ。他の三人は?」
「三人ですかぁ?」
「今度は不機嫌になっちゃった!?」
僕は珍しく他の冒険者の動向が気になった。
別に如何ってことはないんだけど、少しだけ気掛かり。
知っていそうなプラシアに訊ねるのは間違ってない筈なのに、この空気の悪さはなに? ヤバい、数分前に戻りたい。
「はっ……ファメラさんとウルームさんは、二人で活動していますよ」
「そうなんだ」
「もうこの街にはいませんが、きっと何処かで元気に頑張っている筈です」
ファメラとウルーム。二人の実力は本物だ。
二人でコンビを組むのは全然悪くないし、寧ろ正しい。
あの二人なら、きっと上手くやってみせる筈だと確信した……一方で。
「ジョイは?」
「ジョイさんは……その、他の冒険者の人達とパーティーを組んだそうですよ」
「“よ”が気になるけど、なんとなく想像できちゃうな」
こんなことを言ったら失礼なのは分かってる。
だけど如何しても言わせて欲しいんだ。
「絶対すぐに解散するよ!」と心の声が叫んだ。
「ジョイさんは、少し難しい性格をしていますから」
「プラシアにそこまで言われたらお終いだよ……って、プラシアはパーティーに入ってあげなかったの?」
「もちろんです!」
「そこは即答なんだ。ジョイ、なんて可哀そうなんだ」
きっと今頃くしゃみでもしている筈だ。
プラシアにここまで言わせてしまうなんて、勇者の器には絶対に収まれない。
寧ろ勇者の器の方が拒絶するよと、ジョイのことを憐れんだ。だって可哀そうだもん。
「私は、ジョイさんとパーティーを組みたいと思っていませんから」
「うわぁ、プラシアに言われちゃうんだ」
本当に可愛そうだと思った。
プラシアみたいないい子に拒絶されると、もう立ち直れないでしょ?
「も、もちろん嫌いって訳じゃないですよ!」
「……」
「本当ですよ!」
「……そっか。分かったよ」
「ユイガさん!」
いやいやいやいや、プラシアさん。その顔はマジですよ。
嫌いって訳じゃないとは思う。それは確かにそう。
だけど顔色がテンパりまくってる。九割「もういいです」が伝わった。
「わ、私は、その……ユイガさんのような人と」
「僕? 僕は冒険者にはならないよ」
「そうじゃないです。それだけじゃないです。その、自分の道を見つけたいって思ってるんです」
「ん? そうなんだ」
「ユイガさん……」
「えっ、怖いんだけど」
僕、何かマズいこと言ったかな?
確か、プラシアにソレっぽいことを言った気がする。
もしかして、まだ引き摺ってるのかな? プラシアさん、思い込み激し過ぎますよ。
「ユイガさんが言ってくれたんじゃないですか!」
「それはまぁ、言ったけど」
「自分の言葉に責任を持ってください!」
「持ってるよ? 一応魔王役なんだから」
僕にだって責任はあるよ。
だって、魔王役なんだから。
経営とか凄く大変なんだから、プラシアに言われなくても分かってるからね。
「そういうことじゃないです」
「えーっと、ああ、はい」
なんとなく分かった気がする。
だけどそれを言葉にはしないし、勘定にも乗せない。
分からないままの方が面白いと思った。
「プラシア、本当にお疲れ様」
「えっ?」
「ちょっとだけ変わったパーティーでずっと自分を殺して頑張ってたんだよね。偉いよ」
僕はプラシアのことを全力で褒めた。
今までずっと頑張って来たんだ。
その気持ちが最大限伝わると、プラシアの頭を撫でる。
あっ、これヤバいかも。セクハラかもしれない。でも、手を出しちゃったんだ。ごめんなさいって後で必死に謝るだけだ。
「ユイガさん……」
「僕はそんなプラシアを尊敬してる。本当カッコいいし、素敵だよ」
とりあえずニコッと笑みを浮かべた。
本意から讃えると、プラシアは顔を真っ赤にする。
目を見開いて今にも泣きそうな顔になると、本当に辛かったんだなって憐れんじゃった。
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