表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王が死んだので魔王城をテーマパーク化したら、家族の中では最弱な僕が“魔王役”になった……人間相手には負けないけどね。  作者: 水定ゆう
1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/18

第13話 プラシアとの再会

プラシアが駆け込んでくるなんて……

「それじゃあ、私は行く」

「ありがとう、シュトルム義姉さん」

「気にしなくてもいい。メモは、これだけ?」

「そうだよ。お願い、シュトルム義姉さん」

「任された」


 僕は必要なものを簡単なメモにまとめた。

 シュトルム義姉さんに手渡すと軽く見通す。

 覚えたみたいで魔法の鞄に詰め込むと、早速店を出て行った。

 副業の方に戻っちゃったみたいで、本当に嵐のように過ぎ去る。


「シュトルム義姉さん、本当に嵐みたい」


 突然現れて、突然去っていく。

 もう無茶苦茶クールでカッコいい。

 正直な感想を抱くと、これ以上店に誰か来ないように、早速手を回した。


「って、こんなことしてる場合じゃないよ」


 急いで扉に近付いた僕は、鍵を掛けておく。

 内側から鍵を掛ければ、流石に誰も入っては来れない。

 外の看板を見て、clauseだと認識してくれる筈だ。


「よっと……」

「あっ、待ってください!」


 僕は鍵を掛けようとした。

 そんな中、突然声が聞こえて来る。

 今の声、聞いたことがある気がするけど……気のせいだよね。

 あはは、僕も頭がおかしくなったのかな? 自分のことを鼻で笑った。


「あはは、気のせい気のせい」

「気のせいじゃないです。あの、待ってください!」


 本当に気のせいじゃないみたいだ。

 何だろう? 今日は店はやってないんだけど、急ぎかな?

 うーん、店の目の前で締めるのはあまりよくないよね? 僕は考えた末に、仕方がないので通すことにした。


「はーい、どうぞー」


 僕は扉を徐に開けると、カウンターの方に戻った。

 素早くエプロンを着用すると、あっという間に店員の格好になる。

 これで準備万端、バッチ来い! って、全然身構えなくてもいいんだけど、何故か期待を入れ直す。


「はぁはぁはぁはぁ……すみません、すみません、どうしても買いたい物がありまして」

「構わないよ……えぇー」


 そこで改めて気が付いた……って言うより確信した。

 いや、世間ってこんなに狭かったの?

 僕は咄嗟に仮面でも被って顔を隠そうとするけれど、そんな暇は無い。


「あの、このお店の回復ポーションって凄く効果が高いと噂で……ユイガさん!?」

「プラシア、なんでこんな所に?」


 お互い顔を見合わせた。はい、確定です。世間って狭いです。

 いや、魔王城から一番近い街ではあるんだけどね。まさかこのタイミングはないよ。

 運命的な出会い……そんな甘くて濃厚な言葉では片付けられない。

 正直、魔王役の僕と、一応“この街限定の勇者パーティー”、その一行の一人だ。会いたくないって言うより、会ったらダメそうだよね、世間体的に。


「それは私が聞きたい所です。どうしてユイガさんがこのお店に?」

「それは僕がこのお店のオーナーだからだよ」

「えっ、オーナーですか?」


 だよね、その顔になるよねー。分かってたよ、理解できないよね。

 プラシアの頭の上に幾つものはてなマークが浮かび上がる。

 

「そうだよ。僕がこの店のオーナー。店の名前もさ、道具屋:結の牙って書いてあるでしょ?」


 はい、ダサいよね。ダサいんだよね。本当如何してこの名前になったのかな?

 確か僕が店を出すって時に、義兄弟姉妹の誰かが付けてくれたんだよね。

 記憶力は悪い方じゃないけど、大事な店名にオーナーの名前を全面的に押し出すなんて勇気、流石に無かった。それを平気でされるとなると、もう何も言えなくて、記憶から抹消していた。


「た、確かにそう書かれてはいましたけど……アレってそう読むんですね」


 しかも店名には読み仮名が振ってあった。

 だってこっちじゃ使われていない、東の島国の文字を使っているんだよね。

 そのせいで店名を全然覚えられていない。それでも人気なのが、不思議なくらいの繁盛ぶりだった。


「で、ですが、一応魔王役ですよね? 大丈夫なんですか、街中でお店をしていても」

「別に大丈夫だよ。こんなひ弱でナヨナヨした奴が、魔王なんて誰も思わないでしょ?」

「自分のことを卑下しなくても」

「するよ。だって本当のことだから」


 悲しいけど、これ本当なのよね。僕は全然強くない。

 こんな弱そうな見た目の、ましてや魔王の風格のふの字もない男性が、魔王に見えるのかな? 残念だけど、客観的に見ても見えない。それが事実で、仮に魔王だと分かった所で、変わらない。何故なら……


「それに大丈夫だよ。この街にとって、テーマパーク魔王城は利益になっているからね。立派な冒険者を釣るための観光地なんだ。誰も文句は言わないよ」


 本当、文句の一つも付けられないくらいには貢献している。

 おまけに冒険者ギルドもこの街の市長もグルだ。

 だから絶対に追及されない。される頃には、この街はお終いだよ。


「ううっ、それに釣られてしまったのだが……」

「ああっ、そういう意味じゃなくて……いや、合ってるんだけど……む、難しいな」


 プラシアは落ち込んじゃった。

 それもそうだよね。だって当事者なんだから。

 上手い具合に踊らされて、勇者パーティ(※設定)を名乗っていたんだ。

 恥ずかしいこの上ない。


「実際プラシアは強かったよ。ファメラとウルームも判断が早くて、最適な行動をしてたと思う」

「ありがとございます、慰めて貰って」

「慰めてる訳じゃないんだけど……」


 別にプラシアのことを慰めている訳じゃない。

 本当の本当に、三人はとても強かった。

 それだけの話で、別に感謝しなくてもいいんだけど、プラシアの性格的に難しいのかも?


「あの、ジョイさんの名前が出ていないのですが?」

「えっ? ジョイは普通だったよ。っていうか、勇者に相応しくなかったかなー、なんてね」

「か、可愛そうですね」

「可愛そう……かな?」


 うーん、それだけはなんとも言えなんだよね。

 まぁ、可愛そうと言えば可哀そうなのかも?

 だけど、腑に落ちないことが一杯あって、僕は勇者としては絶対に認めない。


「仲間を見捨てる勇者は勇者じゃないよ。設定でも脚本でもね」


 僕はハッキリと、ジョイ=勇者を否定した。

 だって、仲間に助けられているのに、それを自覚していないんだよ?

 傍から見たら何様って思うんだ。そんな相手に僕は勇者なんて認めない……いや、偽者の魔王を演じている僕が言えたことじゃないんだけどね。

 盛大にブーメランを繰り出して一人喰らうと、蹲ってしまいそうになった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ