第11話 嵐の羽
ユイガの義姉が登場!
「うーん、見当たらない」
部屋の中、否、店内を探し回る僕。
こんなにも見つからない何てことある?
イレ―ナ義姉さんに限ってそんな訳……とは思いつつも、僕は滑稽な姿を見せていた。
「何処に置いてあるんだろう?」
僕は除去剤の袋を探し回っていた。
だけど何処を見渡しても全く見つかる気配がない。
しゃがんでいたせいか、腰が痛くなりそうなので、一旦伸びをする。
「一応、closeにはしてあるんだけど、誰か来ないか心配だよ」
僕が今居るのは、所謂雑貨屋だ。
週に二日から三日程度しか開けない。
一応僕が経営している雑貨屋で、それなりに客足は多い。
そのせいか、扉にはclauseの看板を掛けているけれど、誰か来ないか心配になる。
「早く片付けて、戻ろう」
僕は手早い動作で、店内を見回した。
まるで泥棒のように漁ってみるけれど、何処にも見当たらない。
流石におかしい。これ、本当はないのでは? 僕は今一度タブレットを確認する。
「おかしいなー。何処にもない。もしかして間違ってるのかな?」
タブレットを操作してみるけれど、やっぱり間違ってないらしい。
つまり、僕が見落としているのでは?
きっとそうだと、キツく自尊心を縛り付けた。
「それとも、僕が見落としてるとか?」
イレ―ナ義姉さんに限って、記入漏れはあり得ない。
何せイレ―ナ義姉さんはまめな人だ。
あんなキッチリした義姉が、僕達に混乱が降り掛かる様な真似、する筈が無いと信じ切っていた。
「やっぱり、何処にもないや。本当、何処にあるんだろ?」
幾らタブレットを見返しても、見つかる気配がない。
これはもう諦めるしか無いかもしれない。
溜息を漏らした僕は、ふと視線を飛ばした。
「……あれ?」
僕は不可解に思った。
それもその筈、見慣れないものが、棚の隙間から飛び出している。
今までなんで気が付かなかったのか……なんてツッコミは要らないよ。
だって、隠すように挟まっているんだもん。気が付く訳ないでしょ、ただの人間の僕が。
「なんだろ、この紙切れ。棚の間に挟まってる」
僕が見つけたのは紙切れだった。
しかも、普段見ないような棚の間に挟まっている。
数週間は経っていたみたいで、かなり埃が溜まっていた。
「この傷痕……シャベル義兄さんのものだよね?」
紙切れを引っ張り出してみると、怪しい傷痕が付いていた。
牙で噛み付いたのか、それとも爪で引っ掻いたのか。
どっちにしても、シャベル義兄さんの癖が出ている。
「シャベル義兄さん……どうしてこんなもの……ん?」
僕は紙切れを取り出すと、案の定メモだった。
嫌な予感がするけれど、見ないとダメな気がする。
僕は意を決して内容を確認したら、本当に案の定だった。
「えっとなになに……[除去剤、貰って行くよー]か」
あまりにも簡潔に残されていた。
うん、これやったな。僕は絶句する。
何せこんな原始的な連絡手段だ。シャベル義兄さんが、タブレットに記入する筈が無い。
「ああ、案の定過ぎる」
僕は固まってしまった。頭が真っ白になっていた。
もはや笑うことしかできない。
全然笑い事じゃないんだけど、予想通り過ぎてヤバい。
「って、それじゃあ在庫は無しってこと? 全部持って行っちゃったってこと!?」
僕は我に返って、放心状態から解き放たれる。
この内容的に、一つか二つだと思ってた。
だけどシャベル義兄さんのことだ。全部持って行ったに違いない。
それだけならまだ分かる。だってシャベル義兄さんは心の赴くままで動いている。
本当に獣のような人だから、誰かが首に首輪を付けないとヤバい。
みんながそれぞれの活動をしている現状、手綱を取れる家族は何処にも居ない。
「嘘でしょ? 在庫の管理はしないの」
シャベル義兄さんの悪い癖、part2.
タブレットが用意されているのに、在庫の管理を一切しない。
いつもそのせいでイレ―ナ義姉さんからは叱られてるけれど、まるで反省しなかった。
そのせいで、在庫無しという最悪な状況に陥ってしまった。
「ど、どうしよう。このタイミングで気が付くなんて……」
カウンターに突っ伏して、項垂れてしまった。
ひょっとしたら、便利魔導具の一つ、レジスター(※レジ)を開けてしまったかもしれない。
チャキン! と軽快な音が響く店内で、僕はひたすらに苦しんでいた。
「最悪だよ。なんとかしないと」
僕は頭を抱えて混乱する。
目が回りそうな危機的状況に、唇を噛んでしまった。
シャベル義兄さんの犯した問題だ。正直、僕みたいな雑魚でどうしようもないポンコツが、この状況を切り抜けられる保証は無い。
「なんとかってどうするの? 近くの店に置いてあるかな?」
正直、一つや二つは置いてあってもおかしくない。
何せ除去剤は、一応家庭用にも売られている。
だけど数には限りがあった。一つや二つじゃ足りないって、うちの規模感からして分かる。
「いや、無理だよね」
うん、絶対に無理だ。不可能に近い。
除去剤を今から仕入れるにしても、間に合う筈が無い。
スライム達、機能停止しちゃうだろうな……僕は自分の才能の無さを恨んだ。
「はぁー、どうしたら」
僕は溜息を吐いてしまった。
流石にこの状況、僕一人には荷が重い。
使える頭も無い中で、悩み果ててしまった。
コンコン!
そんな中、突然扉を外からノックされた。
えっ、なに? 僕の視線が飛んでしまう。
「ん? 誰か来た……えっ、閉まってるよね?」
まさか、店先に誰か来たらしい。
いやいや、今日は店はやってないんだけど。
もしかして、恐れていた事態になったんじゃないよね?
僕は勝手に不安になると、グッと息を飲んだ。
「あの、今日はやってないんですけど」
僕は一声を掛けてみた。
すると帰ってくれる訳でもなく、聞き慣れた声が聞こえる。
「ユイガ、いる?」
「えっ、この声って」
僕は驚いてしまった。
急いで扉を開けようとするけれど、それよりも先にガチャリ! と鍵が開く。
外から合鍵を使って開けたみたいで、スッと扉が開かれると、クールビューティーな女性が店内に入った。
「やっぱり、ユイガ、いた」
「えっ、しゅ、シュトルム義姉さん!?」
そこに現れたのは、僕の良く知る人物だった。
それもその筈、昔からの仲……と言うよりも、血の繋がっていない義理の姉弟の関係。
纏っている服装は全然違っていて、郵便配達員……しかも、ただの郵便配達員じゃない。国際郵便配達員の格好をしているのは、いつもと同じ佇まいのシュトルム義姉さんだった。
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