あの日のこと
今になっても忘れられないことがある
あの日、全てを置いて1人で旅立った夜
君を寮に送ってから、1人泣きながら冬道を運転した22時半
寒い思いをしながら車中泊をした2/24の明け方
フェリーに乗って次に帰ってくる時はもっと成長した姿でと勝手に誓った2/25の夕方
俺の地元に置いてきた君を心配させまいと無駄に明るく振る舞い、新しく住む場所の街並みを電話越しに紹介した2/26の昼前
君との楽しむ時間を増やしたくて余裕が無いのに無理やりに買った携帯型ゲーム機とモンスターを捕まえて戦わせる大人気ゲームカセット
2人で夜中までインターネットを繋いでやっていた2/28の午前2時
遠距離になって段々とギクシャクしてきた3/16の夜
時間が合わずに段々と喧嘩が増えてきた。
慣れない仕事、新しい環境と人に飲み込まれ、自分で決めて異動をしたというのに1人暮しの寂しさと仕事に押しつぶされ、精神的に結構参っていた4/27の朝方
その日の夕方に君から「寂しい」と泣きながら電話してきた時
俺は素っ気ない態度を取ってしまった
なかなか予定が合わず久しぶりの電話だったと言う事もあって、俺は明るく、楽しい話がしたかった。
そして俺はそれを何も考えずに君に伝えてしまった。
君の気持ちも、残された側の気持ちも考えずに。
すると君はがっかりしたような、これから先期待する事を諦めたような声で「ごめん」と一言だけ言って繋がっていた電話を切った。
俺はこの時、特に気にもとめていなかった。
今となっては本当に最低な事をしたと今も思っている
100人中100人が最低だ、と答えるだろう
それでも当時の俺には余裕がなかった。
彼女の気持ちを考える余裕もなかった。
ただ目の前の新しい仕事に対して全力でついていくことしか出来なかった。
それから1週間もしないうちのGW中に俺は振られた。
いや、正式には距離を置きたいと言われた。
ただ、振られたも同然だった。
当時週6で毎日14hの勤務をしていた俺はもう疲れきっていた。
そんな中きた君からの距離を置きたいとのメッセージ。
毎日のメッセージのやり取りも、電話も正直、億劫になることが多かった。
あんだけ一緒に推していたアイドルグループも聴く余裕もなくなっていた。
一緒にやっていたゲームもいつしかやらなくなっていた。
全ての事に興味がなくなっていた。
色んなことが積み重なって、二つ返事で距離を置く事を同意してしまった。
それから少ししてちょっと余裕が出来たから久しぶりに電話したいと伝えた。
俺は久々に声が聞けるとの事でワクワクしていたし楽しみだった。
何より君も同じ気持ちであると勝手に思い込んでいた。
そして帰ってきた君からの返事は「できない」
俺は頭の中が?でいっぱいで「どうして?」ときいた。
君は、「だって私たちもう別れているでしょ?」と。
頭の中が真っ白になってしばらく固まっていた。
そしてようやく絞り出して送れたメッセージ
「ごめん、そうだったよね」
そう忘れた振りをするしか出来なかった
そこで俺はようやく気付いた
いや、やっと気付けた
自分はあの時取り返しのつかない事をしてしまったんだと
そこから先は正直あんまり覚えていない。
ただ、少ししたら君のメッセージアプリのアイコンがツーショットに変わっていた事は覚えている。
俺じゃない、他の男とのツーショットに。
こうして俺は今でも忘れられない人との別れを経験した。
自分勝手な理由で、自分だけが辛いと思っていた約4年半前の甘ったれの自分が今でも許せないし嫌いだ。
そして今になっても君の事をどっかで忘れられずにいる未練タラタラの自分が大っ嫌いだ