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不死身探偵 不ニ三士郎  作者: ガイア
33/39

33 ゆらぎの恋人

「え?」


「ジャムの蓋が開かないから、助けてと寮の僕の部屋に来たゆらぎに、瓶の蓋を開けてあげたのが、最初の会話でした。僕は見た目から怖がられていましたし、女性と話すことなんてまずなかったから、華奢で肌が白くて大人しそうな彼女が僕に頼ってくれたことにびっくりしたんです」


『伊藤君なら、瓶の蓋をあけてくれそうだったから』


『ぼ、僕、怖くないの?』


『なんで?料理をしている時の手がすごく繊細で丁寧だったから、怖い人だとは思わなかったよ』


「ゆらぎは、僕の見た目を怖がらなかった。それからもたびたび僕に話しかけてきてくれて、いつしか僕は彼女に好意を抱くようになった」


「……あなた、まさか」


「僕と、ゆらぎは付き合っていました」


 お茶に蓋をした雪知は、まっすぐ伊藤を見つめた。体を丸めて俯いている伊藤の背中はなんだか先ほどとは打って変わって小さく見えた。雪知は先ほど立川が近藤に閉じ込められている話の時、伊藤が、「ゆらぎも閉じ込められていたよ」と言ったのを思い出した。


「僕はふざけてペットボトルの蓋も開けて彼女に渡していたりもしていたんですよ」


『もう、伊藤君ったら、お茶の蓋くらい私、開けられるわよ』


『あはは、どうぞ』


「本当に好きだった……大好きだったんだ」


「……」


 伊藤は、涙をぬぐいながら自分の膝に額をこすりつけていた。


「俺は、彼女を利用して幽霊騒ぎを起こしたヤツを許さない」


 ありとあらゆる憎しみがこもった伊藤の言葉に、雪知はごくりと言葉を飲み込んだ。あの時、伊藤に柊のことを聞いた時に、伊藤はがたがた震えていた。


あれは、怒りに震えていたのだ。


「伊藤さんは、柊さんが行方不明になった日、何をしていたんですか?」


「僕は、その時丁度熱を出して寝込んでいたんだ。だから、お大事に、治すのに集中してっていう、ゆらぎの返事以降、ずっと寝ていただけなんだ、だから何も知らない。でも、昭道……香苗が、あの時のことを教えてくれたんだ」


ジャムの蓋を開けるために午前中ずっと戦っていた時があります。ありとあらゆるジャムの蓋の開け方を調べまくりました。

最終的にはテコの原理でスプーンで開けましたが、その時だけ隣の部屋に筋肉ムキムキの兄がいて欲しいと思いました。

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