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不死身探偵 不ニ三士郎  作者: ガイア
27/39

27 昭道の遺体

馬鹿!雪知はそう言いたかった。若干不二三のキャラの変わりように引いている3人だったが、大人しく3人で顔を見合わせてフロントに行くことに決めたらしかった。


「そ、それではお願いしま……」


「あっ、待ってください」


 雪知はハッと気づいて、3人を引き留めた。



「昨日温泉に入ろうとした際に、西館の階段に通れないようにスタンドゲートがあって通れなかったんです」


 樫杉と谷口は顔を見合わせて、首を傾けた。


「そんな馬鹿な……あんなところを封鎖するよう指示した覚えはないですよ」


「普通に誰かが間違えてやってしまったとかじゃないですか?」


 菅原に、「いや……?」と首を傾げる樫杉だった。


「わかりました、ありがとうございます」


 誰があそこに立てかけたのかわからない、スタンドゲート。


雪知はその謎も気になっていたのだった。不二三について浴室に行くと、浴室は入った程の熱気は収まりを見せていた。水を不二三が流し続けていたのがよかったのだろう。雪知が浴室に入ると、最初に入った時よりの熱気は収まっていた。


「血文字か……これ?」


 8年前の復讐を、というのは外にあったピザ窯の上の積雪シートに書かれていたことと同じだった。


「いや、スプレーのようなもので描かれているな」


 ちらりと文字を一瞥した不二三は、そのまま風呂蓋や浴槽を調べている。


「不二三、どうだ?」

「風呂蓋や浴槽は特に何もない」


 しゃがんで排水溝の中を確認している不二三は、眉をひそめた。


「……」

「犯人の手がかりはなしか」

「いや」


 不二三は、手に持っているボールペンを見せた。


「何だ、そのボールペン」

「……脱衣所の籠の後ろにガムテープで張り付けてあった」


「は!?」


「まるで見つけた相手へのメッセージのようだ、恐らくこの持ち主は……まあ、皆に確認してからだな」


「ああ」

「さて、話を聞きに行こうか」

「犯人、分かったのか?」


 雪知が問いかけると、不二三は目を閉じて頷いた。


「もう僕は右端の部屋は調べたし、後はこの事件に関係ありそうな立川さんの話を聞くことと、近藤さんの死体を調査するだけだな」

「ああ」


 フロントに行くと全員が集まっていた。ソファで立川が青い顔をして震えており、玄関を上がったところには、ブルーシートがかけられた、昭道の遺体があった。


「昭道さんを運んでくださってありがとうございます」


 雪知が挨拶すると、樫杉や谷口は相当参っているようで白い顔で俯いた。


頭がつぶれている状態の昭道を運んだのだ。ショックは大きいだろう。


「伊藤さん?」


 不二三は、立川の隣に座っている厨房チーフの伊藤に声をかけた。


あれだけの騒動があって一切顔を出さなかった伊藤は、大きな体を丸めてこちらを見つめていた。


「はい……」

「今までどこにいらしていたんですか?」


「いえ、明日の仕込みやら準備を……樫杉さんが送ってくださるということだったので僕は明日の仕込みをして、寮で風呂に入るつもりだったので」


「成る程……外で昭道さんが落ちた音などは聞こえなかったですか?」


「その時は、備品庫の中にいたので、気づきませんでした」


「備品庫?」


「レストランのトイレの前にあるんですよ、扉が。その扉の奥が備品庫です。昔カラオケ室だったらしくて防音で外の音も聞こえてこないんです、昭道君に呼びにきてもらって初めて気づきました」


「成る程……備品庫ではちなみに何を」


「明日の朝食のおしながきの紙が足りなかったので補充に入っていたんです」


「でもそれ、レストランのスタッフの仕事なんですよね、すみません……すみません」


 立川は、頭を膝に打ち付けて何度も謝罪した。


「いえいえ、気にしないでください」


 伊藤は、立川を気遣うように首を振った。ずっと無表情の伊藤は、体が大きいのもあって怒っているように見えたのかもしれない。


「立川さんは大丈夫ですか?」


 雪知は安心させるようにしゃがんで聞くと、立川は体を丸めて肩を上下させている。


「どうしてあんなところに閉じ込められていたんですか?」


 不二三が問いかけると、立川は震えながら爪を噛んだ。


「閉じ込めた人の顔は見ましたか?」


 不二三が念を押すと、


「まだ混乱しているんです、もう少し落ち着いてからじゃないと話せないと思います」


 樫杉が立川を庇う様に前に乗り出してきた。ここで、話せる状況じゃないなら仕方ない、とならないのが不二三である。しかし、雪知はそんな不二三の腕を掴んだ。


「昭道さんの遺体を調べてもよろしいですか?外でも色々調べることがありますし、まだ立川さんも起きたばかりでしょうから、少し落ち着いてからまた伺います」


 雪知が気を聞かせて樫杉に目配せすると、樫杉は少しだけ微笑んで頷いた。


「外は暗いので、フロントに置いてある懐中電灯をお使いください」


「ありがとうございます、ほら不二三、行くぞ」

「あ、ああ」


 雪知は不二三を玄関でブルーシートをかけられている昭道の遺体の方へと連れて行った。


「立川さんが話せるようになったら色々きこう、不二三。俺が柊さんの幽霊を見た時の話しもしたいしな」


な?と雪知が不二三に笑顔を向けると、不二三はしぶしぶ頷いた。


「わかった、そっちからきこう」


 ブルーシートをはがした不二三は、昭道の遺体を確認した。昭道は、黒く長い髪の毛のウィッグを被り、レストランの制服を着ている。頭には、衝撃で崩れており、顔は固く目を閉じている様子だった。


「状況を説明しよう」


 雪知が、温泉に入った後昭道と出会った、というところから説明した。


父は、本当にアニメや映画、ドラマを見ていると感情移入をしてしまうタイプで、母が呼びかけても答えません。最近2人は恋愛ドラマを見ていて、男性が女性に告白するシーンで、父は告白された女性と同じような顔で微笑んでました。ハッピーエンドのストーリーのようです。

私は、いやそっちに感情移入したんかいと思いました。

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