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不死身探偵 不ニ三士郎  作者: ガイア
22/39

22 8年前の復讐を

雪知は真っ先に窓の鍵を外そうとした。

「なんだこれ……?」


 窓の鍵の部分には小さなつまみがあり、それを引き下げることで窓が開く仕組みだった。しかし、そのつまみの中に接着剤か何かが詰め込まれていて窓が全く開かない。


「どういうことだ!?」


「前に直したばかりなのに!元々立て付けが悪くて開かないんですよ」


「では外に!」

「は、はい!」


 レストランの制服である黄色の着物に紺色のエプロン、長い黒髪、さっき雪知と昭道で窓の外を見た時はいなかったのに、急に現れたのだ。雪知と昭道は、東館の廊下を駆け、そのままフロントの方へと向かった。


「どーしたんですか?そんなに慌てて」


 フロントでは、近藤ではなく菅原が立っていた。


「また幽霊が出たんですよ!!」

 雪知が叫ぶと、菅原は大きく目を見開いた後、


「俺も行きます!人間に決まってる!」


 そういって雪知、昭道、フロントの菅原は玄関へと向かった。


「すぐ履ける草履があります!」

「いや、この雪なら長靴じゃないと!」


 菅原がスタッフ用の草履を出そうとしたが、それを昭道が止め靴箱からスタッフ雪かき用の長靴を取り出して雪知に渡した。


「おい、これサイズが大きすぎるぞ」


 菅原が声をあげて長靴を探し始めた。雪知と昭道は運よくサイズのあった長靴を履けたので、幽霊をみた2人で顔を見合わせた。


「急ぎましょう」


 長靴を履くのには少々手間取ったが、雪知たちは急いで玄関から出て、窓から見えた柊の幽霊らしき女がいた庭へと向かった。


「しまった……やはり遅かったか」


 雪知が足跡を確認すべき地面を見たが、吹雪が酷くさらに夜で足元が見えずらい。そもそも、周辺に歩いている足跡そもそもが自分たちのものしかなかった。


「どういうことだ……?確かに立っていたはずだ」


「足跡がありませんね、そもそも暗くて何がなにやら」

「おーい」


 遠くから手を振ってやってきた菅原に、昭道は声を張り上げた。


「菅原さん!懐中電灯と傘を持ってきてください!足跡が探せません!」

「ええ!?」


「事務所にある懐中電灯の場所、僕じゃわからないんです……」


 昭道は、雪知にだけそういって菅原に向かって頭を下げた。菅原は、しょうがないなという表情で歩きずらそうに玄関へと戻っていった。


「この辺りに確かに立っていたはずなのに……」

「あれ……な、なんですか?これ」

「え?」


雪知は、昭道の掛け声に導かれ、窓の外にあった大きな白いかまくらへとたどり着いた。


雪知がかまくらに触れると、固い鉄の塊のように固く、そしてブルーシートのようにツルツルとしていた。じっと顔を近づけてかまくらを見た雪知は、かまくらに何か文字が描いてあることに気づいた。


「これ、かまくらじゃないぞ……それに何か書いてある?」

「かまくら?違いますよ、これはピザ窯です」


「ピザ窯?」


「谷口さんが、毎年夏になるとこの広い庭にテーブルを出してピザを焼いてくれるんです。このシートは、積雪断熱シートで雪が積もりすぎるのを防いでくれるものなんです」


「持ってきたぞ!!」

 懐中電灯と傘を持ってきた菅原は、雪知たちが見ているかまくらを照らした。

「なんだこれ……!」


「ひっ!」


 白いピザ窯の上には、「8年前の復讐を」と血文字のような真っ赤な字で書いてあったのだった。


「うわああああああああああああああああああ!!」


 突然菅原が叫び声をあげ、尻もちをついた。そして両手で顔を覆い、何かをぶつぶつ、ぶつぶつと呪いのように呟き始めた。



「俺は悪くない、俺は悪くない、俺は悪くない、俺は悪くない」


「落ち着いてください!菅原さん!」


 何故か動転している菅原をなだめようと近づいた雪知だったが、菅原は顔中をひっかきながら、


「俺は悪くない、俺は悪くない、そうだ、あいつが悪いんだ……」


 そういってただただ怯えているだけだった。昭道が落とした懐中電灯を拾い、菅原の前にしゃがみこんだ。


「菅原さん、大丈夫ですか?」

「俺は悪くない……俺は悪くない……」

「な、なに、なんですか?」


 東館2階の一番右端の部屋のベランダから顔を出したのは、


「不二三!!」

 西館2階の左の部屋にいたはずの不二三だった。


深夜のコンビニバイトがうんたらという長いタイトルの作品を過去に書いたのですが、カクヨムに投稿したら、かなり評価していただいております。

ありがたいことです、去年はとにかく書いていたので、今年は何作かなろうでも小説を出していきたいですね。

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