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9 求婚

 今朝、花を受け取りに行くとハリーに突然求婚された。


 嬉しくて思わず泣いてしまった。


 庭の小さな花を使ってブーケを作り



 『結婚して、俺と一緒に隣国についてきて下さい』



 と膝をついて懇願された。



 ――プロポーズされたら、隣国へ行っちゃいな~――



 ツヴァイさんのセリフが頭の中で聞こえた気がして、迷わず



 『ハイ。ついていきます!』



 と答えてしまった。


 彼の故郷は海辺の村で、今や観光地になってしまい宿屋を経営している両親が戻ってきて欲しいと手紙が来てると前々から彼が言っていたのだ。


 ここから彼が居なくなるのは淋しいけど、私からすれば親兄弟と仲が良いのは素晴らしい事だと思っていたから



 『故郷へ帰ったら頑張ってご両親のお手伝いをしてあげてね』



 と、彼に相談される度に声を掛けていたのだ。


 だから諦めていたの。


 それが今日のプロポーズで、一気に自分の周りに花が咲いたような、そんな気がした。



 「へえ~、じゃあ、ホントに隣国へ行けるんだ。夢が叶っちゃったね」



 ベッド下にパンを放り込みながら美女に扮したツヴァイさんがニヤニヤ笑う。



 「そうだね~、あと10日で公爵閣下と結婚して1ヶ月か。丁度いいねメイド長に辞表を出しといたげるから」



 何が丁度いいのかが分からなかったけれど、『公爵夫人』直々に、あと10日でハリーと夫婦として隣国に行けるよう手配してほしいという言伝(ことづて)を書面で渡され、その足でメイド長に会いに行った。



 「奥様はお優しいわねぇ、それに比べて旦那様は・・・ おっと内緒よ?」


 「はい。奥様が幸せになってねって仰ってくれて、これを渡されました」



 正式な書類として使われる白い便箋に公爵夫人専用の封蝋を押した書簡をメイド長に渡す。


 恰幅のいいメイド長も公爵様のなさりようは良く思っては無いのだと一瞬思ったけど、もうすぐ彼と一緒に隣国に行けるのだという喜びの方が完全に勝っていたので、この時自分が何も考えていない事に私は気が付いてなかったのだ。



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