A memory intersects and breaks my life (思い出が交差して、自分の人生をえぐっていく)
月曜日は、憂鬱だ。
朝からの管理職会議があるからだ。
博史は、自宅の玄関を出るときに、月曜日だけはそう思う。
大した役職ではないのだが、庶務係という役柄、会議の準備がある。
支店長は、成績に厳しい人間で、営業係はいつも頭を抱えている。
俗にいう"ヒラメ" 上しか見ないタイプ。
もう何人も、蛇のような目つきと逃げ道のない理屈で、部下を精神疾患で病院送りにしている。
本店での受けはいいので、特に処罰はない。
博人の場合は、庶務なので特に強く当たられることはないが、体裁を気にする上司は、書類の一字一句にまでこだわる。
たかが、A4一枚の書類に、一日を費やすることもざらだ。
博人はあと4年で定年だ。
なんとか、我慢していた。
幹線道路に出ると、すぐにバスが来ていた。
乗り込む人がいるので、まだ止まっていた。
バスに乗り込むと、すぐにスマホを出して、お悔やみ欄を確認した。
支店長は、冠婚葬祭には厳しい。
情報を確認していないと、すぐに期限が悪くなる。
やれやれと思っていると、とある名前が目に留まった。
"吉永 真姫 54才"
真姫という名前には懐かしい響きがあった。
葬儀場は、博史の故郷だ。
なにかが引っ掛かった。
葬儀は、今日だ。
博史は、次のバス停で降りた。
支店長の嫌味な声が聞こ得るような気がしたが、課長に電話を掛けた
「課長 すみません。知人不幸がありまして、本日は、休務をお願いできますか」
課長の慌てるそぶりが見えるようだったが。
許可をもらった。
雨が降ってきた。
もうすぐ、梅雨の時期だ。
葬式の日に降る雨のことを涙雨と言うそうだ。
博史は、折り畳みの傘をカバンから出すと、JRの駅に向かって歩きだした。
心の胸騒ぎは、この雨に打たれて確認に近づいていた。
"あれは 増田 真姫"
と心で叫んでいた。
30年以上前の記憶が、心をえぐった。
雨はゲリラ豪雨のように激しくなった。
博史は、靴の中に入る雨も気にせずにあるいた。
肩はぐつしょりと濡れた。
あの時と同じように
1年ぶりに書きたくなりました。
等身大の自分を書いてみたいと思います。
今回は、10話程度の短編で納めたいと思っています。
よかったら、また付き合ってください。




