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 やがて魔女の涙は枯果てた。その命を絶つことを決意する。

 彼は死後のことを彼女に託していた。けれども彼女には何も成す力はない。それは彼の願い、魔女に生きていてほしいと。

 魔女は己の無力を呪い、彼のいない世界を生きていくことに耐えきれなかった。

 魔女はその地に眠る魔人の力に頼ることにした。

 魔女にとって自らが魔女であることが価値を見出した瞬間であった。

 魔女の流す血は川となり、その地を潤した。緑が萌え、麦穂が首を垂れた。

 そこに住まう人々の罪人の証は消え、代わりに己が寿命を刻み込んだ。

 それは魔女と人の生きる時間の違いを表すもの。二度と同じような恋に落ちぬように。


 それは母ウルリカロナエルザが娘ベルロゼッタへした眠りにつく前にした話の一つ。

 ウルリカロナエルザにはどこまで見えていたのだろうか?

 娘が人と恋に落ち、子をなすところまでだろうか。それとも孫がその地に住まうという魔人と契約しようとしているところまでだろうか。

 ただの訓話として話をしたのではないのだろうなと、ベルロゼッタは力のうまくつかえないの体を突き動かしながら、思う。

「主よ」心配そうに先導する蒼いフクロウが声を絞り出す。

「・・・だい・・・じょうぶ・・・ジルちゃんに・・・早く追いつかないと」

 薬が抜けきってないのか、落下と上昇を繰り返しながらふらふらと飛んでいた。

 雨はもう降り始め、体を泥と血に染めながらベルは急ぐ。


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