~第二話~
年月はたち。
僕たちは中学生になろうとしていた。小学校のほとんどの人が僕や服部兄妹と同じ、公立中学校に入学するのでゼロからやり直そうという気持ちにはならないが、これからの生活に少しだけ期待をしていた。
春休みが明け、入学式も無事終わりその日の夜今までのことを思い返していた。僕には他の人には見えない「なにか」が見えること。「なにか」は人の心の色と形だったこと。時々見えていた「なにか」がいまでは常に見えるようになったこと。苦しかった時に服部兄妹に助けられたこと。色々なことを思い出す度に服部兄妹がそばにいたことがわかる。そんな二人とまだ同じ学校に通えることに感謝しながら眠りについた。
朝になり、鮮やかなオレンジ色で球体の心を持つ母に起こされた。カーテンの隙間からから差し込む朝日が今日は一段ときれいに感じた。階段を降りリビングへ向かう。リビングではすでに白色で球体の心を持つ兄と紺色で角ばった形の心を持つ父がいた。優しいコーヒーの香りとともに兄の「おはよう」が聞こえる。相変わらずきれいな心だなと思いながら僕も「おはよ」と返す。僕の兄は今まで見た中で一番きれいな心を持つ人だと思っている。兄は誰にも優しく、頭がいい。そんな兄を僕は信頼し、目標にしている。朝ご飯を済ませて顔を洗い身支度を済ませる。家族に「いってきます」といいドアを開けると服部兄妹がいた。二人に「おはよ」と言ったら、「おはよ」と返ってくる。慶次に「昨日、慶次緊張してカチコチだったなw」というと、「それを蒸し返すなよ!」と返ってきた。そんな他愛もない会話をしながら気持ちのいい朝だなと身体中で感じていた。
中学校に着き、クラス分けの紙をもらった。通ってる中学は学年ごとに四クラスあるのだが、きれいに三人ともバラバラのクラスになってしまった。先が思いやられた。服部兄妹は人当たりがいいので大丈夫だと思うが、それが逆に怖くもある。友達がたくさんできて、僕が用済みになってしまったら、、と考えると恐ろしくて仕方がない。
~続く~