1年の終わり
6月の17日に目覚めると、いつものようにただ真っ白な世界が広がっていて、いつものようにただ僕を呑み込んで、いつものようにただ消えていった。
7月の21日に目覚めると、あたりは赤と黒に染まっていて、血のようなドロドロしたものが溢れていた。
不快感に襲われたのでもう一度布団に潜り込もうとしたが、そこにはなにもなかった。
8月の11日に目覚めると、テレビから監禁のニュースが流れてきたが、紛れもなく、その女の人は僕の恋人だった。
9月の2日に目覚めると、外から悲鳴が聞こえたので、慌てて玄関を開けると、100人あまりの人が無惨にも殺されていた。
10月の31日に目覚めると、警察が僕を連行して行った。激しい拷問と罵声が僕の心を引き裂いていった。
11月の12日に目覚めると、そこには何も無く、僕と白い部屋が広がっていた。この場所にいるのが心地よくて、眠りについた。
それから目が覚めることはなかった。
12月の1日に目覚めると、いつもの場所にいつものように眠っていたので、これまでの流れは夢だったと理解した。しかし、また襲いくる虚無感に、これは日常生活の避けて通れない流れなのだと思った。