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それはきっと  作者:
2/18

追いかける

「キョーダイだって」

 高木はきょとんとしている。

「あそこなら、質も良いしたいていの学部はそろってるから目指してもいいんじゃない?」

「ああ京大か、ブラザーの方かと思った。で、いったい何?」

 なんの前置きもなく告げた大学名だけでは高木には伝わらなかったらしい。

「愛梨の志望校」

「……加納さんって賢いんだね」

 愛梨が賢いのなんて今更だ。小学校の頃から賢かったし、このあたりじゃ一番の進学私立校に中学から通っている。

「高木も行けば、キョーダイ」

 キョーダイならトップレベルだし目指してもおかしくない。やりたいことだってできる学部がきっとあるから、愛梨と一緒になることだけが目的にはならない。二本立ての目的ができる。勉強が大学に入るための手段なのは当たり前だ。

「良いか岸岡。俺は宇宙人じゃないんだ」

 宇宙人。この会話の流れで出てくるのはおかしな言葉だけれど、確かにそうだ。高木は宇宙人じゃない。トーダイやキョーダイは宇宙人が行くところだ。じゃあ愛梨は宇宙人?

「地球人でも愛の力で何とかしちゃえば、まだ二年の春だし」

 好きな女の方が賢いってのは大変だ。いつだって追いかける側にしかなれない。恋愛ごとも、勉強面も。

「そうだな、それもいーかもな」

 適当にあしらうように高木は言って、私の頬をつねった。

「痛いんですけどー」

「愛の力とか言うな」

 だって宇宙人じゃないなら、もう愛の力しかないでしょう。

09/04/01

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