新しい高校生活にて
時は流れ、高校が再開した。そして、それはあるものからしたら新しく始まるものだった
「ねぇ、おねぇ、本当に変じゃない?」
「うん! すっごくかわいいよ!」
「……おにぃ」
「まぁ似合ってるんじゃないか」
「うんっ」
もう行く時間だ。ただ、まだ京が服装を整えている。
「ほら、そろそろ行かないと遅刻するよ」
「分かってるって」
俺は先に玄関へ行く。次いで七海と京が慌ててついて来る。
「ちょっと、先に行かないでよ、おにぃ」
「このままだといつまでも行けないだろ?」
「あとちょっとだったの!」
そう言って京はローファーを履く。これも高校入学に合わせて新調したものだ。
「じゃあ、行こっか!」
「うん!」
三人で並んで高校への道を歩く。七海は京と俺と手を繋いでその手をぶんぶんと振っている。
「こんな日が来るの夢だったんだー。明人と京ちゃんと一緒に同じ学校へ行くの」
「そういえばおねぇって最初、おにぃとの関係を隠してたんだっけ」
「そうだよ。でも耐えられなくなっちゃった」
「私としてはいちゃついていない二人の方が気になるよ。いつも隙あればいちゃいちゃしてたからさー」
「確かにそのバージョンの七海を京は知らないのか」
「うん。めっちゃ気になる」
「もー、二人ともやめてよ。黒歴史なんだから」
「一回だけ!」
「やらないよ!」
二人ともとても楽しそうだ。京も緊張していないみたいで良かった。
「明人からも何か言ってよー」
「ははっ、確かに懐かしいねー、俺も久しぶりに見たいかも」
「へー、そういうこと言うんだ。へー」
「ごめんって」
「ふーん。そうですか、日野さん」
七海は俺から手を放してそう冷たく言い放った。
「な、七海さん?」
「日野さん。なんですか? 近いので離れてください」
七海は眉を寄せ、顔を後ろへ運んだ。
「ごめん七海! 許してくれ!」
俺は耐えられず七海を抱きしめる。
「へへ。冗談だよ」
七海は宥めるように俺の背中をぽんぽんと優しく叩いた。横目で京が信じられないものを見たような顔で固まっていた。
「京ちゃん?」
「今の本当におねぇ?」
「そうだね」
「おにぃ、よく付き合えたね」
「奇跡と運命が味方したね」
「もー、この話はおしまい!」
「はーい」
「ほら、行くよ!」
三人で通学路を歩き進めると、ちらほらとうちの学校の生徒を見かけるようになってきた。そして、俺らのことが視界に入った生徒達は必ず2度見、3度見してくる。なんだか、七海と初めて登校した時と同じ感じがする。もう俺たちの関係は周知になっているが、そこに一人追加されているのだから気になるのも無理はない。
「どうしたの?」
「いや、少し視線が気になって」
「よそ見? キス必要?」
七海がそう言って俺の顔を覗いてくる。俺は七海の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「んふふ。分かればいいのです」
満足そうにふにゃっとした顔になった。
「京ちゃんが来て、もっと学校が楽しくなるね! すっごい楽しみ!」
「そうだね。きっと楽しいよ」
「おねぇもおにぃもほどほどにねー」
「分かってますとも!」
七海は俺と京の手を握り直して、勢いそのままに学校へ向かって走り出した。俺たちもそれに引っ張られるように学校へ向かった。
新しい作品「月が太陽を絆すまで」を連載開始いたしました。
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良ければご一読ください。




