始まり
小・中学はいたって真面目な生徒だった。
高校に入り、彼女ができた。名前は玲。
初めてできた彼女。童貞であった櫂は、下心見え見えデートを何度か繰り返し、やっと男を上げる事ができた。
セックスの味をしめた猿は、会う度性行為を繰り返した。
付き合って3ヶ月、夏休みが入ろうかという時期に櫂は決心した。
櫂は、玲とこのまま一緒になりたいと本気で考えていた。
しかしまだ16歳。結婚はまだにしても、一緒に住みたいと強く願った。
玲ももちろん櫂と相思相愛。
そうしたいが、お互いの両親に大反対され、実現はできなかった。
櫂はこの時、親に不信感を抱いた。いままで反抗もした事なかったが、その反動が噴き出した。
『あんたらの力なんか借りなくても生きて行ける!こんな家出て行く!』
その翌日、櫂は高校に退学届けを出し、アルキタという北海道のアルバイト情報誌を購入した。
札幌から彼女と上京したかったが、彼女は頭がいい高校に通う才女。
玲は高校は辞めさせてもらえなかった。
情報誌を読むが、家を出て行くと言った手前、寮付きを探した。
結果、肉体労働以外該当するものがなかった。
寮付きになるとまた狭まり、2・3社となり、その会社は鳶。鉄筋工。電気工。
全て現場に行く職人の仕事で、そんな世界まったく無知な櫂。
適当に響きから鳶を選択し、面接を受けに行った。
『16歳?若いね!肉体労働初めてだろ?大丈夫か?すぐ辞められても困るからなぁー。』
ずいぶんと心配そうなイカツイおっさんだったが、櫂の決意は固く、
『全然大丈夫です。頑張りますんで、お願いします!』
面接の会話は以上で、それじゃーって感じで入社の説明を受けた。
見習い期間の半年は日当8000円。それを過ぎれば日当10000円から。
寮費で月3万取られるが、札幌の物価の安さの割に給料がいい会社だった。
面接した翌日、これから住む寮に引っ越しをした。
前日の夜に想像していた綺麗なアパートとは正反対の古いアパートだった。
ワンルームが6部屋あり、櫂が入居して全て埋め尽くした。よって先輩は5人いる事になる。
どんな人達なんだろーなぁって考えながら、衣類や生活用品を片付けていた。
そして夕方頃になり、アパートが騒がしくなった。
数人が帰宅し、誰か二階のほうで集まってる感じだった。
すぐさま櫂は扉をノックした。
さっきまで騒がしかったのにノックした瞬間静かになった。
なにも返答ないので、
『今日からお世話になります。よろしくお願いします!』
大きな声で言い、戻ろうとするとドアが開いた。
『ビックリしたわー。ちょうどサツの話ししてたから警察きたかと思ってさー。』
日に焼けたギャル男風の男達が笑いながら手招きしていた。
『入ってきなー。』
苦笑いしながらも部屋にあがらせてもらうと、同じ寮に住む3人がいた。
部屋は引っ越したばかりの櫂とは違い、足の踏み場もないくらい汚なかった。
『名前は?年はいくつ?』
1人が櫂に訪ね、
『櫂です。16歳で、明日から仕事しますのでお願いします!』
緊張して肩の力が入ってる櫂を先輩方は笑っていた。
緊張もするはず、部屋にあるテーブルの上には見たこともない品々が置かれていた。
学生の時から先輩とあまり戯れたこともない櫂。
先輩方の質問責めに戸惑いながらも丁寧に答えた。横目でテーブルをチラチラ見ながら。
しばらくして先輩の1人が確信をつく質問が、
『ガンジャ吸うか?もしかして初めて?』
ガンジャの意味も知らない櫂。数種類あるパイプと何か入ったパケをガン見した。
学生時代も不良グループと縁がなかったし、煙草も吸った事がなかった。
吸うかと言われても・・・と、おどおどしていた。
櫂の表情からウブだと解った先輩方は、
『なんも知らないんか!ウケるっ』
一同爆笑。そして櫂は部屋へ戻り、明日から上手く付き合えるか心配しきりだった。