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4年間の復習は人を天才にする。
春の初めとは思えないほど気温が高い今日この頃。
俺、高木涼は高校の入学式に向かっていた。
だが、俺自身が入学するわけではなく今回は新入生を案内する手伝い役として学校に足を運んでいた。
「はぁ…」
暑さのせいか新入生の相手をしなければならないというプレッシャーか、あるいはその両方で足取りは重く、自然とため息が出る。
無理もない。実を言えば、涼にとってこの入学式の手伝いは3回目なのである。
涼は閏年、つまりうるう年のその日に生まれたのであった。普通ならその日に生まれても自分の誕生日を故意に前後できるだけのものなのだが、何故か涼にはそれが適用されず、4年経つまでずっと1年間を繰り返す。いわばタイムリープに陥っている。
涼自身に解決策がなければ、周りの人間はみな1年前に戻ってしまうためそれを理解してくれるものもいない。