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3 従妹のりっちゃん

「みどりちゃん帰ってきたのね~」



山田さんのことを亮子さんに話すと嬉しそうにほほ笑んだ。



「山田さんも亮子さんのことを亮子ちゃんって呼んでたけど、なんで?」


「ああ、彼女は旦那の大学の後輩なの」



え。


亮子さんの旦那さんということはりっちゃんパパだよな…


確か、亮子さんより年下だけどそれでも40代だったはず……




りっちゃんとは、さっきぼくを昼に呼びにきてくれた女の子だ。


本名は瀬野律子といい、亮子さんの娘でぼくより2つ下の従妹。


昔からずっと「りっちゃん」と呼んでいるけど、随分大人っぽく育ったから、りっちゃんがこの愛称で呼ばれることを嫌だと感じていたらどうしようかと少し不安だったりする。


りっちゃんとか呼ぶなよきもい、なんて思われてたら立ち直れない…。




「彼が院生の時にTAとしてよく相談にのってあげてた子なの。当時は恋のライバル視をしてた時もあったわぁ」


昔を懐かしむような目をして、楽しいことでも思い出したのかゲラゲラ笑いだす。



「あの子ちょっと変わり者だから、すぐにライバル視するのやめたのよねぇ」


「…かわりもの」




山田さん、旦那さんとはその時から付き合っていたのだろうか



当時から見た目はたいして変化していないのだろうか




「何の仕事してるの?」


「雑誌の編集って言ってたかなー。あの子が仕事してるところ、想像つかないけど」



編集の仕事はぼくも興味のある職業のひとつだ。




「ね、ねぇ。聡、みどりちゃんに会ったの?」


「うん」


「……ふーん」



なんだろう、聞いてきたわりには興味なさそうな反応だなぁ



「似たもの親子なのよねー、私たち」


「ママ!…ごちそうさまでしたっ」



りっちゃんはお皿を持って席を立ち、小走りで台所に向かう。



「ぼくもごちそうさまでした。今日から予備校で晩は済ませるから、夜ご飯は大丈夫です」


「そうなの?お弁当つくるけど?」


「いやいや!大丈夫だよ、夜はあんまりお腹が減らないんだ」



感謝を述べつつぼくも食事の片付けを手伝いに台所に向かった。




「りっちゃん、今日から少しの間は勉強をみてあげる時間が取れないけど、慣れたらまた再開するから」


「あ、聡。大丈夫だよ、心配しないで!勉強頑張ってね」


「ありがとう」



お皿を洗い終え、ぼくも自分の家に戻ることにした。




山田さんに会えるだろうか。




「待って、聡!」


帰り際にりっちゃんに呼び止められる。



「あの、何か小説を借りたいな。部屋に見にいってもいい?選んだらすぐ帰るから!」




ぼくは昔から小説が大好きで、人よりたくさん本を持っている。


クリスマス、誕生日、色々なプレゼントには全て本を要求してきた甲斐があり、用意した大きな本棚は隙間を持て余すことなく本を守ってくれている。



「いいよ。りっちゃんも本を読むようになったんだね」


えらいえらい、と頭を撫でると少し怒ったような表情をしながらも頷いた。

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