第六十七話:ショッピングに行こう
「うおー! すっげえ! こんなに沢山の槍、始めて見たぜ!」
フレイは店内に入ると、興奮した様子で辺りを見回す。
店内には所狭しと様々な槍が立て掛けられ、まるで槍の専門店のようだ。
「だろ? この店はトライロードで一番槍が充実してるんだ。お前の気に入る一本も必ず―――」
「これに決めた!」
「はやっ!? いやまあ確かに、それ強いけどさ……いや、まあいいか」
「???」
女子のウィンドウショッピングっぽくないなーと思った祐樹だったが、そっちの方が待たずにすむので合えて言葉を控える。
フレイはそんな祐樹の様子を見ると、不思議そうに首を傾げた。
「へへっ。ありがとな、祐樹。おかげでいい買い物ができたぜ」
「っ! お、おう、そりゃよかったな」
「???」
満面の笑顔を見せるフレイの美しさに、一瞬見惚れる祐樹。
どもってしまった祐樹の様子に、再びフレイは頭に疑問符を浮かべた。
「さーって、これからどうすっかなぁ」
「なんだよ、エスコートするって言っといてノープランか?」
店を出たフレイは、槍を宿まで届けてもらう手続きを済ませ、ぐーっと体を伸ばす。
祐樹はそんなフレイの台詞を聞くと、呆れたように言葉を返した。
「いや、まあ、その、ノープランってわけじゃねえんだけど……」
「??? なんだよ、珍しくもじもじして」
フレイは顔を赤くしながら、人差し指の先を合わせてもじもじとする。
祐樹はそんなフレイの様子を不思議に思い、首を傾げた。
「スイーツ……」
「???」
ぽつりとこぼれたフレイの言葉が良く聞こえず、今度は反対方向に首を傾げる祐樹。
それを見たフレイは、噛み付くように声を荒げた。
「だっ、だから、スイーツだよ! 甘いもん食いに行こうぜって言ってんの!」
「わ、わかったよ! なんでそんな怒ってんだ!?」
突然怒り出したフレイに対し、疑問系で返事を返す祐樹。
フレイは再びもじもじすると、返事を返した。
「だ、だって、アタシがスイーツとか、似合わねえだろ?」
フレイはまるで伺うように、上目使いで祐樹を見つめる。
祐樹は微笑みながら、優しく返事を返した。
「別に、そんなことねえよ。お前だって女の子じゃん」
「なっ―――!?」
祐樹の返事を聞いたフレイは、みるみるうちに顔を赤くし、言葉を失う。
祐樹はそんなフレイの様子に疑問符を浮かべ、言葉を続けた。
「??? おーい、スイーツの店に行くんじゃねえのか?」
祐樹は片手をぶんぶんとフレイの目の前で振り、その意識を取り戻そうと試みる。
フレイはその動作に意識を取り戻し、言葉を返した。
「はっ。そ、そうだよ。ついてきな!」
「なんなんだよ、もう……」
突然ずんずんと歩き出してしまったフレイを追いかけ、歩き出す祐樹。
そんなフレイの顔は、その髪の色と同じく、真っ赤に紅潮していた。