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第百三話:魔王との戦い

「にしても、さすがは魔王城……ってとこか」

「ええ。雑魚モンスターでも、強さが段違いです」


 フレイとアオイはモンスターと刃を交わしながら、言葉を紡ぐ。

 そんな二人に、レオナが大声で言葉をぶつけた。


「二人とも下がって! 大魔法いくわよ!」

「「おう!(はい!)」」


 フレイとアオイはバックステップで、一瞬にして雑魚モンスターとの距離を取る。

 そしてそんなモンスターを巨大な雷が襲い、消し炭にした。


「はあっはあっ……大分深層部まで来たと思うんだけど、魔王は一体どこにいるのよ?」


 レオナは肩で息をしながら、疲れた様子で祐樹へと言葉を紡ぐ。

 祐樹は先ほどの雷の土埃が晴れるのを待って、返事を返した。


「どこにいるかって? ……そりゃ、簡単だ。今俺たちの目の前さ」

「えっ!?」


 祐樹の言葉に反応し、思わず祐樹の視線の方角に杖を構えるレオナ。

 しかしそこには、禍々しい文様を携えた魔方陣が地面に描かれ、不気味な紫色の光を放っているだけだった。


「正確には、この魔方陣に乗った先にいる、だけどな。だからまだ緊張しなくていい―――痛ってえ!?」

「そういうことは先に言いなさいよ! 馬鹿なの!?」


 紛らわしい言い方をした祐樹に対し、その尻に蹴りを入れるレオナ。

 祐樹は「痛ってえなぁもう……俺の尻三つに割れちまうよ」と不貞腐れながら、言葉を返していた。


「いよいよ……魔王との対面、ですね」


 アオイは緊張した様子で一度唾を飲み込み、魔方陣を見つめる。

 祐樹は頭の後ろで手を組むと、笑いながら言葉を紡いだ。


「ああ。だがまあ、そう緊張することもねえよ。今のお前らなら、充分勝てる相手だ」

「そうにゃ! ニャッフル達はちょーつよいのにゃ!」

「そうね。少なくとも弱くは無い。そう思えるわ」

「おう! 魔王なんざぶっとばしてやろうぜ!」

「皆さん……」


 頼もしい仲間達の声を聞き、感動に胸打たれるアオイ。

 そんなアオイの肩を、祐樹は優しく叩いた。


「さ、アオイ。お前から乗るんだ。全員乗らなきゃ発動しないけどな」

「はい! 師匠!」


 アオイは祐樹に言われた通り、魔方陣の上へと立つ。

 すると沈黙を守っていた魔法陣に描かれていた文字の一つが、赤く輝いた。

 その文字は全部で五つ描かれており、祐樹の言う全員乗らないと発動しないというのは、どうやら本当のようだ。もっとも、ゲームプレイ時に散々体験しているので、知っていて当然なのだが。


「よぉし、じゃあ、もったいぶらずに全員乗ろうぜ!」

「がってんにゃ!」

「オーケー。いよいよ魔王とご対面ね」

「っしゃあ! いくぜぇ!」


 祐樹の言葉に呼応し、次々と魔法陣の上に乗っていくニャッフル達。

 こうして全員が魔法陣の上に乗ると、魔法陣は赤く輝き、祐樹達を別のエリアへと転送した。







『ワレノ、ジャマヲ、スルモノハ、ダレカ……』

「……師匠。あれが……」

「ああ。正真正銘。この世界の魔王だ」


 転送されたアオイ達を待っていたのは、大柄の体躯と骸骨の頭を持ち、全身を黒いマントで覆っているモンスター。

 そのオーラはその辺りの雑魚とは桁違いで、傍に立っているだけでビリビリと皮膚が逆立った。


『イマイチド、トウ。ワレノジャマヲスルモノハ、ダレカ……』

「あなたの邪魔……それは、わかりません。ですが私は……いえ、私達は、あなたを倒す者、です」


 アオイは一歩前に踏み出し、勇者らしく凛とした態度で、魔王へと言葉を返す。

 魔王は骸骨で表情のないはずのその口角を上に上げ、言葉を続けた。


『ヨイ……ナラバ、ホロボスノミ!』


 魔王はマントの中から剣を持った手と杖を持った手を出し、一度咆哮する。

 その咆哮は部屋全体に響き、ビリビリとしたプレッシャーをアオイ達に与えた。


「アオイ! ニャッフル! レオナ! フレイ! とりあえずは普段通りの陣形だ! それで今の奴は倒せる!」

「「「「了解!(にゃ)」」」」


 アオイはまず先陣を切り、魔王へと切りかかる。魔王は剣を持った腕でその一撃を受けるが、そのすぐ直後、ニャッフルの蹴りが魔王の顔面をとらえた。


「にゃああああああ!」

『っ!?』


 魔王は明らかにダメージを受け、一瞬ふらつく。

 しかしやがて体勢を整えると、今度は杖をかざし、悪魔の姿をした使い魔を二体召還し、レオナへと襲いかからせた。


『『ギギャアアアアアアアアア!』』


 使い魔は慈悲の心も無く、その牙を突きたてようとレオナへ襲い掛かる。

 しかしその間に、フレイが割って入った。


「させるかよ! おらあああああああああああああ!」


 フレイは一体を槍で突き刺し、そのまま反転して今度は柄の部分でもう一体を吹き飛ばす。

 そのまま吹き飛ばした使い魔を追いかけると、槍で突き刺していた使い魔と共に、魔王の元へとまとめて吹っ飛ばした。

 こうして魔王と使い魔は、一箇所に集められた状態となる。


「後は任せて! 邪悪なる信徒よ、懺悔の間もなく消えるが良い。狂信の先に出ずるは、神の鉄槌。”ホーリー・ブレイバー”!」


 レオナは呪文を詠唱し、光の大魔法を発動する。

 その瞬間、天井の辺りに波紋が複数出現し、その中から光のビームが無数に降り注いだ。


『グアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』


 魔王は大魔法の一撃を食らい、明らかに効いた様子で数歩後ずさる。

 その隙をアオイは見逃さず、思い切り振りかぶっていた剣から一撃を放った。


「隙あり! 豪波・裂衝斬!」

『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』


 思い切り振りかぶって放たれたアオイの渾身の一撃は、魔王を真っ二つに切り裂く。

 魔王は黒い炎を体に纏いながら、のたうつように倒れこんだ。


『ア……ア……』

「はあっはあっ……やった、のですか?」


 アオイは倒れた魔王の様子を見て、息を切らせながらも言葉を紡ぐ。

 しかしそんなアオイの言葉を、祐樹はやんわりと否定した。

「いや……確かに倒したが、まだだ。魔王には……第二形態が存在する」



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