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リュウジはGランク

リュウジは駆けた。おお、意外に速いじゃないか。そんなに急いでどこに行く。


ピロロロ…


ん。この音は携帯か?鞄の中か?


リュウジは立ち止まり携帯を開いた。


「はい。もしもし。鴨野ですが。」



「どうしたのですか?指定したお時間が過ぎていますよ。」


年配の女性の声がする。


「すみません。た、太陽の光が眩しくて。必ず向かいますので。」


おい。どんないい訳だ。なんでも太陽のせいにすればいいってもんじゃないぞ。


「よくわからないけど、とにかく急いで来てくださいね。」


ガチャ


走れ、リュウジ。なんだかよくわからんが、走れ。遅刻だ!走れ!


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


リュウジは、汗でびしょぬれになりながら、たらたらと歩きながら

雑居ビルのエレベーターに乗った。


「はあ、はあ。もう、ハシレナイ。」


この軟弱者め。草食系どころかプラナリア系とよばれちゃうぞ♪


エレベーターが停止した。

そして、扉が開いた。


そこには、「大日本バイト協会」の事務室があった。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「まず、遅刻はダメです。それに、謝罪の言葉も無い。これでは、失格です。」


年配のお局様風のいかにもキャリア積んでます!って感じの人がなんだか怒っている。


「ご、ごめんなさい。もう、走れないくらい疲れてしまってですね~。」


お、、リュウジは意外と平気なようだ。

苦笑いの気持ちの悪い笑みを浮かべながらヘラヘラしている。

ここは謝り続けるべきではないだろうか。


「コラ! アンタは何を考えているの! その態度から改めなさい!」


怒られた。まあ、あたりまえか。最近の若いもんはダメだな~ハハッ。


「ご、ごめんなさい。」




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「まず、私は、荻原と申します。あなたのジョブアドバイザーです。

 普段は、この事務所で仕事の割り振りや受付をしております。」


「ど、どうも。オレは、鴨野龍司です。」


「まず、当協会のシステムを紹介します。

 入会しますと、ジョブデータベースに登録され、各人にあった仕事が

 紹介されます。もちろん、ご希望に添えない場合は断っても結構です。

 時給はランクによって変動します。ランクはFクラスから始まりSクラス

 まであります。入会時は、Fクラスからのスタートです。

 ランクの決定は、アルバイト先の評価、経験、資格等によって変動します。

 とはいっても、アルバイト先の評価×現場の回数でほとんど決まります。

 それから、会社から会員へ支払われる報奨金の4割は、当協会が徴収します。

 それで、リュウジさんはアルバイトがしたいということでしたけど、

 どんなアルバイトがご希望ですか??」


「ぶっちゃけよくわかんないんで。楽な奴があればいいです。

 あ~あと、労働中の事故とか補償されんですか?

 物とか壊して弁償しろ!なんて言われても、オレ、払えないですよ。」


おい。リュウジ。その受け答えはどうかと思うぞ。また、怒られるんじゃ…



「リュウジさん。まず、仕事はこちらで割り振るということでいいですね。

 当協会で徴収するお金には、保険料が含まれています。ご安心してくださいね。」


あれ、怒らないのか…。



「では、バイト協会により、バイトマン腕時計が支給されますので、

 それを差し上げますね。」


「へー。これがバイトマン腕時計ですか。なんかちゃっちいですね。」


うむ。確かに普通の百円で売ってるような黒いビニールの腕時計だ。


「まあ、着けてみてください。」


「では。」


リュウジはバイトマン腕時計を左手首に装着した。

時計のデジタル画面の背景に「G」の赤い文字が浮かびあがった。


「なんですか?これは。すごいですね。」


「その文字が、君の今のランクです。」


「え。んあ。もう一度言ってくれませんか?」


「その文字が、君の今のランクです。

 あなたは、Gランク。」


「あ、あれ。Fランクが最低じゃないの?」


「あなたは遅刻もしたし、態度が最低です。

 とても現場に送り出せません。Gランクはそういう人のためのランクです。」


ほほ~そんなランクがあるのか。良かったなリュウジ。レアだぞ。それは。


「因みにGランクの下は登録抹消です。これ以上ランクを落さないように

 頑張ってくださいね。」


頑張れリュウジ!負けるなリュウジ!仕事はもらえるのか!リュウジ!










次は初バイトに向かいます。どんな仕事が待っているのか。ドキドキ。ワクワク。

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