そいつは危険だ。に、逃げろリュウジ~
そんなこんなで、現場に着いた。
ここは、レンタルビデオ店(新規開店前)の中。
店員の方が、今日の作業について説明してくれている。
「え~。皆さんには、このダンボールに入っているビデオにバーコードを貼って、所定の位置に並べてもらいます。ぺたっと。こんな感じで。並べる場所は、バーコードの上に書いてあるこの記号と数字、これと同じものが置く場所にも書いてあるので、そこに並べてください。いいですか。」
「で、エリアなんですが、男性の方は、こっちの18禁エリア。女性の方は、日本の映画のコーナーを本日はやっていただきます。それでは、それぞれのエリアで作業を開始してください。」
★★★☆☆★★★☆☆★★★☆☆
「え~っと。」
リュウジの手は微かに震えていた。額にはうっすらと汗がうかんでいる。どうしたんだ!リュウジ。
「大丈夫かな?チミ~」
長髪の人が話かけてきた。見た目は普通だが、ちょと話し方が変わっているような…
「こういうところに来るのは初めてなものでして。お恥ずかしい。刺激が強すぎる。縄とかあんなのとか。でも、大丈夫。すぐに馴れるッスよ。」
「そうか~そんなチェリーボーイも今時いるんだな~珍しい。」
「平然としていて、凄いですね。」
「ボクのこと? まあ、ボクは2次元しか興味ないからね。話していないで、仕事進めるか。早くしないと、この量は終わらないですよ~。」
「はい。そうですね。進めましょう。」
リュウジは、黙々とビデオにバーコードを貼り、並べた。このようなエリアに足を踏み入れてしまったことはかつて無かった。中学生の頃には、既に菌類に夢中になっていたし、高校時代は、粘菌の世界に足を踏み入れていた。同級生がピンク色の話に盛り上がる中、真菌の進化の話に夢中になっていたリュウジは、この手のモノに免疫が全くなかった。
「ヤバイ。心臓の鼓動が。頭がくらくらする。」
そうつぶやきながらも、作業を続けたのだった。
★★★☆☆★★★☆☆★★★☆☆
お昼休憩。すぐ隣にある、小さなスーパーマーケット内でお弁当を買って食べる。しゃべりかたに特徴がある、長髪青年も一緒だ。少し休息して、頭が痛いのは治ってきた。ただし、目にはまだ、縄だったり女子学生だったり、団地だったりの画像が残っている。目を瞑っても消せない。早く、この状態から回復せねば。
「汚れちまったよ~。お婿に行けない。」
「チミは、本当に純情だな~ 珍しい。珍し過ぎる。ミクジィで仲間の皆に伝えねば。」
「ちょっと、写真は止めて。ダメ!投稿しちゃだめ!」
「大丈夫。顔映ってないからww」
「オレ、もうダメ。」
そんなリュウジに微笑みかえる人がいた。
「リュウジさん。一緒にご飯たべましょ。」
リュウジは、状況判断に困った。平常心があれば、「一緒にご飯を食べる」が正解だろう。しかし、今はどうだ。目には、エッチな表紙が目にこびり付いている。長期の興奮により、体全体のホメオスタシスは崩壊の危機に瀕している。 つまり、 この状況では。
「逃げるしかない!」
そう叫び、リュウジは猛然と逃げ出した。
「もったいないな~~ww」
長髪の青年は、その様子をみて笑っていた。
声をかけた女の子は、怒っていた。
それは、もう、相当ブチ切れていた。
一旦、他の書いてる小説の方に注力します。
ひと段落したら、また再開するかもです。