表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Himeyuri ―魔法嫌いの元学園最強と、幼馴染の約束から始まる魔法学園譚ー  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 魔法試験編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/118

第81想 己を超え、絶望を断て――最後の希望、不知火燈也覚醒!


 燈也(ともや)とドッペルゲンガーは、霧に包まれた空間で向かい合っていた。

 互いに同じ姿、同じ気配。

 違うのは、その“覚悟の向き”だけだった。


「どうした不知火(しらぬい)!!その程度か?」


 ドッペルゲンガーが余裕たっぷりに笑う。

 まるで鏡に映った自分が、弱さを(あざわら)っているかのようだった。


「ふざけやがって……」


 燈也は低く(うな)り、地面を蹴る。

 感情に引きずられるように、拳を突き出した。


補助強化魔法(パワー・ブースト)


 魔力が腕に集まり、筋肉に力が(みなぎ)る。

 強化された拳が一直線に叩き込まれるが……。


魔法障壁(プロテクション)


 半透明の壁が展開され、衝撃は鈍い音を立てて弾かれた。


「効かねえよ!」


 ドッペルゲンガーは一歩も動かず、鼻で笑う。


「だったら……!」


 燈也は即座に切り替える。

 魔法への嫌悪すら飲み込み、刃を形作った。


魔斬(マギ・ブレイク)!!≫


 魔法を断ち切る性質を持つ魔力の刃。

 障壁ごと貫くつもりで振り抜く。


「甘いな!いいか、こう使うんだよ!」


魔断(マギ・ブレイク)!!≫


 同質、同格、同技。

 二つの刃が激突し、音と共に火花のような魔力が散った。


「同じ技なのに……俺が押し負けるだと……」


 燈也は歯を食いしばる。

 腕が(しび)れ、後退を余儀なくされる。


「それは、あなたの心の問題よ」


 横合いから、静かな声が落ちてきた。


「過去と向き合いなさい。あなたには……守りたいものがあるのでしょう?」


 セレナの幻影が、燈也を見据えて(ささや)く。


「……」


 答えられない。

 胸の奥で、何かが重く沈んでいる。


「おい? ギブアップか?」


 ドッペルゲンガーが愉快そうに首を傾げる。


「んなわけあるかよ! こっからが本当の勝負だ!」


 燈也は叫び、再び踏み込む。


「ハハハッ!そう来なくちゃな」


 ドッペルゲンガーもまた笑い、魔力を高める。


補助強化魔法(パワー・ブースト)


魔断(マギ・ブレイク)!!!≫


補助魔法(パワー・ブースト)

魔断(マギ・ブレイク)!!!≫


 拳と刃、魔力と魔力が何度もぶつかり合う。

 衝撃が空間を震わせ、床にひびが走る。


「なんでギブアップしない?」


 鍔迫(つばぜ)り合いの中で、ドッペルゲンガーが問いかける。


所詮(しょせん)は試験、本気でやる必要がどこにある?」


「黙れ……」


 燈也の声は低く、震えていた。


「魔法なんて、あれ程嫌ってたじゃねえか?」


 その一言が、胸を(えぐ)る。


「黙れって言ってんだよ!!」


 燈也は叫び、抑え込んでいたものを解き放つ。


≪魔力最大解放!!≫


 奔流(ほんりゅう)のような魔力が溢れ出し、空気が悲鳴を上げる。


「ほう……面白れぇ。なら俺も……」


≪魔力最大解放!!≫


 二人分の魔力がぶつかり、嵐のように渦を巻く。


「お前の覚悟を俺に見せてみろ!!!」


 ドッペルゲンガーが狂気じみた笑みを浮かべる。


「俺は――お前を超えていく!!」


 燈也は真正面から(にら)み返し、力強く言い放った。

 それは宣言であり、過去への決別でもあった。



「不安定、だけどこの魔力は実に素晴らしい……。」


 離れた場所で、セレナが楽しげに目を細める。

 指先で(あご)に触れながら、燈也を値踏(ねぶ)みするように眺めていた。


「しかも潜在能力はまだこんなものじゃない…。」


 凄まじい魔力。荒削りで制御も甘いが、量と質は規格外。



「ただ惜しむらくは…剣の腕前かな。」

 小さく笑い、そう評する。




 次の瞬間。


 燈也とドッペルゲンガーは同時に踏み込み、

 魔力を刃の形へと収束させた。


 腕に纏う、白い魔法の刃。



魔法斬(マギ・ブレイク)!!≫


魔法斬(マギ・ブレイク)!!≫


 二つの刃が真正面からぶつかり合い、火花のような魔力が飛び散る。


 激しい衝撃が起こる。それでも、どちらも引かない。



 力も魔力も――完全に拮抗(きっこう)している




「どうした。まだ迷ってんのか?」

 ドッペルゲンガーが、余裕の笑みを浮かべて囁く。



「うるせ!!」

 歯を食いしばり、燈也は叫ぶ。



「おまえがそうやって(から)に閉じこる為に――先輩はお前を助けたのかッ?」

 ドッペルゲンガーは言葉を重ねる。



 何かが、燈也の中で切れた。


「黙れって言ってんだよ!!」


 怒号と共に魔力が荒れ狂う。


「てめぇが、()()()()()()()()()()()!!!!」

 抑え込んでいた感情が、一気に噴き出す。

 悔しさ、怒り、後悔、そして守れなかった記憶。


 すべてが魔力となって、燈也の全身を包み込んだ。



次回 『第82想 第五の試練決着――己の力で、影を斬り裂く』


「己の力、影を超えろ――!」


ドッペルゲンガーとの激闘を経て、燈也は真の力を解放。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ