第75想 第四の試練突破! 不知火チーム、光を掴む瞬間
「ガハハハハッ!!」
腹の底から笑い声を上げ、六堂は燈也を真っ直ぐに見据える。
「ここまで熱い戦いをしたのは、初めてだ!!」
「またやろうぜぇ!!――Sランク!!!!」
そう吠えると、懐から別の小さなアイテムを取り出す。
淡い光が瞬き――次の瞬間。
――シュン。
六堂の姿は、音もなく消え去った。
「……一瞬で消えやがった」
郷夜が目を丸くする。
「おそらく転移用のレアアイテムです」
癒水が冷静に分析する。
「侵入も、あれを使ったのでしょう」
「それにしてもよ……」
郷夜は燈也の方を見て、にやりと笑う。
「流石は不知火だぜ!あんなバケモンみたいな奴を、ぶっ飛ばしちまうなんてよ!」
「くっ……」
その声に応えようとした瞬間、燈也の身体がふらりと揺れた。
「燈也!」
「義兄さん!」
流水と癒水が同時に駆け寄り、咄嗟に身体を支える。
「大丈夫ですか!?」
癒水が心配そうに覗き込む。
「ああ……ちょっとフラついただけだ」
流水に肩を借りながら、燈也は息を整える。
「それより……怜花の方は?」
その言葉に、視線が後ろへ向く。
「私は大丈夫です」
怜花が、少し照れたように微笑んだ。
「癒水さんが、すぐ治してくれましたから」
無事なその姿を確認し、燈也の肩から力が抜ける。
「……そうか」
「良かった」
心からの安堵が、声に滲んだ。
「さあ」
リエラが前を指差す。
「ゴールは、もうすぐそこよ。行きましょう」
迷宮の奥、微かに光る出口が見えている。
「ああ」
燈也は仲間たちを見渡し、静かに頷いた。
迷宮の出口を越えた瞬間、張り詰めていた空気が一気にほどけた。
冷たい石壁に閉ざされていた視界が開け、眩しい光が流れ込んでくる。
――無事、生還。
『不知火チーム、只今ゴールしました!!!』
実況である吉良の張りのある声が、洞窟内に響き渡る。
『途中、謎のトラブルというアクシデントがありましたが!、それでも見事に迷宮を突破!現在の暫定タイムは――4位!』
『生徒会、魔法執行部、風紀委員チームに次ぐ高順位です』
解説の愛紗の言葉が続く。
「……ふぅ」
燈也は小さく息を吐いた。
肩や腕にはまだ戦闘の痕が残っているが、確かな達成感が胸に広がっていた。
「――実に見事じゃ」
柔らかな声と共に、前方から試験の担当教師神奈が歩み寄ってくる。
その表情には安堵が浮かんでいた。
「突然、姿が見えなくなった時は心配したが……」
「無事で何よりじゃ」
「次の試練に行っていいんだな?」
燈也が、まっすぐ神奈を見て尋ねる。
その瞳には迷いはない。
「うむ」
神奈は静かに頷いた。
「胸を張って、次へ進むと良い」
そう言ってから、一歩近づく。
「――その前に、じゃ」
神奈が両手を胸の前で組み、厳かに詠唱を始める。
『穢れを祓い、傷を癒し』
『命の灯を、再び満たせ』
淡い霊光が神奈の周囲に広がり、狐火のように揺らめいた。
≪治癒霊符 天狐回生≫
無数の霊符が空中に現れ、燈也たち一人一人に舞い降りる。
温かな光が身体を包み込み、痛みや疲労が溶けるように消えていく。
「……すげぇ」
郷夜が自分の腕を見下ろし、驚いた声を漏らす。
「さっきまでの痛みが、嘘みてぇだ」
「体が軽い……」
流水も、目を瞬かせる。
燈也もまた、拳を握りしめた。
削られていた魔力が満ち、芯の通った力が戻ってきている。
「最後の試練も」
神奈は優しく微笑んだ。
「おぬし達なら、きっとクリアできるじゃろう」
そして、静かに、しかし確かな声で告げる。
「――進め、夢の先へ」
その言葉を背に受け、燈也は仲間たちと視線を交わす。
誰一人として、立ち止まる者はいない。
最後の試練へと力強く歩き出した。
次回 『第76想 最後の関門――魔法協会戦技教官立花セレナ』
十月花の刺客、六堂仁を倒し迷宮を突破した燈也達。
だが――まだ終わりではない。
次に待ち受けるのはチーム戦最後の関門である第五の試練。
担当は臨時教師にして、魔法協会戦技教官。
数多の戦場を知り、
数多の才能を叩き潰してきた実力者。
立花セレナ。
「――本当の敵は自分という言葉があるでしょう?。己の弱さと向き合い、見事自分を超えてみなさい」
燈也達は見事試練をクリアすることは出来るのか?




