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Himeyuri ―魔法嫌いの元学園最強と、幼馴染の約束から始まる魔法学園譚ー  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 魔法試験編

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第73想 迷宮の激闘、頂上決戦――魔力、極限突破!


「どうしたァ?」


 六堂が歯を剥き出しにして笑う。


「もう来ないならよォ……」


 一歩、また一歩。

 重い足音と共に、圧倒的な威圧感が迫ってくる。


「こっちから行くぜ?」


「――っ!」


 燈也は即座に両手を構え、魔力を展開する。


魔法障壁(プロテクション)


 半透明のバリアが燈也の前に展開された。

 だが――


「無駄無駄無駄無駄ァァァァ!!」


 六堂の両拳が、嵐のように叩き込まれる。

 衝撃が連続して走り、障壁が悲鳴を上げる。


 ――バキィン!!


「くそっ……!バリアが……!」


 砕け散る魔法障壁。

 その向こうで、六堂の笑みが歪む。


「これで終わりだァ!」


 巨体が一気に踏み込み、掴みかかろうと腕を伸ばす。


『逃げ場はねぇぞ――暴れろ、俺の腕!!』

剛力旋風(マッスル・タイフーン)!!≫


 六堂の腕が唸りを上げ、渦を巻くような暴力が燈也を飲み込もうとする。


 ――その瞬間。


「させないわ!」


 澄んだ、しかし力強い声。


『揺るぎなき誓いよ、雷光となって降り注げ。

 我が前に聖域を築き、悪しきものを退けよ』


幻雷の(ファントム・)聖盾(ヴェール)


 雷光を帯びた魔法障壁が、燈也の前に割り込む。

 六堂の腕が叩きつけられ、激しい火花が散った。


「チッ……!」


 六堂は一歩退き、舌打ちする。


「このメスが邪魔しやがって……」


 そして、視線をリエラへと向ける。


「……ん?」


 その瞬間。


『光よ、束ね――逃げ場なき輪となれ』


縛光結界(フォトン・シール)


 光の輪が幾重(いくえ)にも重なり、六堂の身体を縛り上げる。


「ちっ……!」


 筋肉が(きし)み、動きが止まる。


「リエラさん、大丈夫ですか!?」


 怜花が叫ぶ。


「ええ……!」


 リエラは息を整えながら答えた。


「やるじゃねぇか……メス……」


 六堂は拘束されたまま、愉快そうに笑う。


「ん?」


 だが次の瞬間――

 視界いっぱいに、無数の泡が広がった。


『泡となり、霞となり――

 争いの目を曇らせよ』


幻泡霧(バブル・ミスト)!≫


 癒水の魔法が発動し、濃密な泡の霧が六堂の視界を完全に奪う。


「さぁ、今のうちに!」


 その声を合図に、仲間たちは一斉に距離を取る。



「目くらましか……小賢しい手を使いやがって……」


 泡霧の中から六堂の低い唸り声が響く。

 だが拘束と視界不良に足を取られている今が、唯一の好機だった。


 六堂が動けないその隙に、不知火達は一斉に後退する。


「どうする……アイツ、強敵よ」


 流水が息を整えながら問いかける。

 先ほどの一撃を思い出したのか、その表情は険しい。


「ああ……正面から相手するのはキツいな」


 燈也も苦い表情で頷く。

 拳も魔法も通じている感触はある。

 だが――決定打には程遠い。


「でもよ、遠距離魔法も効かねぇんだぜ?」


 郷夜が歯噛みしながら言う。

 実際、風も水も光もあの筋肉に弾かれてきた。


「いや……」


 燈也は視線を六堂に向けたまま、静かに言葉を続ける。


「……全く効かないってわけじゃない」


「え?」


「遠距離で陽動をしつつ、隙を作る。

 それで――もう一度、接近攻撃を当てれば……」


 燈也の声に、確信が滲む。


「……なるほどね。また“連携”プレーってわけね」


 流水が口元を吊り上げる。


「いいぜ!」


 郷夜がニヤリと笑った。


「オレ様達の結束、見せてやろうじゃねぇか」


 ――その瞬間。


剛力旋風(マッスル・タイフーン)!!≫


 轟音(ごうおん)と共に、泡霧が一気に吹き飛ばされる。

 拘束の光も、力任せに引き千切られた。


「さてと…」


 霧の向こうから、六堂が姿を現す。

 腕を鳴らしながら、不敵に笑う。


「面倒な泡も消えた。

 そろそろ――終わりにさせてもらうぜ」


 その瞬間、殺気が跳ね上がる。


「来たわよ!」


 流水が叫ぶ。


「ああ、皆――行くぞ!!」


 燈也の号令が響く。


「ぬぅん!!!」


筋肉装填(マッスル・チャージ)


 六堂の筋肉が再び魔力に覆われ、金剛(こんごう)のように膨れ上がる。

 地面を砕きながら、一直線に突っ込んでくる。


『照らせ!』


≪初級光魔法 ルクス≫


 怜花が放った光の矢が、六堂の視界を狙う。


『押し流せ!水流の円舞!』


≪中級水魔法 メガアクア≫


 癒水の水流が、動きを阻むように絡みつく。


「ガハハハハ!!」


 六堂は笑い声を上げた。


「効かん!効かんわ!!」


 光も水も、筋肉のバリアに弾かれながらも――

 確実に、動きは鈍っている。


 その刹那。


『祈りは光、誓いは刃。

 私の願いよ、その姿を槍として結べ。

 穿て――』


神魔の(ディヴァイン・)幻槍(ミラージュ・スピア)


 リエラが魔法を放ち交差した光の槍が、六堂を貫かんと迫る。


「……ぬう」


 六堂の表情が、わずかに変わった。


「この技……いや……」


 何かに気付いたように、足が止まる。


「……気のせいか……?」


 ほんの一瞬。

 それを、流水は見逃さなかった。


「今よ!!!」


 鋭い号令。


『春を告げる青き風よ、

 その旋律で道を切り拓け。踊れ』


青き春風のワルツ(ブルー・ウィンド)


 郷夜の風魔法が、螺旋(らせん)を描いて六堂へと叩きつけられる。

 ただ切り裂くための風ではない。

 足場を崩し、体勢を奪う――連携前提の一撃。


「チッ……!」


 その刹那(せつな)


『沈め。砕け。深海の連撃――』


≪オーシャンアーツ弐の技

 黒鯱(くろしゃち)


 流水が一気に距離を詰める。

 水を纏った連撃が、六堂の側面へと畳みかけられた。


「ええい!邪魔くさいヤツだ!」


 六堂が吼える。


魔法(魔法なんて)否定拳(使ってんじゃねェ)!!!≫


 流水の身体を掴み、そのまま――

 郷夜の方角へ、力任せに投げ飛ばす。


「うわっ!」「きゃっ!」


 二人は地面を転がり、激しく倒れ込む。


「風間さん、流水さん!!」


 怜花が即座に詠唱に入る。


『光よ、束ね

 逃げ場なき輪となれ』


縛光結界(フォトン・シール)!≫


 光の輪が六堂を包もうと――する。


 だが。


「二度はやらせん!!!」


 拘束を紙一重でかわし、踏み込む六堂。


筋肉正拳(マッスル・パンチ)!!≫


 放たれた拳そのものは、怜花に触れていない。

 だが――


「きゃあああ!!」


 拳圧だけで、怜花の身体が吹き飛ばされた。


「怜花っ……!!」


 燈也の叫びが、迷宮に響く。


「お前……」


 低く、震える声。


「よくも――怜花を、俺の仲間を……」


 燈也の身体から、魔力が溢れ出す。

 抑え込まれていた何かが、決壊したかのように。


「……絶対に、許さねぇ!!!!」


「こ、これって……」


 倒れたまま、流水が呟く。


「ああ……」


 郷夜も息を呑む。


「不知火の魔力が……一気に、上がってる……」


 空気が、冷える。

 いや――凍りつく。


「なんだ……?」


 六堂も異変を感じ、表情を変えた。


「この寒気のする魔力……

 それに、この殺気は……」


『術式展開――魔力、最大解放ッッ!!!』

 燈也の魔力が、完全に解き放たれる。


「……さっきまでとは段違いだな」


 六堂が、心底楽しそうに口角を上げる。


「そうか……

 これが――本当のSランクの力ってわけか」


 そして、腹の底から笑った。


「ガハハハハッ!!

 おもしれェ……そう来なくちゃなァ!!!!!」


 強大な魔力を前にしてなお、

 六堂仁も一歩も引かなかった。


次回 『第74想 Sランク覚醒――すべてを絶つ力』


仲間を傷つけられ、理性を越えて解放される本来の魔力。

それに応えるように、十月花の一人。六堂仁もまた、筋肉に秘めた全魔力を解き放つ。




魔法を弾く鋼の肉体 対 すべてを断ち切るSランクの一撃。


力と力が正面から激突する、真っ向勝負!


最後に立つのは果たしてどちらだ?


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