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Himeyuri ―魔法嫌いの元学園最強と、幼馴染の約束から始まる魔法学園譚ー  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 魔法試験編

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第60想 魔法試験開幕!挑戦者たちの絆と試練

 

 魔法試験会場

 広大な試験会場には、すでに多くの生徒たちが集まっていた。

 緊張と期待が入り混じったざわめきが、空気を(ふる)わせている。


「いよいよ……試験当日、か」


 燈也(ともや)が周囲を見渡しながら、静かに(つぶや)いた。


「見て。向こうに風紀委員と、生徒会の人たちもいるわ!」


 リエラが指さす先には、凛とした空気を(まと)う風紀委員たちと、威厳ある生徒会メンバーの姿があった。


「それだけじゃねえぞ」


 郷夜(ごうや)が目を細め、さらに奥を指さす。


「あれを見ろ。理事長まで来てやがる」


「……マジか」


 燈也が思わず声を低くする。


「いつ見ても美しいぜ……」


 郷夜は完全に試験のことを忘れたように、うっとりと見惚(みほ)れていた。


「鼻の下、伸びすぎよ」


 流水(るみ)(あき)れたように腕を組む。


「ふふっ…相変わらずね、あなた達」


 不意にかけられた声に、燈也たちは振り返る。


 そこに立っていたのは、魔法執行部部長――帝亜(てぃあ)だった。

 余裕のある微笑みと(たたず)まいは、この場においても一際(ひときわ)目を引く。


「魔法執行部か……それに」


 燈也が視線をずらした、その先。


「やっほー、ともくん、れいちゃん!」


 明るい声とともに手を振る少女――(ひいらぎ)ななみの姿があった。


「うおおお!!」


 郷夜が叫ぶ。


「学園のアイドルだ!!いつ見てもすげぇな!」


「……落ち着け」


 燈也がため息混じりに言う。


「そっか。お前も執行部だったな」


「うん。今日はライバル、だね」


 ななみはそう言って、柔らかく微笑んだ。


「お互い、頑張ろうね」


「ああ」


 短く返す燈也の言葉には、自然と力がこもる。


「ふふ……それじゃあ、また後で」


 帝亜が(きびす)を返しながら振り返る。


「お互い、ベストを尽くしましょう」


 そう言い残し、魔法執行部の面々は人波の中へと消えていった。


 試験開始の時刻が迫る。


「――コホン」


 乾いた咳払(せきばら)いが、ざわついていた会場の空気を切り裂いた。


「諸君。どうやら全員集まっているようだな」


 魔法教師――ドライツェンが一歩前に出て、鋭い視線で生徒たちを見渡す。


「これより、理事長より挨拶がある。心して聞くように」


 その言葉を合図に、会場の視線が一斉に中央へと集まった。


「皆さん」


 静かでありながら、不思議とよく通る声。


「理事長のレイリアスです。今日は、皆さんが日頃積み重ねてきた成果を、存分に見せてください」


 壇上(だんじょう)に立つレイリアスは、竜人(ドラゴネイド)と呼ばれる希少な種族。

 青銀(せいぎん)色の長髪が風に揺れ、その姿はどこか神話の存在を思わせるほど神々しかった。

 圧倒的な存在感に、思わず息を呑む生徒も少なくない。


「では……次に、神奈主任から試験内容の説明がある。」


 ドライツェンの言葉に応じ、一人の女性が前へと進み出る。


 金色(こんじき)の四本の尻尾を持つ天狐(てんこ)――神奈(かんな)

 その尾は柔らかく揺れ、レイリアスに劣らぬ美しさを放っていた。


「今回の魔法試験は、前半のチーム戦と、後半の個人戦に分かれておる」


 ざわ、と小さな緊張が走る。


「評価は両方を踏まえて決定される。故に――最後まで諦めず、全力を尽くすのじゃ」


 神奈は軽く頷くと、手元の魔導装置を操作した。


「さて、まずはチーム戦じゃが……おぬしらには、この先にあるダンジョンに挑戦してもらう」


 会場後方の巨大なゲートが、重低音を立てて開く。


「このダンジョンの最奥にあるゴールの門を潜るまでが、試験内容となる」


「へへ、余裕だぜ」


 郷夜が気楽に笑う。


 だが――


「無論…」


 神奈は口元に、楽しそうな笑みを浮かべた。


「ダンジョン内には、各教師陣が作った試練が待ち受けておる。十分に注意することじゃな」


 その一言に、空気が一変する。


「ま……マジかよ……」


 さっきまでの余裕はどこへやら。

 郷夜の顔は、見る見るうちに青ざめていった。


「それでは――」


 神奈が一歩前に出る。


「これより、魔法試験を開始する。準備が整ったチームから、順に進むがよい」


 合図と同時に、生徒たちがそれぞれのチームで動き出す。

 緊張、不安、闘志――様々な感情が交錯(こうさく)する中、ダンジョンへと吸い込まれていった。


 その時だった。


『――えー、皆さん。聞こえていますか?』


 どこからともなく響く声。

 魔法を介し、会場全体に直接届いてくる。


『これから、魔法執行部部員・如月愛紗(きさらぎあいしゃ)と……』


『放送部の十文字吉良(じゅうもんじきら)が、実況兼解説を担当させていただきます』


「なるほど……十文字吉良か」


 郷夜が反応する。


「アイツを知ってるのか?」


 燈也が(いぶか)しげに尋ねる。


「まぁな。一言で言えば……ダチだ」


 どこか誇らしげに笑う郷夜。


(……こいつのことだ。どうせ、ろくでもない付き合いなんだろうな)


 燈也は内心でそう突っ込みつつ、再び前を見据(みす)える。


『皆さんの様子は、魔導装置によって常時観測されています』


『万が一、危険を感じた場合は、いつでもリタイア可能です。恐れず、全力で挑んでください。皆さんの健闘を祈ります』


(なるほど……安全対策と、不正防止も兼ねてるってわけか)


 燈也は静かに息を整え、迫り来るダンジョンを見据えた。



「それじゃあ……行くぞ」


 燈也の一言に、チームの空気が引き締まる。


「皆さんの足を引っ張らないよう、精一杯頑張ります」


 怜花(れいか)は胸の前で小さく拳を握り、緊張を隠しきれない様子で頷いた。


「大丈夫さ。怜花ちゃんが危なくなったら、オレ様が全力で守るからね!」


 郷夜は親指を立て、いかにも決めポーズといった仕草を取る。


「……あんたが一番心配なのよ」


 即座に流水が冷静なツッコミを入れる。


「ふふ。喧嘩しないで、仲良く行きましょう?」


 癒水(ゆみ)が柔らかな笑みで場を和ませた。





次回 『第61想 魔法試験――洞窟の先に待つ影』


「魔法試験――森を抜け、洞窟の最奥を目指せ!」


燈也たちのチームは、試練に立ち向かい、仲間を守りながら前へ進む――


「最初の挑戦者は……君たちかな~?」

洞窟の奥から意味深な笑みが放たれ、空気は張り詰める。


果たして燈也たちは、チームの絆を信じ、無事に試験を突破できるのか――!?

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