↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Himeyuri ―魔法を嫌う元学園最強の主人公ー  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 魔法試験編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
59/240

第58想 チーム結成――それぞれの思惑(後編)

 

 一方――

 魔法執行部の部室では、いつもより少し張り詰めた空気が(ただよ)っていた。


 机を囲むようにして集まったメンバーたちの前で、部長――高天原帝亜が淡々と告げる。


「魔法試験のチームに関してだけど……私、工藤(くどう)雄介(ゆうすけ)

 そして――復帰した、ななみね」


 その名前が出た瞬間、部室の空気が一段明るくなる。


「またよろしくね!」


 ななみが柔らかな笑顔で手を振ると――


「うおおおお!!」


 突如として雄介が立ち上がった。


「ななみさんの為に俺、頑張ります!!!

 あなたの為なら、たとえ火の中、水の中!

 この身が滅びようとも、全力でお守りしますよ!!」


 全身全霊、魂の叫びだった。


「いや……」


 ななみは少し困ったように首を傾げる。


「滅んだら……守れないんじゃ……?」


「――っ!」


 雄介は一瞬言葉に詰まり、ガックリと肩を落とす。


「あっ……ははは。えっと……あんまり無理しなくてもいいからね?」


「ななみさん……なんとお優しいお言葉……」


 雄介の目に、みるみる涙が溜まっていく。


「俺、感動しました……うおおおおおおお!!」


「泣くほどのことではないだろ……」


 英明(ひであき)が冷静に突っ込みを入れるが、雄介の耳には届いていない。


「…ところで、もう一人はどうする?」


「心配ないわ」


 帝亜は静かに視線をドアへ向ける。


「……もうそろそろ来る頃だと思うけど……」


 その直後、部室の扉が勢いよく開いた。


「――“鏡 膤斗(かがみ ゆきと)”、ただいま戻りました!」


 快活な声とともに現れた青年を見て、工藤が目を細める。

 膤斗は青龍魔術学園二年、魔法執行部部長補佐にして工藤に次ぐ実力者だ。

 長身の(さわ)やかなイケメンで、クリーム色のくせ毛をしている。

 魔法ランクはA、氷魔法を得意としている。


「なるほど……お前か。」


  膤斗はにやりと笑い、工藤の肩を軽く叩く。

「久しぶり。少し見ないうちに、また強くなったんじゃねえか?」


「フッ……お前もな」


 短い言葉の中に、互いを認め合う空気が漂う。


「……誰、この人?」


 ななみが小さく首を傾げる。


「そういえば、ななみはまだ面識がなかったわね」


 帝亜が説明を引き取る。


「彼は朱雀魔導学院(すざくまどうがくいん)との交流学習の一環(いっかん)として、

 しばらく向こうに行ってたのよ。」


「まぁ……そういうことです」

 膤斗はななみに向き直り、軽く頭を下げる。


「可愛いお嬢さん。改めてよろしくな」


「はい。こちらこそ」


 丁寧に返すななみの横で――


「……むむっ!相変わらずだな」

 雄介が露骨(ろこつ)に警戒の視線を送る。


「そういえば……

 部長のこと、気にしてましたよ?……良かったんですか?」

  膤斗がふと思い出したように言った。


「……ええ。()()()は、もう青龍学園の生徒だからね」

 帝亜は迷いなく答えた。


「……部長がそう言うなら、俺は構わないんですが……」

  膤斗は少し間を置き、部長を見る。


「……ねえ、鏡クン?」


「なんです?」


「おかえりなさい。――また、頼りにしてるわよ」

 帝亜が柔らかく微笑む。


 その言葉に、膤斗は一瞬驚いたような表情を浮かべたが、すぐに真剣な表情に戻る。


「はい!全力で頑張ります」


 力強く、はっきりと。


 こうして魔法執行部もまたそれぞれの想いと過去を胸に、静かに動き出す。



次回予告 『第59話 謎の組織――十月花』


魔法試験に向け、生徒たちはそれぞれの想いを胸にチームを結成していく。

実力、信頼、そして覚悟――すべてが試される舞台の裏で、学園の影に蠢く気配があった。


誰にも知られぬまま暗躍する、謎の組織。

彼らの目的は魔法試験か、それとも――。


迫り来る不穏な影に、燈也たちはまだ気づいていない。

試験は、ただの実力測定では終わらない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。