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Himeyuri ―魔法嫌いの元学園最強と、幼馴染の約束から始まる魔法学園譚ー  作者: 小鳥遊 千夜
第一章 幽霊少女編

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第15想  応援の前奏曲

前回までのあらすじ


ななの正体と失われた記憶を探るため、燈也はななが「かつて住んでいた」と語る場所へ向かう。

そこに行けば、何か手がかりが見つかるはず――そう信じて。


しかし、辿り着いた先に家は存在しなかった。

あるのは更地と、まるで最初から何もなかったかのような静けさだけ。


ななの存在そのものに、燈也は言い知れぬ違和感を覚える。


――謎は、さらに深まっていく。


 


海鳴り公園に戻った頃には、太陽はすでに(かたむ)き始めていた。

 夕焼けが木々の隙間から差し込み、長い影を地面へ落としている。


 ベンチに腰掛(こしか)けた不知火燈也(しらぬいともや)は、両手を組んだまま深く(うつむ)き、重たい吐息(といき)をこぼした。


「どうなってんだよ……」


 その声は、困惑と苛立ち、そしてどこか恐れの混ざった複雑なものだった。


 加ヶ瀬怜花(かがせれいか)も隣で同じベンチに座り、小さな手を(ひざ)の上で(にぎ)りしめる。


「燈也さん……やっぱり、ななちゃんは……」


 震える声。怜花の表情は不安そのものだ。


「信じられるかよ……」


 燈也は顔を上げ、夕焼け空を(にら)むようにして呟いた。

 家はない。近所の証言(しょうげん)は一致している。

 “次女は亡くなっている”——そんな話、普通は信じられるはずがない。


「ですが、誰も嘘を言っているようには……思えませんし……」


 怜花は視線を落とし、困り果てたように唇を噛んだ。

 重たい沈黙(ちんもく)が二人の間に落ちる。


 やがて燈也が静かに(たず)ねた。


「……お前はどうするんだ?」


 怜花は少しだけ考えるように目を閉じ、そして強い光を宿した目で顔を上げた。


「私は……ななちゃんのことを、応援してあげたいと思ってます」


 その真っすぐな言葉は、迷いのないものだった。


「ホウキの練習はいいのか?」


 燈也の問いは、怜花への気づかいでもあり、踏み絵でもある。


 だが怜花ははっきりと答えた。


「私のことよりも……今はななちゃんの方が大事ですから」


 淡い光が夕日に照らされ、怜花の決意が輪郭(りんかく)として浮かび上がる。


「相変わらずお人好しだな」


 燈也は(あき)れたように頭をかく。


「よく考えてみろよ? 会ったばかりで、名前しか知らないようなヤツなんだぞ?」


「それは……分かってます……」


 怜花は(うつむ)き、でも決して表情を崩さない。

 不安なはずなのに、それでも(ゆず)れない何かが彼女の中にある。


「それでもやっぱり……放ってなんかおけないです。

 例え、ななちゃんが何者であっても……」


 怜花はまっすぐ燈也を見つめた。その瞳は揺らいでいない。


「幽霊でもか……?」


 問われた怜花は、わずかに息を吸ってから——迷いなく(うなず)いた。


「はい。

 困っている時は助け合う……それは幽霊であっても、同じだと思いますから」


 その言葉に、燈也は息を飲んだ。


「……そうか」


 完全に納得はできない。

 だが、怜花の覚悟だけは本物だと理解できた。


「……あの、燈也さんは?」


 怜花が不安そうに尋ねる。燈也はすぐ答えられなかった。


 沈黙ののち、夕日に染まった空を見上げながら、ようやく口を開いた。


「……俺はまだ、アイツを信じてはいない……」


 正直な気持ちだった。

 会ったばかりで、何も分からない。

 けれど——放っておくのはもっと嫌だった。


「……ただ、このまま分からないままってのもモヤモヤするからな。

 もう少し……お前に付き合ってやるよ」


 それは、ななに向けての言葉ではない。


 怜花の“信じたい”という気持ちに寄り添うための、燈也の答えだった。


「燈也さん!」


 怜花の顔にぱっと花が咲くような笑顔が戻る。


「そうですね……ななちゃんのために、一緒に頑張りましょう!」


 そのまっすぐな笑顔に、燈也は耐えきれず、慌てて目をそらす。


「いや……俺は別にアイツのためじゃっ……て、聞けよ!?」


 情けないほど狼狽(ろうばい)する燈也を見て、怜花はくすりと優しく笑った。


 夕焼けの空。ベンチの影。

 ふたりの“決意”だけが静かにそこにあった。




 夕焼けがすっかり夜へ溶け込み、街灯(がいとう)がひとつずつ光り始めた頃。

 燈也は重たい足取りで家の玄関を開けた。


「はぁ……ただいま〜」


 一気に疲労がこぼれ出るような声だった。

 家に帰ってきてようやく力が抜けた——その瞬間。


「お帰り! アンタの帰りが遅いから心配しちまったよー!」


「うわっ!? ちょ、清水さん!? 離してくださいよっ!」


 勢いよく飛びついてきたのは義母の清水。

 柔らかな体当たりに押されて、燈也は壁に背中をぶつけそうになる。


「ぷはっ……ちょっと、本当にっ……!」


 慌てて手で距離を取るが、清水は豪快に笑い続ける。


「あははは! 照れちゃってかわいいね〜」


 その様子を見て、奥からひょこっと顔をのぞかせたのは義父の水月。


「おやおや? 仲が良くて妬けてしまうなぁ」


 清水は振り向き、満面の笑みで言った。


「何言ってんだい。一番はアンタさ」


「清水……」


 優しげな空気が流れ——次の瞬間。


「うおおおおお! 俺も愛してるぞぉ! 清水ぃ! 燈也ぁぁぁ!!」


 ドドンッ!!

 まるで熊のような勢いで二人を抱き締めてくる水月。


「ぎゃああ! 水月さんまで!? 苦しいって……!!」


 胸板が硬い。息ができない。

 玄関で繰り広げられるカオスに、やれやれと声が落ちた。


「もう……玄関で何やってんのよ。夕ご飯冷めるわよ」


 呆れたトーンで立っていたのは流水。

 その後ろでは癒水がにこにこしながら手を合わせる。


「あらあら、仲良しで良いですね!」


「馬鹿なだけでしょ……」


 流水は肩をすくめ、ため息をつく。

 しかしその表情には、どこか家族としての微笑ましさも混ざっていた。


「ヤレヤレ、今日も疲れたぜ……」


 ようやく解放され、燈也は階段を上がって自室へ。


 ドアを閉めてベッドに腰を下ろし、深く息を吐いた。

 あの騒がしい玄関から一気に静まり返る空間へ戻ったことで、

 疲労がどっと押し寄せる。


「さて……ゲームでもするか」


 手を伸ばそうとしたその時——


「……ん? 何か聞こえる……」


 ふと、耳に小さな音が触れる。

 最初は風の音かと思ったが、違う。

 かすかに、柔らかい“()()”が流れている。


「これは……歌?」


 壁の向こうからではない。

 耳元でもなく、外からでもない……

 まるで“頭の奥のどこか”から響くような、不思議な感覚。


 明るく軽やかなメロディ。

 昔、一緒に聞いたことがある。

 あの頃流行っていたポップソング。


「(あいつらしい……明るい歌だな)」


「(……けど、なんでだろう。どこか……悲しい感じがするのは……)」


 どこか懐かしくて、胸の奥がきゅっと痛むようなメロディ。

 燈也はベッドの上で固まったまま、その歌に耳を澄ませていた。




 燈也はベランダの戸を開けると、月灯りに照らされたななの背中が目に入った。

 桃色の髪が夜風に揺れて、どこか(はかな)げだ。


「…前にも歌ってたよな。好きなのか?」


 声をかけると、ななは背を向けたまま、少しだけ肩を震わせた。


「不知火燈也か…なのだ」


 振り返らないその声は、普段の元気さではなく、どこか胸を刺すほど弱く、苦しげだった。


「好きだったかな…」


 その言い方に、燈也は眉をひそめる。


「……だった?」


 なながゆっくりと振り返った。いつもの勝ち気で強がりな瞳ではなく、深い後悔と寂しさをたたえた、どこか子どものような瞳。


「この歌は……お姉ちゃんと一緒に聞いてた思い出の曲だったのだ……」


 かすかな笑みは浮かべているけど、すぐに消えてしまう。彼女の桃色の髪が、夜風に切なく揺れた。


「でもこの曲がきっかけで喧嘩しちゃったから……こんなことになるなら、お姉ちゃんの言うことを聞いておけば良かったのだ……」



 手すりをぎゅっと握りしめる指が震えている。後悔を噛みしめるように俯く姿に、燈也は胸が痛くなる。


(コイツの姉、それが鍵になるかもしれない……)


「……だったら仲直りすればいいんじゃねえか?」


 ななは目を丸くし、すぐに伏せてしまう。


「でも……お姉ちゃんが許してくれるか……」


 明らかに自信がない。普段あれだけ強気なのに、家族のことになるとこんなにも弱くなるのか、と燈也は意外に思った。


「お前が後悔してるように、相手も同じ気持ちだと思うぜ。それとも……喧嘩別れしたままでいいのか?」


 あえて優しさを隠した、いつもの言い方で言う。すると──、


「それは嫌なのだ!」


 ななは即答した。涙こそ浮かべてないが、声には焦りと必死さが(にじ)んでいた。


「それじゃあ方法考えようぜ?」


 ななは少しだけ迷った後、小さく頷いた。


「……分かったのだ」


「その意気だ」


 返事はしたものの、すぐに不安げに視線を落とす。


「……でも上手く話せるか自信ないのだ……」


 肩が小さくすくむ。その姿が妙に子どもっぽくて、燈也は苦笑した。


「お前素直じゃないもんな」


「お前に言われたくないのだ」


 むくれた声。ほんの少しだけ、いつものななが戻ったようで燈也は安堵した。


「ははは、やっぱりお前はそのぐらい元気が無いとな」


 そう言ってから、ふと思い立ったように閃く。


「それで方法なんだけどよ…歌なんてどうだ?話下手なお前でも、気持ち上手く伝えられるんじゃないか?」


 すると、ななの耳がぴょこんと立つ。


「おおーそれは名案なのだ!折角ならバンドやってみたいのだ!」


 さっきまで沈んでいたのが嘘のように目が輝き出す。その変わり身に、燈也は思わず笑った。


(ほんと音楽が好きなんだな、こいつ……)


「良いじゃねぇか!そうと決まれば明日からメンバー集めていこうぜ」


「おーっ!頑張るのだ!」


 満面の笑みを浮かべて拳を突き上げるなな。その姿は、先ほどの切なさとは対照的で、どこか(まぶ)しいほどだった。


***


 朝の光が差し込む校舎の廊下。

 生徒たちの話し声と足音が混ざるその中で、ななは妙にそわそわと前を歩いていた。

 昨日の決意が、まだ胸の奥でぽかぽかしているようだ。


「どこから探すのだ?」


 振り返るななの瞳は期待にキラキラ輝き、燈也は苦笑しつつ肩をすくめた。


「そうだな……まずは知り合いからあたってみるか」


「怜花ちゃんはどう?」

 リエラが提案する。


「あ……そういえば前にピアノやってたって言ってたな……」


 思い返すと、昨日ななが落ち込んでいた時も真っ先に寄り添っていたのが怜花だった。

 頼るなら、まず彼女が一番だ。


「……というわけなんだが……」


 燈也が簡潔にまとめて話すと、怜花は驚くどころか目をきらりと輝かせた。


「はい!ななちゃんの力になれるのなら私も嬉しいです。

 全力でサポートさせて下さい!」


 ななはぱぁっと顔を輝かせた。


「ありがとうなのだ!」


 小さな体でポンと跳ねるように喜ぶ。

 怜花はそんなななを“可愛い妹を見るような眼差し”で見つめ、そっと手を取った。


「一緒に頑張りましょうね、ななちゃん」


 その優しさに、ななは嬉しくなって怜花の手をぎゅっと握り返す。



「キーボードはこれで大丈夫だな。

 ベースは俺がやるとして……あとはドラムとギター辺りが欲しいところだな。

 他のヤツらにも声を掛けてみよう」


 怜花も「はいっ」と元気よく頷いた。



 魔法執行部の部室の扉を開けた瞬間、部室内に響き渡った声。


「却下ァァァァ!!!!」


 高天原帝亜(たかまがはらてぃあ)が両腕で大きくバツ印を作りながら、目をひん()いていた。

 椅子ごと後ろに転がりそうな勢いだ。


「まだ何も言ってないだろうが……」


 燈也が呆れたように言うも、帝亜はまったく聞く耳を持たない。


「幽霊に取り憑かれているヤツに話すことはないわ!」


 その言葉に、ななは「むっ」と頬をふくらませる。


 工藤英明(くどうひであき)がため息をついた。


「スマン……ずっとこの調子でビビッているんだ」


 すかさず帝亜が机を叩いた。


「だ、だから!ビッ……ビビッてなんかいないわ!」


 ……声が震えている。


「それじゃあ協力してやれよ」


「いやよ!呪われたらどうするの?」


「こんな可愛い子が呪う筈ないと思うのですが……」


 怜花が首を傾げながらななを見ると、ななは少し考え──

 目を輝かせて、ひらっと腕を上げた。


「わー、おばけだぞー」


 ぷらんぷらんと手のひらを揺らす、明らかに“可愛いだけ”のポーズ。


「ぎゃーー!!呪われるっ!?」


 帝亜は悲鳴を上げて、椅子の後ろに全力で隠れた。

 情けないほど震えている。


 燈也は額を押さえる。


「……この様子じゃダメそうだな」


 怜花も苦笑し、肩をすくめる。


「……しょうがない…他を当たろう」


 帝亜が机にしがみついて震えているのを横目に、三人は静かに部室を後にした。


 昼下がりの中庭。

 風が植え込みを揺らし、遠くで部活動の声が響く。

 そんな中、四人はベンチ周りに集まり、どんよりとした空気をまとっていた。


「見つからないのだ…」


 なながしょんぼりと地面に落書きを描くように指でなぞる。


「はぁ…全然ダメだな……」


 燈也はベンチにもたれ、頭の後ろで手を組んだまま空を見上げた。

 太陽が容赦なく眩しいくせに、胸のモヤモヤは晴れない。


 怜花は小さくため息をつく。


「もっと生徒が集まる場所を回ってみましょうか…?」


「うーん…」


 そんな疲れ切った空気の中──


「おーい、誰かを忘れてるんじゃないか?」


 どこからともなく、軽薄(けいはく)な声が響いた。


「なんだ…ヘンタイか…」


 ななの辛辣(しんらつ)すぎる言葉が一刀両断。


 風間郷夜(かざまごうや)は、胸に手を当ててオーバーに傷つくフリをした。


「オイオイ、随分(ずいぶん)な言い方だな!」



「なな達は忙しいのだ。どっか行くのだ」


 手をしっしっと追い払う仕草。

 郷夜は笑顔のまま一歩距離を詰めてきた。


「いくらオレ様がイケメンだからって照れなくてもいいんだぜ?」


「ガブっ!!」


 ななが勢いよく噛みついた。


「ぎゃーー!クソ離れろ!!」


 郷夜は両腕をぶんぶん振り回してななを引きはがそうとする。

 その様子に燈也は溜息(ためいき)をついた。


「ハァ…やれやれ」


 怜花は困ったように笑う。


「ど、どうします?」


「…しょうがねーな。ほら、これでも食って落ち着けよ」


 燈也はポケットから煎餅(せんべい)を取り出す。

 ななは郷夜から離れ、目を輝かせて受け取った。


「わぁ…すごく美味しいのだ!」


 あっという間に機嫌が戻り、燈也はほっとしたように笑う。


「ハハハ…それは良かった」

(ただの残り物だけどな…)


「それで、風間。なんのつもりだ?」


 燈也が問うと、郷夜は自信満々に親指をぐっと立てた。


「オレ様も手伝ってやるよ!」


 四人は一瞬、「え?」という顔で固まる。


「お前が…?」


「何が狙いだ?」


 完全に疑いの目。

 郷夜は胸に手を当て、大袈裟に肩を落とした。


「ひどい言われようだな~。まあ身構える必要はねーよ」


 そして決めポーズ。


「オレ様はただ──困ってる女の子を放っておけないだけさ」


 怜花は思わず感動したように手を組んだ。


「風間さん…素敵です…!」


(いつか騙されなきゃいいが…)と燈也は心の中で思う。


「ななどうする?」


 燈也がななに選択を委ねる。

 ななは腕を組み、少しだけ考え──


「…分かったのだ。仲間に入れてやるのだ」


 そう言うと、郷夜は両拳を突き上げた。


「よっしゃー!!」


「音楽経験はあるのか?」燈也が問う。


「勿論、こう見えてドラムやったことあるからな!

 泥船に乗ったつもりで任せておけ!」


「それを言うなら大船だろ…」


 いつも通りの鋭いツッコミ。


 怜花は笑顔で言う。


「ともかく、これで一人決まりましたね」


 燈也も頷いた。


「そうだな…後はギター辺りが欲しいな…」


 その時、郷夜がニヤリと笑って指を立てた。


「それならオレ様に心当たりがあるぜ?」


「ヘンタイ仲間は嫌だぞ?」


 ななはまだ警戒モード。


「大丈夫だって!…って…ん?誰がヘンタイだ!コラ!」



 燈也は郷夜の心当たりの相手である――漣流水(さざなみるみ)と妹の癒水(ゆみ)を捕まえ、事情を説明した。


 流水は腕を組んで小さく息を吐く。


「…なるほど。事情は分かったわ。仕方ないわね」


 癒水はすぐに優しい顔で笑った。


「私もフルートでしたらお手伝い出来ますよ。」


「ありがとう。二人とも助かるぜ」


 怜花が首を傾げる。


「でも風間さんはなんで知ってたんでしょうか?」


 燈也は苦笑いで頭を掻く。


「分からん…こいつの情報網も侮れないな」


 流水が問いかける。


「さて、これでメンバーが揃ったな。

 本番はいつの予定なの?」


 燈也が腕を組んで考え込んでいると──


「ならさ、次の創立祭とかはどうだ?」


 郷夜が胸を張って提案する。


 怜花が目を丸くした。


「一か月もありませんが大丈夫でしょうか?」


「オレ様がいるんだ。心配はいらねーぜ」


 流水は即ツッコミ。


「アンタが一番心配なのよ」


 癒水が微笑んで続ける。


「一致団結すれば、きっと上手くいきますよ」


 ななは胸の前で手を握りしめた。


「皆、ありがとうなのだ」


 燈也は笑い、力強く宣言した。


「よーし!明日の放課後から練習開始だ!」


「おー!!」


 中庭に、六人の声が響き渡った。





次回 『第16想 虹のカケラ 』


 バンド練習へ向かう途中――

 燈也たちの前に現れたのは、学校で暴れる魔法生物だった。

 どうやら、実験に失敗したらしい。生徒達の悲鳴、制御を失った魔力。 


 「面倒くさいが、放ってはおけないな。」


 仲間と視線を交わし、それぞれの力を解き放つ。

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