表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Himeyuri ―魔法嫌いの元学園最強と、幼馴染の約束から始まる魔法学園譚ー  作者: 小鳥遊 千夜
第三章 演劇部再建編 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/119

第117想 最強主催者が制圧しているが、まだ勝負は終わっていない


 魔法執行部・高天原帝亜(たかまがはらてぃあ)が2チームを早々にリタイアさせたことで

 他のチーム達がそれぞれ対処の為に動き出す。




 魔導工学クラブ・天城(あまぎ)リリィ


 未来予測軌道が赤く染まる。

「脅威レベル最大。接触回避優先」


 リリィの声は感情を含まない。


 魔導ドローンが同時に魔法陣を展開。


 ――《アナライズ・オラクル》。


 周囲三百メートルの魔力の流れをリアルタイム解析。



 ホログラム上で、帝亜の《ツクヨミ》の進行ラインが再計算される。

 赤い予測線が幾度も更新。


「交戦時生存率、三パーセント未満」


 一瞬で判断。


「最短距離ルート、放棄」


 前方に伸びていた最短ラインが消去される。


 代わりに、外周寄りの青い安全軌道が表示される。


 ――《リルート・カルキュレーション》。


 魔力推進を調整し、滑るように方向転換。


 遠回りでも安全圏へ。


 岩場の起伏を利用し、ツクヨミの直線射程外へ抜ける。


『合理判断!!

 魔導工学クラブ、完全回避だァ!!』


 実況の吉良(きら)の後に解説の愛紗(あいしゃ)が続く。


『リスク管理が徹底していますね。

 撃破不能と判断すれば、勝ち筋のある区間まで下がる。』


 リリィは淡々。


「データ不足。今は無理をする時ではないわ」


 観客。


「頭いい……」

「でもあれ勝ちに行ってるのか?」


 ――――――――


  魔法山岳部・南雲(なぐも)リョウ。


 瞬時に帝亜の進行ラインを読むと行動に出る。


「真正面は無理だ!」


 腰の装置に手をかけ魔力を流し込む。


「――岩壁よ、我が足場となれ。

 《クライム・アンカー》!」


 先端の魔導アンカーが回転しながら飛翔。


 岩壁へ突き刺さり固定する。


 リョウはロープを掴み、脚に力を込める。


「はぁっ!」


 一気に身体を引き上げる。


 地面を蹴り、垂直に跳躍。


 ツクヨミの衝撃波が直下を走り、岩が砕ける。


 だが、もう姿は無い。


「ふう…危なかった」


 ――《マウンテン・ステップ!》


 足裏に展開される小型魔法陣。


 岩肌に一瞬だけ魔力の足場を生成。


 ほぼ垂直の壁を駆け上がる。


『縦に逃げたァ!!

 魔法山岳部らしい三次元機動!!』


 吉良の声が響く。


 ロープを支点に振り子のように大きく弧を描く。


「上を取る!」


 ツクヨミの背後、視界外へ回り込む。


 岩壁の陰へ滑り込む。


 愛紗が冷静に分析する。


『悪くない判断です。

 ツクヨミは正面からの制圧が得意。

 逃げに徹すれば深追いはしてこないでしょう。』


 リョウは岩場の出っ張りに着地。


 視線は下。


 巨大な黒い装甲が静かに動く。


 だが――


 帝亜は追わない。


 ツクヨミはただ静かに首を巡らせる。


 観察しつつ補助機がわずかに高度を上げる。


 リョウの背筋に冷たい汗が流れる。


「……見られてる」


 観客席。


「賢い!だが上でも安心できねぇぞあれ!」


 高所という“安全圏”。


 だが本当に安全なのか。


 岩壁の上。


 息を潜める魔法山岳部。



 ――――――――

 魔法陸上部・朝霧(あさぎり)マイ。


 爆音と衝撃が飛び交う戦場の中でも、フォームは崩れない。



「正面衝突は避けます」


 冷静な判断。だが速度は落とさない。


 足元に淡い風の魔法陣が展開される。


『――空気よ、道を拓け。』

 《エアロ・シフト》!!


 身体の周囲の空気密度が薄くなる。


 空気抵抗が削ぎ落とされる。


 さらに重ねる。


『――流速最適化。』

 《ストライド・チューニング》!!


 筋肉の収縮タイミングを強化。


 地面を蹴るたび、推進効率が最大化され

 速度を保ったまま、滑らかにライン変更。


 真正面の軌道から外れ、後退ラインへ移動。


『スピード維持しながら下がる!!

 陸上部、完全に“レース脳”だァ!!』


 吉良が叫ぶ。


 愛紗が頷く。


『冷静ですね。

 突出した者から落ちる。

 巻き込まれないことが最優先したのでしょう。』


 マイの視線は前。


「勝負は最後の直線」


 観客席。


「誰も正面行かねぇ……」

「帝亜一人でボスラッシュしてるじゃん……」


 ――――――――


 そして――残るは一人。

 フィギュア愛好会・安室(あむろ)レイヤ。


 砂煙の中、二足ロボット≪アームズ≫が低く構える。

 全高三メートル弱。

 重装フレームに追加武装。

 関節部から蒸気が噴き出す。


「大将登場ってわけか……燃える展開だ」


 主人公のように、真正面に立つ。


 観客席がざわつく。


「行くのか!?」

「無茶だろ……!」


 帝亜の声は静か。


「退くなら今よ」


「断る。主役は逃げない!」


 次の瞬間、火花が散る。


『うおおおお!!ロボット対決か!!

 フィギュア愛好会・安室レイヤァァ!!これは熱い展開だァァァ!!』


 吉良が絶叫。


 粉塵の向こう、二つの影が対峙する。


 レイヤが叫ぶ。


「行くぜ!」


 アームズの両腕装甲がスライド展開。


 内部砲身が露出。

「ターゲット…ロックオン!対象を殲滅する!」

 ――《ブレイブ・ランチャー》!!


 高出力魔導弾、連射。


 連続爆発。砂煙が巻き上がる。


『これは、激しい連射だァァ!!』


 だが帝亜は動かない。


「直線的ね…」


 補助機三基が前方へ滑走し 三角に展開される光膜。


 ――《R(ルナティック)・フィールド》。


 弾丸が触れた瞬間、光が波紋のように広がり

 全弾、弾かれる。


 火花が夜空のように散る。


「なにっ……!」


「その程度?」


 レイヤは即座に次の手。


 推進ブースター最大出力。


「まだだ!俺のアームズは伊達じゃねぇ!」


 跳躍し上空から叩きつける。


「アンタは俺が倒す!今日、ここで!」

 ――《バスター・ブレード》!!


 巨大な刃が振り下ろされる。


 だが。


「いくら叫ぼうと無駄よ。」


 ツクヨミの左腕が上がり、受け止める。


 金属と金属が激しい激突。


 衝撃波が地面を放射状に砕く。


 観客が悲鳴を上げる。


「うわああ!?無茶苦茶だ!!」


 レイヤが歯を食いしばる。


「まだだ。こんな所で…こんな所で俺は!」


 脚部ブースター点火。


 空中で身体をひねり回転。


「お前の思い通りにやれると思うなァァァァ」

 ――《スパイラル・ブレイブエッジ》!!


 回転する斬撃で火花が走る。


 だが帝亜の視線は冷静。


「見事と言いたいところだけど、まだまだ甘いわね」


 ――その瞬間


 補助機が背後へ回り込み死角に光束弾が走る。


 ――《ルナティック・ホーネット》。


 ビームがアームズの片脚関節を貫く。


 アームズのバランスが崩れる。


「しまっ……!」


 その隙を逃さない。


 ツクヨミの掌が胸部装甲へ押し当てられる。


 魔力収束。


「これで――幕引きよ」


 ――《ルナティック・ブレード》。


 至近距離衝撃。


 爆発的な圧力が放たれアームズが大きく吹き飛ぶ。


 地面を転がり、岩壁へ激突。


 警告音と赤色ランプが点滅。


「……っ、くそ、何かが足りない」


 機体が沈黙し

 砂煙がゆっくりと晴れる。


 中央に立つのは、漆黒の巨影。


『フィギュア愛好会、戦闘不能ォォ!!』


 会場が揺れる。


「強すぎる……」

「主人公ムーブ通じねぇ……!」

「ラスボスじゃん……!」


 それは歓声ではなく、畏怖であった。


 帝亜は振り返らない。


 ただ静かに立つ。


 盤面は、ほぼ更地。


 残る者は――わずか。


 制圧は、まだ終わっていない。



 すると横合いから煙幕が投げ込まれ、ワイヤーがツクヨミへ絡む。


「……そこまでよ!」


 その声の主は 演劇部・真条聖妓(しんじょうせいぎ)であった。







次回 『第118想 魔法の才能ゼロ、それでも学園最強に挑む理由』


制圧を続ける学園最強格――高天原帝亜。

そのやり方を、聖妓は見過ごせない。


魔法は使えなくても、自分の正義を曲げるなんて出来ない。


魔法アイテム、そして正義を胸に帝亜が搭乗する

《ツクヨミ》に挑む。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ