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Himeyuri ―魔法嫌いの元学園最強と、幼馴染の約束から始まる魔法学園譚ー  作者: 小鳥遊 千夜
第三章 演劇部再建編 

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第116想 月帝の覇者!――夢を打ち砕く最強機体”ツクヨミ”!



『さぁ、演劇部の後方から魔法執行部・高天原帝亜(たかまがはらてぃあ)が搭乗する《ツクヨミ》が

 じわじわと詰めているぞォ!!』


 実況席から吉良(きら)の声が響く。


 聖妓(せいぎ)は振り返らない。


「……相変わらず真っ直ぐね。」

 帝亜が不敵に笑う。


「ええ、だって間違っていないもの。

 私は絶対、夢を諦めないわ!」


「夢と現実は違うわよ。

 実力が無ければ、どんな夢も夢のまま消える。

 かつての演劇部がそうだったように……」


 聖妓の目が鋭くなる。


「足りないなら作る。

 それが努力ってものでしょ!」


 帝亜は静かに微笑む。


「ふふ……眩しいわね、本当に。」


 ――次の瞬間。


 ツクヨミの腕部装甲が展開。

 内部フレーム露出し魔力収束する。


「なら――見せて見なさい。あなた達の実力を。」


 帝亜が踏み込む。



「ターゲット捕捉。」


 補助機三基が浮上、三角陣形を形成。


 解説席の愛紗(あいしゃ)が冷静に解説する。


『この補助機は搭乗者の思考に通じ攻撃、支援が可能なオールレンジ武装です。』


 聖妓はスモーク弾を握る。


「望むところよ!」


 白煙が爆ぜ、視界を覆う。


 その直後、ツクヨミの腕が振り抜かれる。


 《ルナ・ブレード!》


 魔力の衝撃波が地面を抉り岩が砕け、煙が吹き飛ぶ。


「部長!!」

部員の小松が悲痛な表情を浮かべる。


 だが、――その刹那(せつな)

 聖妓はワイヤー射出し岩壁に打ち込み、身体を引き上げる。


 ブーツが岩を蹴り、横方向へ一気にスイング。


真条(しんじょう)選手、これは上手い。攻撃を回避し一気に距離を離したぞォ!!』


「よし、いいぞ。その調子だ。」

 燈也も演劇部員達と安堵の声が漏れる。


「あら、逃げるの?」


「フン。簡単に勝てると思うほど自惚(うぬぼ)れてはいないわ。

 でも、主役は最後まで舞台に立つもの。

 私なりのやり方でこのレースに勝つわ!」


 足元でブースター点火。


 帝亜の声が低く落ちる。


「面白い。叩き潰してあげるわ。」


 だが――帝亜は周囲を一瞥。


「でも……まずは盤面整理ね。

 勝負を語るには、ノイズが多すぎるもの。」


 補助機を散開。

 帝亜は標的を召喚獣研究会へと変える。


 対する久遠(くおん)ミナトの足元には展開された複数の召喚陣。


「やはり仕掛けてきたな。中型を前へ! 飛行型、上空から迎撃――」


 中型獣が前脚で地面を叩き、岩を砕きながら突進。

 上空では飛行型が旋回、光弾を形成する。


 だが。帝亜は歩みを止めない。


「遅いわ」


 ツクヨミが右腕を振り抜き、


 圧縮された魔力が衝撃波となり


 地表を削り取りながら一直線に迫る。


 前衛の中型召喚獣が一瞬で弾き飛ばされ

 地面を転がり、術式の光が乱れていく。


「っ、再召喚――!」


 ミナトが印を組み直す。


 だがその瞬間。


 補助機三基が滑らかに散開しながら、細い光線が同時発射される。


 召喚陣の中心点を、正確に撃ち抜く。


 魔法陣が崩れ、逆流した魔力がミナトの身体を打つ。


「ぐっ……!」


 膝が折れる。


 走行用の足場魔法も解除。


 バランスを崩し、その場に倒れ込む。


 召喚獣たちは光となって消散。


「くっ……なんて強さだ。」


『召喚獣研究会、レース続行不能。ここで無念リタイアだ!』


 観客席が揺れる。


「早すぎるだろ!帝亜、容赦ない!」



「さて、次は……」

 帝亜の視線が滑る。


 アイドルクラブの百乃花(ももか)リリカが唇を尖らせる。


「はぁちょっと、空気読んでよ!」


 だが目は冷静。足元にハート型の魔法陣が広がる。

 

『魔力の巣に絡まれ、毒蛾蝶』

 ≪ラブリー・バインド!!≫


 キラキラとした光が地面に散り、

 広範囲に粘着魔力が残留。


 地面が柔らかく沈み、触れた相手を絡め取る。

 この粘着力は極めて強力であり大型魔獣も捕らえる程だ。


 ツクヨミの脚部に粘着が絡む。


 だが――


「無駄よ。その程度じゃ私の“ツクヨミ”は止められない。」


 脚部装甲の隙間から高出力の魔力が噴出し


 粘着魔法が引き裂かれる。


 地面を抉れながら、前進。


「そんな、嘘でしょ!?」


 リリカが慌てて後退しながら回避を試みるが

 加速したツクヨミが一気に距離を詰める。


「終わりよ。」


 ツクヨミの腕が、最小動作で振られる。


 衝撃波が至近距離で

 リリカの搭乗するマシンに直撃。


 マシンは横から叩きつけられ、機体が浮く。


 回転しバランスを失ったマシンは見る見るうちにコースを離れ


「ちょっ――」


 そのまま、完全停止。


 数秒遅れて――


『アイドルクラブ、ここでリタイアだ!』


 会場が凍りつく。


 二連続ノックアウト。


 歓声ではない。動揺。


「……圧倒的じゃねぇか……」

「こんなヤツに勝てるのかよ」


 空気が変わる。


 岩煙の向こうで

 ゲームクラブ・音海(おとみ)ダイが歯を食いしばる。


 ハンドルを握る指が白くなる。


「へっ……上等だ!」


 軽量機のスロットル全開。


 エンジンが甲高く唸り、直線加速。


 真正面から突っ込む。


 片手を離し、魔力弾を形成。


「ボス戦開始だな!?」


≪シューティング・スター!!≫


 一直線に放たれる光弾。


『出たァァ!!真正面から挑む!!

 ゲームクラブ、完全にボス戦ムーブだァ!!』


 実況の吉良が叫ぶ。


 だが。


 ツクヨミは動くことも無く、

 補助機三基が滑るように前方へ展開。


 三角陣形し光弾を防ぐ。


 その後、ダイの進路へぴたりと割り込むと魔力弾を撃ち込む。


「なっ――」



 魔力弾は一発がダイが搭乗する軽量機の装甲を掠める。


 だが浅い。


「ちっ……!」


 態勢を立て直そうとするダイだが、その瞬間。


 補助機の更なる追撃が迫る。


 今度は一点集中の光線が後部ウイングをかすめる。


 姿勢制御が乱れ機体が大きく横滑り。


『羽をやられたァ!!

 ゲームクラブ、大きく後退!!』


 ダイは歯を鳴らす。


「クソ……チートボスかよ……!」


 観客席。


「無理ゲーじゃね?」

「正面勝負が通じない……!」



  占星術研究会の昼谷(ひるたに)アルトはすでに状況を読んでいた。


「接敵は不利」


 速度を落とし前には出ず、

 両手を重ね術式を展開する。


 《アストラル・バリア》。


 透明な多層結界が身体を包む。


 星座の線が何重にも走る。


「今は……耐える」


『おっと!?攻めない!!

 占星術研究会、防御固めだァ!!』


 解説の愛紗が頷く。


『冷静な判断ですね。

 帝亜選手は“突出した者”から落とす。

 前に出なければ優先度は下がります。』


 帝亜が一瞥。


「賢明ね。でも、勝ちには遠い」


 観客。


「冷静だな……」

「でも前に行けないんじゃ勝ち目はないだろ……」








次回予告 『第117想 最強主催者が制圧しているが、まだ勝負は終わっていない』


このレースの主催者であり魔法執行部部長――高天原帝亜。

《ツクヨミ》を駆り、盤面を一つずつ塗り替えていく。


学園最強格の実力は、伊達ではない。


だが――

各チームも黙ってはいない。


知略で削るか。

速度で翻弄するか。

それとも、一点突破か。


散り散りになった戦力は再び結集できるのか?

そして、逆転の秘策はあるのか。


このまま主催者がすべてを支配してしまうのか――。


絶対制圧に、風穴を開けろ。





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