第115想 魔法が無くても心は負けない――正義の挑戦者と学園最強格統率者!
5位で滑り込むのは魔導料理研究会。
『来たァ!!魔導料理研究会!!
第2走者・一柳一真!岩場を“仕込み”で攻略した料理人ランナー!!』
一柳がバトンを渡す。
「仕上げは任せた」
受け取るのは――越後修治。
『魔導料理研究会部長!!
“炎の創作料理人”越後修治!!
味も魔法も演出重視のエンターテイナーだァ!!』
越後がコック帽を整え、触媒フライパンを回す。
『コースとは一皿の芸術だよ。熱く燃え上がれ!』
《フレイム・ソテー》
足元から制御された炎が噴き上がる。
地面との接触熱を推進力へ変換。
薄い熱膜が身体を包み、摩擦を軽減する。
『炎を纏った高速走法!!
加速と演出を同時に仕上げるゥ!!』
越後が踏み込む。
焦げ跡が一直線に残り、熱気で空気が揺らぐ。
愛紗が冷静に補足する。
『炎で空気を膨張させ、瞬間的に後方へ流しています。
推進補助と同時に、後続の視界をわずかに歪ませる効果もある。
派手ですが、理にかなった加速法ですね。』
続いて――魔法陸上部
7位で真壁タケルが減速。
足は震えるが、姿勢は崩れない。
『粘り抜いたァ!!
魔法陸上部・真壁タケル!!
持久で繋いだ第2走者だ!!』
バトンを差し出す。
「崩すなよ」
受け取るのは――朝霧マイ。
『出たァ!!魔法陸上部のエーススプリンター!!
空力制御の申し子、朝霧マイ!!
フォームの美しさは学園随一だァ!!』
マイが小さく頷く。
「分かってる。」
足元に淡い魔法陣。
『――空間抵抗、削減。』
《エアロ・シフト》
周囲の空気が薄く整流される。
踏み出した力がそのまま前へ伸びる。
『速いィィ!!
空気を味方につけた純加速型!!
これぞ魔法陸上部の王道スピードだァ!!』
フォームは一直線。
愛紗が解説する。
「これは余計な魔力を使わない“効率特化型”です。
爆発力よりも維持力。
直線が続くこの区間では、最もタイムを縮めやすい走法ですね。」
滑るように加速。
順位奪還を狙い、前を追う。
続いて後方の集団、まず上がってきたのは
大型ビーストを駆った召喚獣研究会・バルク。
『召喚獣研究会!!第2走者バルク!!大型獣で岩場を踏破だァ!!』
バトンが放られる。
「数で押す」
受け取るのは――久遠ミナト。
『第3走者!!
同時召喚制御の天才、久遠ミナト!!』
印を結ぶ。
「――多重召喚。
《サモン・リンク》」
複数の召喚陣が同時展開し
小型獣出現。
即座に騎乗、初速を稼ぎ
前方の中型獣へ乗り換えていく。
『乗り換えながらの加速!!
途切れない推進の連鎖だァ!!』
さらに側面に小型獣を展開。
獣の咆哮が響く。
愛紗が分析する。
『これは初速、巡航、補助を分けることで持続速度を保っています。
魔力消費は大きいですが、短期決戦なら有効です。』
その横を駆けるのは応援旗が揺れるアイドルクラブ。
『学園随一の人気ユニット!!
アイドルクラブだァ!!』
第2走者・星宮が軽やかにバトンを渡す。
「センターお願いね♪」
受け取るのは百乃花リリカ。
『第3走者!!
絶対的センター、百乃花リリカ!!
小悪魔系アイドルだァ!!』
くるりと回転。
「はいはーい、主役きました〜」
足元にハート型の魔法陣。
「――《ラブリー・バインド》」
光が可愛く地面へ散る。
だが通過後、薄い粘着魔法が残る。
『可愛い顔してトラップ設置ィ!?』
更に前方の走者へ視線を向ける。
「私の邪魔しないでくれる?」
甘い声に棘。
愛紗が補足する。
『粘着での妨害、心理的な揺さぶりも含めて効果は大きいでしょうね。』
その直ぐ後方には――
『ゲームクラブ!!
第2走者・小淵沢 リュウ!!
冷静さの中に熱い心を持ったプレイヤーだァ!!』
リュウがダイへとバトンを渡す。
「思いっきりやれ!」
ダイは前方のアイドルクラブを睨む。
「ああ、次は俺のターンだ」
『第3走者・音海ダイ!!
反応速度トップクラス!!
カウンター主体の走りだ!!』
小型の飛行機型のマシンに乗り込みエンジン点火。
一気に加速。
最短角度でコーナーを切り粘着魔法の残留地帯へ突入。
羽がをわずかに取られるが、即座にライン修正。
「むかつく女だぜ。絶対に叩き潰してやる」
視線はリリカ。
『因縁発生!!
トラップか!?カウンターか!?』
愛紗が静かに言う。
『ダイ選手は“対応型”です。
相手の妨害を前提に走っている。
問題は、仕掛けるタイミングをどこで取るかですね。』
続いて魔法鉄道同好会――
最終カーブで弾かれたML50が滑り込む。
『現在8位の魔法鉄道同好会!!
大井川炭彦、痛恨の失速!!
だがまだ終わらない!!』
「取り返すぞ!」
受け取るのは上野ヒカル。
『第3走者!!
直線特化のスピードエース、上野ヒカル!!』
展開される流線型機体――マッハひかり。
細長いノーズで空力重視設計。
『巡航速度特化型!!
直線最速クラスだァ!!』
ヒカルがレバーを押し込む。
「遅ぇ遅ぇ!最速で行く!
――《ハイパー・アクセル》!」
爆発的な加速で砂煙が後方へ吹き飛ぶ。
『速い!!二台抜いたァ!?』
愛紗が解説する。
『コーナー性能は低いですが、直線では別格です。
加速後の伸びが非常に長い。
この区間が続く限り、順位はまだ動くでしょう。』
そして現在9位の魔法執行部――
『魔法執行部!!第2走者・日向雄介!!パワーで押し上げるも最終カーブで失速!!
だが――切り札はまだ残っている!!』
日向が頭を下げる。
「すまん。最後に油断した。」
受け取るのは――魔法執行部部長・高天原帝亜。
『来たァ!!
学園最強格の統率者!!高天原帝亜ァァ!!』
「反省は次に生かしなさい。……それに」
背後で展開する巨大な影。
魔導パワースーツ――《ツクヨミ》。
漆黒の重装甲の人型に帝亜が乗り込む。
「この私がいるんだから問題は無いわ。」
圧倒的質量と圧倒的威圧。
『重い!!だが遅くない!!
これは“制圧型”だァ!!
高天原帝亜、戦場に降臨!!』
愛紗が興奮した様子と補足する。
『《ツクヨミ》は正面突破仕様です。
高出力と耐久を両立。
接触や妨害を受けても減速しにくい。
混戦では最も安定した“突破力”です。ちなみに私の自信作です!』
そして――
『紹介が遅れました。現在6位通過の演劇部!!
第2走者・小松翔太!!
奇策で繋いだ頭脳派だ!!』
「部長!!後はお願いします!!」
バトンを受け取るのは金髪の演劇部部長。
『第3走者は演劇部部長――真条聖妓!!
魔法は使えない!!だがアイテムの使い手!!
そして今回のレースを影ながら守ってくれた立役者だァァァァ!』
「任せて。ここからは私の出番よ」
ホウキに跨り、ブースターが短く噴射。
視線の先。
《ツクヨミ》の赤いセンサーが聖妓を捉える。
帝亜の声。
「魔法なしでレースに立つなんて面白いわね」
聖妓が踏み出す。
「約束通り――私が勝ったら、演劇部の再建を認めてもらうわよ。」
会場がどよめく。
『なっ……なんとォォ!?
ここで“勝利”発言!!』
帝亜が進む。
「勝てるなら、ね。」
『部長対決!!勝つのは魔法の頂点か!?無能力の演出家か!?』
誇りと再建を賭けた一騎打ちが、始まる。
次回 『第116想 月帝の覇者!――夢を打ち砕く最強機体”ツクヨミ”!』
演劇部部長・聖妓、最後の走者として立つ。
後方から迫るは――学園最強格、魔法執行部統率者・高天原帝亜。
圧倒的な力、制御された魔力、そして完璧な戦術。
《ツクヨミ》の圧倒的質量が、レースを切り裂く。
それでも、聖妓は振り返らない。
「夢を諦めるわけにはいかない――!」
正義の挑戦者、無能力の演出家――
学園最強の統率者に抗う・
果たして、夢を貫く力は――圧倒的強者の前に届くのか!?




