第109想 魔法と加速の戦場――部活動設立選抜レース!頂上決戦!
先頭を滑るのは魔導バイクに乗る、魔法執行部部長補佐・鏡膤斗。
氷の粒子が後方へ舞い、軌道が淡く白く凍りつく。
「相手にとって不足無し。全力で行かせて貰う。」
その背後、風を裂く影――
「行くぞッ!!」
魔法陸上部・風切ユウト。
身体強化魔法を瞬時に発動し、常人ではありえない加速で地面を蹴る。
爆発的スタートダッシュで一気に三位へ浮上。
『おおっと!魔法陸上部、さすがの瞬発力だぁ!!』
だが――
「トラップ、設置完了。」
冷静な声と共に、路面に淡い光が広がる。
ゲームクラブ・上沢マサシ。
≪減速魔法陣≫
小型魔導バイクを滑らせながら、見えにくい魔法陣を張り巡らせる。
氷上のように足元が不安定になる。
「ちっ……!」
ユウトがわずかにバランスを崩す。
『妨害だぁ!ゲームクラブらしい戦術!』
その横を、空から影が通過。
「空路、問題なし。」
召喚獣研究会・ミリア。
小型飛行召喚獣に跨り、地上の混戦を無視してショートカット。
観客がざわめく。
『空中ルートだと!?これは変則的だ!!』
さらに――地面が震えた。
「安全第一、定刻運行!」
≪移動魔法 直結軌道!!≫
魔法鉄道同好会・中野直道の快速特急“龍雲”が、光のレール上を滑走。
他チームとは違う独自ラインで加速していく。
その隣、重低音が響く。
「腹が減る前に決めるよ!」
魔導料理研究会・秋山丸美。
魔導バギーカーが地面を押し潰すように進む。
スピードはないが、当たり負けしない安定感。
「――力は栄養、燃やせカロリー!
《パワー・チャージ》!」
「栄養補助、摂取完了です!」
強化魔法で自己バフ。鈍足ながら、確実に前へ。
後方では――
「試作ブースト、三・二・一!」
魔導工学クラブ・東雲ハル。
ブーストシューズが火花を散らし、急加速――
「うわああああ!?」
バランスを崩しながらも奇跡的に立て直す。
『速い!が不安定!!ロマンの塊だ!!』
そのさらに外側。
「星は……東。三秒後、減速域。」
占星術研究会・夜見ルナ。
未来予測で混戦を避け、最短ラインを選択。
無駄のない静かな走りで順位を上げていく。
「物語は、俺が引っ張る!」
魔法小説部・黒瀬ユウトが叫ぶ。
自己強化魔法《プロローグ補正》発動。
スタート限定の異常加速。
『な、なんだこの伸びはぁ!?』
一瞬、膤斗の背後に迫る勢い。
しかし――効果時間終了。
「え、ちょ、もう!?」
急激に失速し、実況席がどよめく。
さらに、視界が歪む。
「色は、惑わせるためにあるの。」
≪幻影魔法 攪乱色彩!!≫
魔法芸術部・白藤ユイ。
色彩幻影がコースの境界を曖昧にし、他チームの判断を狂わせる。
「うおっ、どこが直線だ!?」
そして不穏な気配。
「副作用?後で考えればいい。」
魔法研究会・ドロテアが実験薬を飲み干す。
瞬間的に爆発的加速。
目がわずかに赤く光る。
『危険だが速い!!』
最後尾付近――
「岩場でも問題なし。」
魔法山岳部・峰岸タクミ。
荒れたコース端を選び、堅実に前進。
混戦を避ける冷静な判断。
――そして。
「負けたら許さないわよ、相沢!!」
聖妓の声が飛ぶ。
演劇部チームの第一走者、相沢 恒一。
ホウキに跨り、全力で地を蹴る。
「任せて下さいっス!カッコイイ所をお見せしますから!」
演劇部・相沢がロケットブーストを噴射。
≪加速魔法 爆熱加速!!≫
火炎が尾を引き、一気に3チームを抜く。
だが、ややオーバースピード。
「ちょ、ちょっと飛ばし過ぎじゃない!?」
聖妓の声が飛ぶ。
『演劇部・相沢!勢いはある!だが安定感に欠ける!!』
現在――
先頭争いは
魔法執行部
魔法陸上部
召喚獣研究会
魔法小説部(失速中)
中団に
ゲームクラブ
鉄道同好会
魔法研究会
演劇部
占星術研究会
フィギュア愛好会
そして後続で
魔法芸術部
アイドルクラブ
魔導工学クラブ
魔導料理研究会
魔法山岳部
が虎視眈々とチャンスを狙っている。
観客席の熱気が爆発する。
『ここで流れを掴むのはどのチームだぁ!?』
戦いは、まだ始まったばかりだ――。
次回予告 『第110想 波乱の第一走者!!暴走と補正、先頭は譲らない』
部活動設立を賭けたレースが幕を開いた!
序盤から大混戦!
安定の魔法執行部を揺るがすのは、
禁断の加速で突っ込む魔法研究会!
そして“物語補正”で強引に迫る魔法小説部!
理屈か、暴走か――
先頭を奪うのは誰だ!?




