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Himeyuri ―魔法嫌いの元学園最強と、幼馴染の約束から始まる魔法学園譚ー  作者: 小鳥遊 千夜
第三章 演劇部再建編 

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第104想 薬の代償と正義の銃弾


「クソ……まだだ……!」


獄・(ヘルズ・)狂乱殺(オーバードライブ)!!≫


 無理やり出力を引き上げ、再び突進。


 だが今度は――


 支柱を蹴り、跳躍しようとした足がもつれる。


「……ッ!?」


 体勢が崩れる。


 燈也が確信する。


「薬の効果が落ちてるようだな!」


「……なら、勝機はありそうね。」


 聖妓は銃を構え直す。

 今度は支柱から距離を取り、撃てる角度を確保する。


「身体が追いついてない。

 無理やり底上げしてるだけ…なら」


 狂四郎は震える手を睨む。


 血管が浮き、指先が痙攣している――

 

 それでも、(わら)う。


「ハッ!ふざけんな……

 こんなところで……!」


 よろめきながらも、彼は後退する。


 その瞳に宿るのは、焦りと恐怖。


 そして――

 歪んだ決意。


 狂四郎は、懐をまさぐった。


「……まだ、残ってる。」


 取り出されたのは、

 先ほどよりも濃く、黒ずんだ薬剤。


 見ただけで分かる。

 危険な“追加投与”。


「まさか、もう一本――」

 燈也が眉をひそめる。


「ハッ……ハハ……!」


 狂四郎は、笑った。


「限界?

 知るかよ……!」


 薬を握り締め、叫ぶ。


「強くなれるなら――

 壊せるなら――

 俺は、何だってやる!!」



 狂四郎は、荒い呼吸のまま笑った。


「ハ……ハハ……まだ終わりじゃねぇ……!」


 震える手で、薬に手を伸ばし


 狂四郎は、迷いなくそれを打ち込んだ。


極限・(ブラッド・)超化殺(オーバードーズ)!!!≫


 瞬間、身体が異様に膨張する。

 筋肉は限界を超え、血管は裂けそうに浮き出る。


「ガ……ァァァァ!!」


 悲鳴とも咆哮ともつかぬ声。


獄・(ヘルズ・)狂乱殺(オーバードライブ)!!≫

 

 最後のリミッターを解除し拳に魔力を集中させる。


「壊す!!

 全部だァァァ!!」


 狂四郎が嵐のように主人公達に突進する。



獄・(ヘルズ・)魔塵殺(カタストロフ)!!≫


 拳の嵐が、正面から叩きつけられる。


「今だっ!」

 燈也が叫ぶ。


「分かってる!」


≪ツェデック・マゲン≫

 停滞弾を展開し、動きを“止める”のではなく――


「足を削る!」


≪ベルダー・フスティシア≫

 曲がる弾が関節を正確に撃ち抜く。


「グッ……!」


 一瞬、狂四郎の動きが鈍る。


 その瞬間を、燈也は逃さない。


≪攪乱魔法 アンチ・ヘイズ !!≫


 視界が歪み、幻影が増殖する。


「チッ……どれだァ!?」


「全部囮だ」


 燈也の声が、背後から響いた。


魔断(マギ・ブレイク)!!≫


 魔力の刃が、狂四郎の背中を深く斬り裂く。


「ガァァッ!!」


 だが、それでも倒れない。


「まだだ……まだ……!」


 狂四郎は無理やり身体を起こそうとする。


 その時――


 バキッ。


 鈍い音。


「……?」


 膝が、言うことを聞かない。

 視界が揺れ、力が抜けていく。


(……動かねぇ……?)


「薬の副作用よ」

 聖妓が静かに告げる。


「無理やり引き出した力は、必ず代償を払う」


「だっ…だまれ…てめぇらだけは…絶対に……」


≪グーテ・ゲレティヒカイト≫

 雷を帯びた弾丸が、円を描くように展開される。


「これで……終わり」


≪ジャスティス・リフレクション≫

 跳弾が、すべて狂四郎へと収束する。


「クソ……が……」


 最後に燈也が踏み込む。


魔法断斬(マギア・ブレイカ―)


 魔力の刃が、狂四郎を叩き伏せた。


 ――ドンッ。


 土煙が晴れた時、

 そこに立っているのは、燈也と聖妓だけ。


 狂四郎は仰向けに倒れ、微動だにしなかった。


「……終わったな」

 燈也が息を吐く。


 聖妓は銃を下ろし、静かに言った。


「力だけじゃ、正義には勝てない」


 夜風が戦いの終わりを告げ、壊されかけた会場はなんとか守られたのだった。




次回 『第105想 役者は揃った――いざ、レースという名の舞台へ』


レース会場を守った夜の激闘――

その噂は、あっという間に学園中へ広がった。


「本気なんだな、あいつら……」


その覚悟に応えるように、

新たな部員と顧問が名乗りを上げる!?


そして助っ人として燈也も正式加入。


ついに、レース出場の条件が揃った。


明日、運命の号砲が鳴る。




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